『エイリアン:アース』8月放送開始!AIと階級闘争、そして“人間の恐怖”とは?

『エイリアン:アース』写真:The Hollywood Reporter
『エイリアン:アース』写真:The Hollywood Reporter
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エイリアン』シリーズ初のテレビ作品『エイリアン:アース』が2025年8月12日に米FX(およびHulu)で配信開始される(日本・欧州などは8月13日にDisney+)。「企業支配」「技術倫理」「階級闘争」 といった現代的テーマを交えつつ、サーガに新たな命を吹き込む本作について、脚本・製作を手がけたノア・ホーリーが語った。

モンスター映画をどう長編ドラマに?

ウェンディ役のシドニー・チャンドラー、FX製作『エイリアン:アース』より Patrick Brown/FX
ウェンディ役のシドニー・チャンドラー、FX製作『エイリアン:アース』より Patrick Brown/FX

「一番の課題は、2時間のモンスター映画をどう何年も続くドラマにするかでした」とホーリーは語る。彼は、『エイリアン』1作目と2作目が与えた感情体験を再現するために、全く新しい物語を構築した。

「『ゲーム・オブ・スローンズ』のホワイト・ウォーカーのように、モンスターは重要な存在。でも物語の本質は“それ以外”にある。『エイリアン:アース』もまず優れたドラマでなければならない。その上で、モンスターは“ボーナス”として恐怖を与える存在なのです。」

AIと人類の未来――“2種類の怪物”の物語

「『エイリアン』が他の怪物映画とちがったのは、敵が2種類いたこと。人類が作ったアンドロイドと、偶然出会った宇宙の怪物です。この構造が、人類の生存価値を問うことに繋がる。」

ホーリーはまた、物語の舞台を「エジソン、テスラ、ウェスティングハウスが電力の未来を争った1900年頃」と重ね、テクノロジーの進化と道徳の衝突を描く。

ウェンディという存在――子供の心を持つ合成生命体

主人公のウェンディは、人間の子供の意識を持つハイブリッドアンドロイド。彼女は人類の“道徳”に直面し、その中で「人間であるとは何か?」を探っていく。

「子供は嘘が下手で、恐怖を隠せない。そんな子供が人間社会の“恐怖”を学び、どんな選択をするかが見どころです。肉体的なホラーだけでなく、人間同士が生む“道徳的な恐怖”を描きたかった。」

モンスターは社会構造のメタファー

映画『エイリアン: ロムルス』写真: Courtesy of 20th Century Studios
映画『エイリアン: ロムルス』写真: Courtesy of 20th Century Studios

ホーリーは、『エイリアン』シリーズに一貫する“階級闘争”にも注目。第1作は宇宙トラック運転手、第2作は海兵隊が主人公。企業の中間管理職が冷徹な判断を下す構図は、1970年代的な階級問題が背景にある。

「今回のドラマでも、企業間の権力争いを軸に、現代社会の縮図を描きました。」

“未知”を再び恐怖に――新たな異星生命体

「Xenomorph(エイリアン)の生態はすでに知られている。だから今回、新しい生命体を登場させた。観客に再び“こいつは何を食べ、どう繁殖するのか?”という未知への恐怖を味わってほしかった。」

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督に助言を求めた

「スケール感と親密さを同時に描けるのがヴィルヌーヴ監督の強み。『DUNE/デューン 砂の惑星』を例に、壮大なのに“心の近さ”がある。彼に相談できたことは幸運でした。今のテレビは“スモールスクリーン”ではない。家庭で観る『エイリアン』や『DUNE』でも、迫力とスケールは感じられる。そのために映像表現には細心の注意を払いました。」

『FARGO/ファーゴ』の今後は?

同じくホーリーが企画・監督を務める人気シリーズ『FARGO/ファーゴ』の今後についても言及。現時点では『エイリアン:アース』の続編が優先される可能性が高いものの、「次のシーズンの準備はできている」と語り、どちらのシリーズも継続に向けた体制は整っているという。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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