【カンヌ映画祭2025】パルムドールにイランのジャファル・パナヒ監督作『シンプル・アクシデント』

第78回カンヌ国際映画祭が現地時間24日に閉幕し、イランの反体制派監督ジャファル・パナヒ氏のスリラー映画『シンプル・アクシデント / It Was Just an Accident(英題)』が最高賞・パルムドールを受賞した。
数年前にテヘランで投獄され、20年間の渡航および制作活動禁止処分を受けていたパナヒ監督は、再びカンヌに凱旋。審査員長で、熱心なパナヒ・ファンでもあるジュリエット・ビノシュから賞を手渡された。
2023年の釈放後初となるパナヒ監督の新作『シンプル・アクシデント』は、イランの権威主義体制への痛烈な批判を込めたスリラー。元政治囚が拷問の加害者と信じる男を拉致し、他の反体制派と共に殺すべきか赦すべきかを議論する物語だ。
パナヒ監督は今回の受賞で、欧州3大映画祭の最高賞をすべて制覇した。ベネチア国際映画祭で『チャドルと生きる』により金獅子賞(2000年)を、ベルリン国際映画祭で『人生タクシー』により金熊賞(2015年)を受賞したパナヒ監督は、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー、ミケランジェロ・アントニオーニ、ロバート・アルトマンに続く4人目の「3冠監督」となった。
2025年のカンヌ審査員には、俳優のハル・ベリー、ジェレミー・ストロング、アルバ・ロルヴァケルをはじめ、監督のデュド・ハマディ、ホン・サンス、パヤル・カパーリヤー、カルロス・レイガダス、作家のレイラ・スリマニらが名を連ねていた。
その他、今年の審査員賞には、ドイツ人監督マシャ・シリンスキによる農家の邸宅を舞台に四世代にわたる物語を描いた『Sound of Falling(英題)』、スペイン人監督オリバー・ラクセによるモロッコ砂漠を舞台にテクノ的要素を交えた終末劇『Sirat』の2作品が選出された。
以下、主要受賞一覧:
■パルムドール
ジャファル・パナヒ監督『シンプル・アクシデント』
■グランプリ
ヨアキム・トリアー監督『Sentimental Value』
■審査員賞
マシャ・シリンスキ監督『Sound of Falling』&オリバー・ラクセ監督『Sirat』
■監督賞
クレベール・メンドンサ・フィリオ『The Secret Agent』
■脚本賞
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ『Young Mothers』
■女優賞
ナディア・メリティ『The Little Sister』
■男優賞
ワグネル・モウラ『The Secret Agent』
■特別賞
ビー・ガン監督『Resurrection』
■カメラドール(新人監督賞)
ハサン・ハディ監督『The President’s Cake』
■短編パルムドール
タウフィーク・バルホーム監督『I’m Glad You’re Dead Now』
※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら。
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