映画『SCRAPPER/スクラッパー』場面写真&ブレイディみかこのコメントが到着 ― 不器⽤な⽗娘を描く感動作
⼤切な⼈を亡くした<不器⽤な⽗娘>の交流と成長をカラフルなビジュアルセンスで描き、サンダンス映画祭審査員⼤賞を受賞した映画『SCRAPPER/スクラッパー』(7月5日公開)より、場面写真と作家・ブレイディみかこ氏の絶賛コメントが到着した。
本作は、ポップな色遣いと優しくもエモーショナルな親⼦のドラマが評判を呼び、2023年のサンダンス映画祭ワールドシネマドラマ部⾨審査員⼤賞を受賞。さらに、今年の英国アカデミー賞では『関⼼領域』や『哀れなるものたち』と共に英国作品賞にノミネートされ、⽶アカデミー賞の前哨戦の⼀つであるナショナル・ボード・オブ・レビューではインディペンデント映画トップ10に選出された。
最愛の⺟を亡くした12歳の少⼥・ジョージー。普段は強がっているものの、孤独と哀しみに⼀⼈静かに耐え忍んでいる。そんな彼女のもとに⾳信不通だった⽗親・ジェイソンが突如現れ、ぎこちなくて愛おしい共同⽣活がスタートする―。
監督は、1994年⽣まれの新鋭シャーロット・リーガン。監督が抜擢したジョージー役のローラ・キャンベルは、本作がスクリーンデビューながら、英国インディペンデント映画賞ほか複数の俳優賞に候補入りした。そして、次世代の英国俳優として期待を寄せられているハリス・ディキンソン(『逆転のトライアングル』)が、⽗親のジェイソンに扮する。
このたび解禁された場面写真は、ジョージーの⽇々を捉えた7点。親友・アリと⾃転⾞を盗んでは転売して⽇銭を稼ぎながら⽣きる様⼦や、不器用な⽗娘が距離を縮めていく姿などが切り取られている。
さらに、イギリス在住の作家・ブレイディみかこ氏が本作に寄せたコメントも到着。
同氏は、「この映画は何かに中指を⽴てている、いやもっと上品な⾔葉で⾔えば、定説に意義を唱えた作品ではないか。“キッチンシンク”と呼ばれるタイプの英国の映画やドラマを⾒ている⼈々なら、『SCRAPPER/スクラッパー』はそのジャンルのイメージをひっくり返すものであることがわかる」と熱弁。労働者階級の日常や貧困を描いた「キッチンシンク」作品とは一線を画する、本作のオリジナリティを強調した。
映画『SCRAPPER/スクラッパー』は、7⽉5⽇(⾦)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋⾕&有楽町ほかで全国公開。
・ブレイディみかこ氏コメント ※パンフレット掲載コラムより⼀部抜粋
わたしが英国で保育⼠の資格を取ったときに、何度となくコースの講師に叩き込まれた⾔葉からこの映画は始まる。
「It takes a village to raise a child. (⼦供は地域で育てるもの)」
その有名な⾔葉にはいきなり打ち消し戦が引かれ、真っ向からそれを否定するような⾔葉が現れる。
「I CAN RAISE MYSELF THANKS. (私は⾃⽴しているから⼤丈夫)」
観る者がここで予感するのは、この映画は何かに中指を⽴てている、いやもっと上品な⾔葉で⾔えば、定説に意義を唱えた作品ではないかということだ。
その予感通り、「キッチンシンク」と呼ばれるタイプの英国の映画やドラマを⾒ている⼈々なら、『SCRAPPER/スクラッパー』はそのジャンルのイメージをひっくり返すものであることがわかる。
「キッチンシンク」とは、もともとは 1950年〜60年代に英国で起きた⽂化運動のことで、映画やドラマの世界では、それまで主流だった中上流階級の⼈々が主⼈公の物語ではなく、労働者階級のタフな⽇常や貧困を⾚裸々に描く社会的リアリズムの作品が「キッチンシンク」のジャンルとして確⽴された。
貧しい階級の⽇常や貧困を取り上げている点では、『SCRAPPER/スクラッパー』も「キッチンシンク」と呼ぶことができる。
だが本作は、伝統的な「キッチンシンク」と明らかに⼀線を画している。
「『キッチンシンク』がいつも灰⾊である必要はない」ということを⽰しているからだ。
労働者階級の⽇常が悲惨な出来事だけで塗りこめられているはずがない。
どんな階層の⼈間の⽣活にも、笑いや他者との温かなつながりは存在している。
暗い灰⾊の「キッチンシンク」があるなら、ほっこりさせられるパステルカラーの「キッチンシンク」があってもいいのだ。
ステレオタイプに中指を⽴てることこそ、英国⽂化の伝統芸と⾔ってもいいのだから。
本文/和田 萌
【関連記事】
- マーベル新作『デッドプール&ウルヴァリン』の予告編が初公開 日本公開は7月26日 – THR Japan (hollywoodreporter.jp)
- 『クワイエット・プレイス』前日譚のティザー予告が解禁 6月28日(金) 日本公開 – THR Japan (hollywoodreporter.jp)
- スカーレット・ヨハンソンの新作『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』予告到着、7月19日公開 – THR Japan (hollywoodreporter.jp)