ジム・ジャームッシュ新作、ケイト・ブランシェットら豪華キャストでヴェネツィア映画祭に登場 観客から大喝采

映画監督ジム・ジャームッシュの新作『Father Mother Sister Brother』が第82回ヴェネツィア国際映画祭でワールドプレミア上映され、観客から温かいスタンディングオベーションを受けた。
本作にはケイト・ブランシェット、シャーロット・ランプリング、ヴィッキー・クリープス、メイム・ビアリク、ルカ・サバト、インディア・ムーアら豪華キャストが出演。アダム・ドライバーとトム・ウェイツは欠席したが、レッドカーペットには監督と主要キャストが揃って登場した。
上映後には約5分にわたり拍手が鳴りやまず、クリープスがジャームッシュに抱きつき「最高よ」と言葉をかける姿も見られた。本作は三部構成の作品で、アメリカ北東部を舞台にした「Father」ではウェイツ、ドライバー、ビアリック、ダブリンを舞台にした「Mother」ではブランシェット、ランプリング、クリープス、そしてパリを舞台にした「Sister Brother」ではサバトとムーアが出演。いずれも大人になった子どもたちと距離のある親やきょうだいとの関係を描く。
ジャームッシュは「アンチ・アクション映画」であり、繊細なディテールの積み重ねによって成立する静かな映画だと説明。撮影監督フレデリック・エルムズやヨリック・ル・ソー、編集のアフォンソ・ゴンサルヴェスら常連スタッフとともに仕上げた作品で、観客には三部作をまとめて観てほしいと強調した。米国では配給会社Mubiより12月24日に公開される予定である。
記者会見では映画のアイデアについて「3週間で一気に書き上げた。どこから来たのか自分でもわからない」と語った一方、会場ではMubiの資金調達についても質問が飛んだ。Mubiは最近セコイア・キャピタルから1億ドルの投資を受けたが、同社がイスラエルの防衛関連企業に出資していることが批判を集めており、関係者が懸念を示している。これについてジャームッシュは「失望し、不安を覚えた」と正直に語り、「企業資金は多かれ少なかれ汚れている。映画会社の資金源を掘り下げれば必ず“きな臭さ”が出てくる」と述べ、自身も独立映画監督として資金調達に苦労してきたことをにじませた。
監督の率直な発言は会場の空気を引き締めつつも、作品の静謐な美しさと並んで強い印象を残した。こうしてジャームッシュの最新作は、映画祭で温かく迎えられると同時に、映画業界と資金の関係という現実的な問題にも焦点を当てる場となった。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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