ハル・ベリーが語る黒人女優とオスカーの関係:「業界は私たちの味方じゃない」

ハル・ベリーはアカデミー賞が創設されてから100年近い歴史の中で、今なお主演女優賞を獲得した唯一の黒人女性である。
先日、ベリーはApple TV+で放送されているドキュメンタリー番組『ナンバー・ワン・オン・ザ・コールシート』に出演。その中で彼女は『チョコレート』(2001)で黒人女性としては初のオスカーに輝いて以降の業界を振り返り、忸怩たる思いを吐露していた。
「自問せずにはいられないんですよ。『あれ(自身のオスカー受賞)は本当に意味があることだったの?あれから有色人種の女性が置かれた状況は変わった?私たちの姉妹はどうなったの?』って」
これまでアカデミー主演女優賞には15人の黒人女優がノミネートされてきており、直近ではシンシア・エリヴォが『ウィキッド ふたりの魔女』(2024)でノミネートされたことも記憶に新しい。しかしエリヴォを含め、彼女らはあと一歩のところで受賞を逃してきた。
ベリーの見立てでは、近年で最も黒人女性がオスカー受賞に近づいたのは2021年だったようだ。
「数年前、私はアンドラ・デイと同じテーブルだったんです。向こう側の部屋にはヴィオラ・デイビスもいました。二人とも素晴らしい演技でその年の主演女優賞にノミネートされていましたね。(デイは『The United States vs. Billie Holiday(原題)』、デイビスは『マ・レイニーのブラックボトム』でそれぞれノミネート)私はその時、今年のオスカーは100%彼女たちのうちどちらかになると確信していました。それぞれ違うけど、同じくらいに魅力的だったので、私はその時オスカーに相応しいのはどちらかだろうと思っていたんです」
しかしそんなベリーの思いとは裏腹に、結局その年の主演女優賞に輝いたのは『ノマドランド』(2020)のフランシス・マクドーマンドだった。
「実際のところ、この業界は私たち(有色人種女性)の味方ではないんです。だから、私たちに向けたものではないものを望むのはやめにしましょう。結局のところ、私たちにとって一番大事なのは『どうやって皆さんの人生の1ページ上に残るか』ということですし、それこそ映画が芸術として目指すべき目標じゃないでしょうか」
また、同番組ではアカデミー助演女優賞を受賞した経験のあるウーピー・ゴールドバーグも出演し、「ちょっと待ってちょうだい。私たちの演技がそんなにダメだったんでしょうか?こんなにいて誰も受賞できないなんて」と黒人女優がなかなかオスカーを受賞できていない現状に驚きを隠さなかった。
また、かつてアカデミー助演女優賞にノミネートされた経験のあるタラジ・P・ヘンソンは同番組中で、黒人女性が助演女優賞部門では比較的評価されやすい理由を彼女なりに分析した。
「業界は私たちを主役だと思ってないんじゃないでしょうか。助演女優賞に関してはまるでクリスマスのお菓子みたいに黒人女優に対してばら撒くのに。どういうわけか理解ができません」
決して彼女らが偏見によって受賞を阻まれているとは考えたくないが、その努力が正当に評価される日が来ることを願いたい。
※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事(英語)はこちら
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