世界の映画業界では今、リメイクが流行中…その理由とは?

クリス・ロック主演でリメイク予定の『アナザーラウンド』(2020) 写真: Henrik Ohsten
クリス・ロック主演でリメイク予定の『アナザーラウンド』(2020) 写真: Henrik Ohsten
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世界中でリメイク・ブームが到来

今年5月のカンヌ映画祭のマーケットでは、非英語作品のリメイクに特化した1日限定のイベントが開催された。同イベントでは、フランス、スペインやイタリアから、即リメイク可能な作品が紹介された。

2014年のフランス映画『エール!』を脚色したオスカー受賞作『コーダ あいのうた』など、非英語作品から英語作品へとリメイクされる例もあるが、現在は英語以外の異なる言語同士のリメイクが密かに流行中。これまで、日本映画『百円の恋』の中国リメイク版は大ヒットを記録し、2016年のイタリア映画『おとなの事情』は20以上の言語でリメイクされている。

その理由は…“時短”だから?

ヒット映画を異なる言語で脚色すること自体は昔から行われており、目新しいことではない。しかし、世界中でストリーミング・サービスが発展する今、実証済みの海外のヒット作をリメイクすれば、製作プロセスの近道になるのだ。

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「オリジナルの脚本だと、3~5年はかかってしまう。ストリーマーには、待つ時間がありません」と、リメイク権利を取り扱うオランダの製作会社・Incredible Filmの関係者は語る。

さらに、『エール!』を手がけたフランスの製作会社・Vendôme Picturesのフィリップ・ルスレ氏も、「作品の企画にかかる資金には、本当にリスクがあります。なので、すでに上手くいく実績のある作品の方が、ゼロから始めるよりもより魅力的に思えてしまうのです」と明かした。

近道のウラには困難も…

その国独自のユーモアに合わせなければならないコメディー作品のリメイクは難しいとされているが、翻訳によってジョークの意味が失われてしまう吹き替えや字幕でオリジナル版を上映するよりもヒットする確率が高いとされている。2016年には、メキシコの人気作をリメイクしたオマール・シー主演の仏映画『あしたは最高のはじまり』が、ヨーロッパでヒットを記録した。

一方で、ルスレ氏によると、同じ観客に同じ物語の2つのバージョンを売ろうとすることは上手くいかないという。「仏映画『最強のふたり』をケヴィン・ハート&ブライアン・クランストン主演でリメイクした『THE UPSIDE 最強のふたり/人生の動かし方』は、フランスで公開されていません。すでに自国で成功した作品があるなら、観客がわざわざ同じ物語を違う言語で観ることはないでしょう」

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※本記事は英語の記事から抄訳・編集しました。翻訳/和田 萌

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