構想16年を経て酷評の嵐…もう1人の巨匠の歴史大作『アレキサンダー』とは
現在、リドリー・スコット監督による名作『グラディエーター』(2000)の続編『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』が公開中だ。一方、遡ること20年、とある歴史大作を手がけ苦難の道を歩んだもう1人の名監督がいた。
2004年公開の『アレキサンダー』を手掛けたオリバー・ストーンだ。
■豪華スターが集結した超大作
オスカー受賞監督オリバー・ストーンによる意欲作『アレキサンダー』(’04)は、マケドニアのアレキサンダー大王の生涯を描き、主演のコリン・ファレルを筆頭に、アンジェリーナ・ジョリー、ヴァル・キルマー、ジャレット・レト、そしてアンソニー・ホプキンスら豪華スターが集結。当時、バズ・ラーマン監督もアレキサンダーをテーマとする映画を企画しており、レオナルド・ディカプリオとメル・ギブソンが出演予定だった。
「誰もが先陣を切りたがっていました。オリバーはすぐにでも始めたがっていたんです」とプロデューサーのタブレズ・ヌーラニは振り返る。
■紆余曲折を経て公開も…酷評
もう1人のプロデューサー、トーマス・シューリーも88年にストーンと本企画を始動したときのことを回想した。2000年の『グラディエーター』の人気が追い風となり、『アレキサンダー』の制作は正式決定。3つの大陸を股にかけた撮影は6か月間続き、25匹の象の扱いや、主演ファレルの骨折など様々な困難に直面した。
ワーナー・ブラザースは2004年、3時間の超大作『アレキサンダー』を全米公開。批評家からは酷評され、1億5000万ドル以上の製作費に対し、全世界累計興収は1億6700万ドルという結果だった。
ファレルは昨年、米『ハリウッド・リポーター』(THR)に対し、撮影終了後の期待感について「僕らは『よし、オスカーまっしぐらだ』と口をそろえていましたね」と回想。しかし、批評が到着するとムードは一変。「物凄く恥ずかしかったです」と話すファレルは、自身のキャリアの進路に疑問を持つことすらあったという。
■「評判を失った」と監督
ストーン自身は2012年、「『アレキサンダー』を(編集作業で)完成させるのに3年かかり、大変苦しみました。評判も失ってしまったんです」と米THRに明かした。
プロデューサーのシューリーは今、この作品が世の中に出たことすら信じがたいと語る。「ワーナーのような会社が、こんなクオリティを許したなんて理解できませんよ」
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。翻訳/和田 萌
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