セバスチャン・スタン、ルーマニアが舞台の映画『フランケンシュタイン』で1人2役を演じる予定

アウトゥール(作家)主義的なスタイルと風刺的・批評的な視点で知られるルーマニアのラドゥ・ジューデ監督(『Kontinental ’25(原題)』(2025年)、『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』(2021年)、『Do Not Expect Too Much From the End of the World(原題)』(2023年))は、日曜日にロカルノ国際映画祭で待望の新作長編『ドラキュラ(原題)』を世界初上映する。
しかしジューデ監督はすでに、もうひとつの象徴的ホラー小説の人気キャラクター「フランケンシュタイン」を題材にした映画の脚本を書き始めている。そして、その主演を務めるのは、マーベル・シネマティック・ユニバースで知られる俳優セバスチャン・スタン(『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』(2024年)、『顔を捨てた男』(2024年)、『パム&トミー』(2022年)、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021年))である。
「いま映画の脚本を書いているところだ」とジューデ監督は米『ハリウッド・リポーター』に語る。「ルーマニアを舞台にしたフランケンシュタイン映画だ。タイトルは『Frankenstein in Romania(原題仮題、ルーマニアのフランケンシュタイン)』になる予定である」
スタンと異端の作家主義監督ジューデは以前から協働への関心について話し合っていたが、当初ジューデ監督には具体的な構想がなかった。その後、ルーマニアで生まれ、母と共に渡米した経歴を持つスタンに対し、ジューデ監督はフランケンシュタイン映画の企画を提案し、スタンはそれを気に入ったという。ジューデ監督は、スタンがヴィクター・フランケンシュタインと怪物の“二役”を演じる構想であると述べている。
物語は、過去にルーマニアに存在したとされるCIAのブラックサイト(極秘拘置施設)という実在の出来事と、フランケンシュタインの怪物伝説とを融合させたものになるとみられている。
一方、ギレルモ・デル・トロによるダークな再解釈版『フランケンシュタイン』(主演:ジェイコブ・エロルディ、オスカー・アイザック、ミア・ゴス/Netflix製作)は、先ごろヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門のラインナップとして発表されたばかりである。
ジューデ監督にとって2025年は多忙な年である。今年初めには、ルーマニアの住宅危機と複雑な立場にある中間層を題材にした不条理コメディドラマ『Kontinental ’25(原題)』をベルリン国際映画祭で世界初上映し、脚本賞にあたる銀熊賞を受賞した。
ジューデ監督は、日曜午後にスイスで開幕中の第78回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門で、自身の新作『ドラキュラ(原題)』を世界初上映する。本作は、ジューデ監督が定評を得てきたブラック・コメディをふんだんに盛り込みつつ、ドラキュラ神話を解体・再構築した作品である。映画祭公式サイトは「本作には一部の観客の感受性を刺激し、衝撃を与えうる場面が含まれている」と注意書きを掲載している。
ロカルノでの上映後、ジューデ監督は次回作の撮影に入る予定だ。「オクターヴ・ミルボーの小説『女中日記』と遠い対話をするような作品だ』」とジューデ監督は米『ハリウッド・リポーター』に語る。
「移民や、海外で働くルーマニア人について語りたい。物語は、フランスのボルドーでフランス人一家のために働く1人の女性を描くが、彼女の幼い娘は故郷に残っている。そうした深刻なテーマを扱う映画である」
つまり、その作品は『ドラキュラ(原題)』のような雰囲気はあまりないということだ。「ある意味では『Kontinental ’25(原題)』に近く、少し真面目な作品になる」とジューデ監督は説明する。「登場人物の物語を通して、西欧世界とルーマニア、そして東欧とのつながりを描きたいのだ」
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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