NY地下鉄の歌姫アリス・タン・リドリー死去

歌姫 アリス・タン・リドリー 死去
アリス・タン・リドリー 写真:Pini Siluk
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 アリス・タン・リドリーさんは、2024年3月25日にニューヨークで亡くなった。享年72歳だった。彼女は約30年間、ニューヨーク市の地下鉄でゴスペルやR&Bを歌い、通勤客を魅了してきた。その後、2010年にNBCのオーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』に出演して注目を浴び、63歳で初のスタジオアルバムを発表した。娘は、映画『プレシャス』で知られるオスカー候補の女優ガボレイ・シディベ。

リドリーさんは1952年12月21日、ジョージア州チャールズ・ジャンクションで8人きょうだいの7番目として生まれた。1969年に高校を卒業し、1971年にニューヨークへ移住。ニューヨーク州教育委員会から教員免許を取得し、2人の子どもを育てながら特別支援学校で教員として働いていた。しかし離職と離婚を経験し、シングルマザーとして生活費を稼ぐために、主にハーラルド・スクエア駅で地下鉄パフォーマンスを始めた。

2002年には、Foxの番組『30 Seconds to Fame』のパイロット版に出演して2万5千ドルを獲得した。2005年には『ショウタイム・アット・ジ・アポロ』に出場し、同年、デヴィッド・ラシャペル監督のドキュメンタリー映画『Rize』で「Amazing Grace」を、エリザベス・バンクスとグレン・クローズが出演した映画『Heights』で「America the Beautiful」を披露した。また、ハーレムの老舗ジャズクラブ「コットンクラブ」でも長年にわたり歌声を響かせた。

2010年には地下鉄でのパフォーマンス中に、イスラエル人学生ドヴィール・アスーリンさんに見出され、マネージャーとして迎え入れたことで音楽活動が本格化した。同年、彼女は『アメリカズ・ゴット・タレント』のオーディションでエタ・ジェイムズの「At Last」を熱唱し、審査員たちの心を掴み、準決勝まで進出した。その後もアメリカ国内外の会場で活躍し、ニューヨークのB.B.キングズ・クラブや各地のアートセンターで公演を行い、アルゼンチン、ドイツ、ウルグアイ、モロッコ、ルーマニア、オランダなどでも歌声を届けた。

2016年には、ジェイ・ストラーさんと共に制作したオリジナル曲とお気に入りの楽曲を収録したスタジオアルバム『Never Lost My Way』をリリースした。歌詞には、子どもの成長を見守る母の想いや、裏切りへの痛みなどが込められている。その後、彼女は再び地下鉄でも歌うようになり、「地下にいないと寂しくなる」と語っていた。晩年はツアー活動を続けていたが、2018年には認知症の兆候が見られたため引退した。彼女は、娘ガボレイさんのほか、息子アーメッドさん、兄弟姉妹、双子の孫クーパーさんとマヤさんに見守られて旅立った。また、公民権運動家だった姉のドロシー・ピットマン・ヒューズさんと、歌手の兄ロジャー・リドリーさんはすでに他界してる。

※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら

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