東京国際映画祭が選出する黒澤明賞に三宅唱、フー・ティエンユー両監督が決定

第37回東京国際映画祭で三宅唱監督(写真)&フー・ティエンユー監督が「黒澤明賞」を受賞
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東京国際映画祭が選出する黒澤明賞の今年の受賞者が24日、三宅唱監督と台湾のフー・ティエンユー監督に決まった。

黒澤監督の業績を長く後世に伝え、新たな才能を世に送り出していきたいとの願いから、世界の映画界に貢献した映画人、そして映画界の未来を託していきたい映画人に贈られる賞。『ケイコ 目を澄ませて』などで知られる三宅監督は人を見る力、小さな世界を広げていく力に長け、伝統的な技法を取り入れた技術力も高く、これから大変期待をおける監督、フー監督は1980年代の台湾ニューシネマの伝統を現代に引き継ぐ監督として評価されての受賞となった。

三宅監督は、「これまで一緒に仕事をしたすべてのスタッフ、俳優に敬意を表します。誰1人欠けても同じ映画はできませんでした」とコメント。「かつての撮影所の時代と異なり、私たちは撮影ごとに非正規雇用の形でその都度集まってメンバーも多少入れ替わりながらー作っていますが、時間をかけて少しずつチームとしての映画作りができているように感じます。この度の受賞は、今後もチームとしての映画作りをより豊かなものにせよ、ということだと受け止めたいと思います」と真摯に語った。

第37回東京国際映画祭で三宅唱監督(写真)&フー・ティエンユー監督が「黒澤明賞」を受賞

フー監督も、「尊敬する黒澤明監督や審査委員の山田洋次監督の作品から、映画には人間の本質を描き出す力があることを学んできました。そして、映画は言葉や時間を越えて人々に理解や癒しを感じさせることができると信じています。黒澤明賞の名前とともに、素晴らしい映画製作の世界に身を置けることは夢のように光栄なことです」と喜びをかみしめている。

第37回東京国際映画祭で三宅唱監督&フー・ティエンユー監督(写真)が「黒澤明賞」を受賞

また、映画を通して環境、貧困、差別といった社会課題への意識や多様性への理解を広げることを目的として昨年設立されたエシカル・フィルム賞の審査委員長が、斎藤工に決まったことも併せて発表。齋藤は、「映画の歴史を振り返ると、各時代時代で作品を受け取る人たちが形のない映画的倫理観を形成して未来につなげてきたのも事実。映画はエンターテインメント。肩ひじ張らず、一観客として映画の未来との出逢いを楽しみにしています」と意欲を語った。

エシカル・フィルム賞の審査委員長・斎藤工

第37回東京国際映画祭は10月28日~11月6日に開催される。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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