THE INTERVIEW Vol.1 SUGIZO ~前編「敬愛する坂本龍一氏へのメッセージ」~

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The Hollywood Reporter Japan編集長が今一番注目する「表現者」を立体的に掘り下げる「THE INTERVIEW」。

初回は、音楽活動のみならず、ファッション、社会活動など、自身のメッセージをあらゆるファクターを通して伝える表現者・SUGIZOが登場、多面的な表現活動の源や人生の哲学など編集長山本が一番気になることを問うてみた。

前編では、2023年3月28日に71歳でこの世を去った偉大なる芸術家・坂本龍一氏への想いを語った特別編をお届けしよう。

山本: 世界中を喪失感が覆った先日の坂本龍一さんの逝去。SUGIZOさんは楽曲も一緒に手掛けられてきましたし、坂本さんに対して、特別な想いがありますよね。

SUGIZO:僕が最も影響を受けた人で、人生が変えてくれたのが坂本さんでした。

彼の音楽を40年以上愛して、ラッキーなことにデビュー後に知り合い、親しくさせていただいた。ご本人が長く闘病生活をされていたのを知っていたので覚悟はしていましたが、やはり本当に悲しいです。

坂本さんから教わったことは「自分も社会的にコミットするべきだ」という意識。 

坂本さんは世界屈指の音楽家なので、楽曲の良さや音楽の素晴らしさが世の中に認められていますが、同時に学生の頃から社会活動に身を投じてきた人でもあるんです。いわゆる「団塊の世代」に続くジェネレーションだと思いますが、「高校生になったら学生運動をやることは自分の中で当然だった」とおっしゃっていましたし、過激なタイプの社会活動家だったんですね。

山本: そうだったのですね。確かに「坂本さんの言動全てに、意味・メッセージがあるな」という印象はあります。何事についても深く考察をされていそうというか。

SUGIZO:一般的なイメージにはあまりありませんが、有名になる前から既に世の中に対する意識を強く持っている方で、音楽家として成功されてからは、環境活動に身を投じられました。ちょうど同時期に、僕も坂本さんと通ずる意識に変わったので、実際の氏の行動やアプローチから多くを教わりました。 

もちろん音楽的なこともたくさん学ばせていただきましたが、直接の指導はほぼありませんでした。坂本さんは弟子を取らなかったんです。

坂本さんは「自分に人に教える資格はない」とか「僕は人に教えられないから」というスタンスでしたから、僕はレコーディングやライブなど、一緒に行動させてもらうなかで多くの学びを得ました。 僕のDNAの最も大きな部分には坂本イズムが流れている。氏のセンスや生き方が僕の心に強く根付いています。

山本: 根底を流れる坂本イズム、今後SUGIZOさんはどう体現していくのでしょうか。

SUGIZO:レベル的にも立場的にも坂本さんには到底及びませんが、意識では負けない自信はあります。残念ながら僕は鍵盤を流暢に扱えませんが、坂本さんがピアノを軸にして生み出した世界観、あの感覚を僕は弦楽器で表現しているつもりですし、これからもそうしていたい。坂本さんから学んだ意識やセンス、何よりも音楽観はしっかり僕らが引き継いでいきたいですね。 

そして音楽の美しさ、そして音楽が持つ、世の中にコミットする力、みんなの意識を鼓舞する力を僕は体現したい。坂本さん自身は「『Power of music』という言葉が嫌いだ」と言っていましたが(笑)、そうは言いつつも氏の音楽は僕の周りで知っている限りでは最も「力」がありました。

100年後300年後、坂本龍一というアーティストは今僕らが認識するベートーヴェンやバッハたちと同等に世界の歴史に刻まれるはずです。そんな偉大な方であり、僕の最も影響を受けた師匠であるといえます。

………

SUGIZOが子供の頃から尊敬し、「僕が最も影響を受けた人」である坂本龍一。

2人は90年代より共に楽曲を手掛けるなど数々の創作活動を共にしてきた。 「教授」との愛称で慕われる坂本龍一の魂は、しっかりとSUGIZOが受け継いでいくのだということを、彼の眼力が物語っていた。

THE INTERVIEW Vol.2  SUGIZO 後編「表現者SUGIZOが見る光~今と未来~」へ続く Coming soon…

SUGIZO Profile

作編曲家、ギタリスト、ヴァイオリニスト、音楽プロデューサー。

1992年5月、LUNA SEAのコンポーザー、ギタリスト、ヴァイオリニストとしてメジャーデビュー。
1997年、1年間の同バンド充電期間を機に、ソロアーティストとして活動を開始。
2000年12月、90年代ロックシーンを牽引し数々の伝説を残したLUNA SEAが終幕。
2001年、映画音楽や役者、コンテンポラリー・ダンスにまで領域を広げ、積極的にソロ活動を再開する。
2002年、即興プロジェクト、サイケデリック・ジャムバンド SHAGを始動。数々のクラブ/レイヴシーンで活動。
2004年、期間限定ユニット The FLAREを始動。
2005年、放送作家、トラックメイカーであり社会活動家の谷崎テトラと、即興アンビエント・ユニット S.T.K. (Sensual Tchnology Kooks) を始動。
2006年、英国サイケデリック・トランスのオリジネーター JUNO REACTORに加入。
2007年12月、LUNA SEAが東京ドームにて一夜限りの復活ライヴ「GOD BLESS YOU ~One Night Dejavu~」を行う。
2009年、2008年の再結成以来、サポートを務めてきたX JAPANに正式メンバーとして加入。
2010年、LUNA SEAが海外公演を含めたREBOOTツアーを行い本格的にバンド活動を再開する。
それ以降、LUNA SEA、X JAPAN、JUNO REACTOR、そしてソロと、八面六臂の活動をワールドワイドに展開。
2016年、初めてヨルダンのシリア難民キャンプを訪れ慰問演奏。それ以降中東各地の難民キャンプでの演奏活動を展開していく。
2017年、モジュラーシンセサイザー界のアジテーター、HATAKENとの即興デュオ SUGIZO×HATAKENを始動。
2018年、機動戦士ガンダム40周年プロジェクトの音楽プロデューサーに就任。
2019年、生誕50歳を記念したイベント「SUGIZO 聖誕半世紀祭 HALF CENTURY ANNIVERSARY FES.」を開催。
2020年12月、サイケデリック・ジャムバンド SHAGを12年振りにBlueNote Tokyoにて再始動させる。

幼少期よりヴァイオリンや楽典等、クラシック音楽の英才教育を受けて育ち、綿密に構築された唯一無二の作曲能力、瞬間を切り取り光に昇華させるかのようなギター&ヴァイオリン・パフォーマンス、美麗かつ深淵な宇宙的スピリチュアル・サウンドデザインは極めて評価が高く、
シーンを創世し、ジャンルの境界を壊しながら縦横無尽にアートを舞うその美意識は国内外にて圧倒的な存在感を誇る。
映画、舞台、アニメ音楽、TVCM、をはじめとするサウンドプロデュースに加え、国内外の様々なアーティストのプロデュース、コラボレーション及びセッションを展開。
音楽と平行しながら平和活動、人権/難民支援活動、再生可能エネルギー/環境活動、被災地ボランティア活動を積極的に展開。アクティヴィストとして知られる。

Photo: Chiaki Oshima
Hair & Make Up Artist:Yumi Sakai
Video: Arata Kurosawa
Video Edit: Yuki Tanzawa
Writing: Makiko Yamamoto
Naoya Koike Costume: THE ONENESS

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