シム・ウンギョン×堤真一『旅と日々』東京プレミア──堤の“存在”に感謝、ロカルノ金豹賞受賞作が11月7日公開
8月のスイス・ロカルノ国際映画祭で金豹賞(グランプリ)を受賞した『旅と日々』の前夜祭が6日、東京・TOHOシネマズシャンテで行われ、出演のシム・ウンギョン、堤真一、髙田万作と三宅唱監督が出席した。
ロカルノ以降、スペインのサン・セバスチャン、韓国の釜山などでも上映。三宅監督は、「楽しい映画を作ったと思っていて、ちゃんと笑いが起きてほっこりする。感じで確実に届いたと感じた。登場人物に愛着を持ってくれて、その魅力もどの街でも伝わったと思う」と手応えを口にした。

つげ義春氏の漫画「海辺の叙景」、「ほんやら洞のべんさん」が原作。執筆に行き詰まった脚本家が、旅先の雪国で寂れた宿の主人との出会いを通して新たな一歩を踏み出す姿を描く。
主演のシムは、母国・釜山での上映に立ち会い「ユーモアのあふれているセリフでも、演じる時はシリアスな感覚だったのに、思った以上の爆笑にビックリした」と笑顔。「この映画を通して、映画がなぜ存在するのかを皆さんと共有し考えたい」と、感想の投稿を呼びかけた。
宿の主人役の堤とは2019年の舞台「良い子はみんなご褒美がもらえる」で父娘役を演じて以来の共演。堤は、「久しぶりだったけれど、ウンギョンちゃんは全然変わらなくて透明感がある。僕は確実にじじいになっていますが」と冗談めかした。

シムも、「舞台の時は私も未熟で、堤さんを見習うことが多かった。ずっとまたご一緒したいと思っていて、撮影前は緊張しちゃうかもと思っていたけれど、始まったらすぐに緊張がなくなっていった。現場での存在は大きな支えになりました」と感謝。続けて「堤マジックですね」と向けられた堤は、「それはねえだろ」と否定したが、うれしさを隠せない様子だった。
三宅監督は、「89分、あっという間に終わるのでお見逃しなく。ベースはつげ先生の漫画なので、漫画も読んでみてほしい。それからもう一回、映画館に来てください」とアピール。堤も、「いい映画に参加できたと心から思っている。自分でもビックリするくらい感動した。カット割りや情景のとらえ方、奇跡的な映像もあって間合いも素敵」と賛辞を惜しまなかった。
『旅と日々』は、11月7日に全国で公開される。

取材/記事:The Hollywood Reporter Japan 特派員 鈴木元
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