『宝島』全国キャラバンが舞台の沖縄からスタート、主演・妻夫木聡が万感の挨拶
真藤順丈氏の直木賞受賞小説を映画化した『宝島』の、9月19日の公開に向けた全国キャラバンが7、8の両日、舞台となった沖縄からスタートした。
米国統治下の沖縄で、「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちが生き抜いた時代を、1970年のコザ暴動を象徴として描く物語。主演の妻夫木聡は、「全国の皆さんに直に会いに行って届けたい」と宣伝アンバサダーに名乗りを上げ、7日に共演の広瀬すず、大友啓史監督とともに那覇市のシネマQで行われた沖縄プレミアに出席した。
役づくりのために膨大な資料を読み込み、現地に何度も足を運んで地元の人々に取材。コロナ禍による二度の撮影延期を乗り越えてのお披露目だけに、舞台挨拶では感無量の表情を浮かべた。
何度も声を詰まらせ、観客から「頑張れ~」の後押しを受け「戦後 80年という節目に公開されることになったのは、もしかしたら、時間をかけて練り上げる時間を神様がくださったのではないかと思う」としみじみ話した。さらに、「過去を描くことは未来への問いかけだと思いました。今を生きる僕たちは、未来を生きる子供たちのために何を託せるのかを今一度考える時なのかなと思っています」と力強く訴えた。
上映後は宣伝アンバサダーの名刺を、340人の観客全員に手渡しし「映画を見たお客さまとしっかりと向き合い、時間を共有できたことはとても貴重な体験だった。この思いを持ち全国キャラバンの向かいたい」とさらなる意欲。大友監督も「妻夫木くんは最初に『この作品と心中します』と言ってくれた。映画は人生を変えるきっかけにもなる、そういう
力を発揮できる題材があるとしたら『宝島』だと思います」と自信のほどを語った。
この日は那覇市立那覇中学校を訪れ、映画を見た生徒たちと交流。「自分たちは生まれた時から当たり前に米軍基地があったけれど、映画を見て実際にどんなことがあったかを知り、これからどうするべきかを考えることが大事だと思う」という感想には、3人が感心して顔を見合わせる一幕もあった。
広瀬は「皆さんの素敵な言葉と真っすぐな目で見た作品の感想や、疑問を生の声で聞けたことで今までの苦労が報われた」と感謝。妻夫木は「地元の子供たちの素直な気持ちにふれられて本当にうれしかった。僕たちは先人たちの思いを受けて精いっぱい生きていかなくてはいけないし、これからどう生きるべきなのか、お互いに手と手を取り合って考えていくきっかけになるような映画になったらうれしい」と熱い思いを伝えた。
記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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