ニコール・キッドマン『ベイビーガール』ワールドプレミアでヴェネツィア映画祭を沸かせる
オスカー受賞者のニコール・キッドマンは、出演者のハリス・ディキンソン、アントニオ・バンデラス、ソフィー・ワイルド、そして監督のハリナ・ラインとともに、リド島のサラ・グランデで開催された上映会に出席。
A24が製作したこのエロティックスリラーは、金曜日の夜、リド島のパラッツォデルシネマでワールドプレミア上映された。 サラ・グランデに集まった観客は、主演のニコール・キッドマンをはじめ、共演のハリス・ディキンソン、アントニオ・バンデラス、ソフィー・ワイルドにスタンディング・オベーションを送った。
クレジットが流れると、観客は立ち上がり、キャスト、特にキッドマンへの温かい熱狂的な拍手と歓声で会場は包まれた。スタンディングオベーションは7分間続き、キッドマンが立ち上がって観客に手を振り、劇場を出て行くのを拍手と歓声の波が迎えた。
観客の一人が叫んだ。「お見事!最高だ!エロティック・スリラー最高!」
キッドマンとクルーが会場に到着すると、早くも熱狂が始まった。ヌードなオーガンジー生地に黒のスパンコールが刺繍され、黒のフリンジがついたコルセットビスチェが印象的なスキャパレリの衣装で登場すると、バリケードに並んだファンから歓声が沸き起こった。
ダニエル・ローズベリーがデザインしたこのルックには、黒のベルベットのロングスカートとスティレットヒールが合わせられた。キッドマンは白いケープに身を包んだハリナ・ラインを出迎え、2人は温かい抱擁を交わした。ディキンソンはボッテガ・ヴェネタのスーツを着用し、ワイルドはロエベのカスタムルックに黒いシルクのベールを合わせてドラマティックに登場した。
プレミアは、カミラ・メンデス、リリ・ラインハート、チェイス・ストークス、エラ・パーネル、オデヤ・ラッシュ、ヌチ・ガトワ、マディシン・リアン、カヤ・スコデラーリオ、エヴァ・グリーンなど、アルマーニのアンバサダーやメゾンのゲストを多数招いたこともあり、大勢の観客で賑わった。
『ベイビーガール』は、ニューヨークに住む高飛車で洗練されたCEOのロミーが、年下のインターンと奔放な恋愛を始め、キャリアと家庭を危うくする姿を描く。
キッドマンは、バンデラス演じる優しくて思いやりのある夫と“真の悦び”を味わったことのない女性幹部役で出演。
ディキンソンはスタッフのサミュエルを演じ、ワイルドはロミーのアシスタントのエスミ役で出演している。
ラインは自身の脚本から108分の本作を監督し、デヴィッド・ヒノホサとジュリー・オーとともに製作も担当した。このA24作品は12月25日公開予定。
ザ・ハリウッド・レポーターとのインタビューでライン監督は『ベイビーガール』は1990年代のセクシャルスリラー、特にポール・バーホーベンの作品に明確にインスパイアされたと語った。
「『氷の微笑』『危険な情事』『ナインハーフ』『幸福の条件』など、当時私を楽しませてくれただけでなく、奇妙なことに、男性監督で女性に対する見方があまり優しくない作品ばかりだったにもかかわらず、私はこれらの作品にとても共感したのです」と説明するレインは、ハリウッドにおける“オーガズムギャップ”を埋めることも意図していたと付け加えた。
A24の『ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』でも監督を務めたライン監督は、性的なものに対する恐れから遠ざかっているようだと後に付け加えた。「セックスを正直に見つめ、そこにユーモアを見いだすという一般的なニーズと渇望はあると思う。同意に関する新しいルールができたことは素晴らしいことだし、とても重要なことだ。しかし同時に、私たちはまだ動物的であり、自分自身のその部分に目を向ける必要がある。このような映画を作りたいという衝動は、そこから来るものだと思う」。
金曜日の記者会見でキッドマンは、この映画は女性の視線を通して語られる解放的な物語であり、”欲望、内なる思い、結婚、真実、力、同意 “というテーマに触れていると口を開いた。彼女は、ラインのような女性監督の手にかかることは「とても深く、自由な」経験だったと語った。THRのチーフ映画批評家デヴィッド・ルーニーは、キッドマンの “肉体的にも心理的にも大胆不敵 “な役作りを称賛している。
「(監督である)ハリナの手に委ねられていたからこそ、説得力があったんだと思う。誰がどう解釈しようとも私は搾取されているとは感じなかった。私はこの作品の一部だと感じた。これは、私が参加したかった物語であり、私が伝えたかった物語であり、私のすべてがそれにコミットしていました」と彼女は語った。
ディキンソンは、キッドマンを “生きる伝説 “と称賛した。 彼はさらに「僕のキャラクターを作り上げるにあたって、彼の世代を代表する若者としての彼の混乱に取り組んだ。 また、私たちには素晴らしいインティマシーコーディネーターがいて、そのことが本当に助けになった 」と話した。
『ベイビーガール』を世界に披露する前夜は、「さらけ出され、傷つきやすく、怯えている」と感じていたという彼女だが、観客の反応を見て、今は安堵感を感じているのかもしれない。ワールドプレミアの後、A24は象徴的なホテル、チプリアーニでこの映画の祝賀会を主催しており、今年の映画祭で今のところ最も人気のあるチケットとなっている。
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※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。翻訳/山中 彩果