ゴッサム賞2025:作品賞は『ワン・バトル・アフター・アナザー』、ジャファル・パナヒ監督作が主要部門を独占
現地12月1日、ニューヨークで開催されたゴッサム・アワードで、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ワン・バトル・アフター・アナザー』が最優秀作品賞(Best Feature)を受賞した。
アンダーソン監督は壇上で「正直、受賞は予想していなかった。でも本当にうれしい」と語り、さらに「今日は個人的にも大切な日。24年前に、人生を変えてくれた女性に出会った日でもある」と、パートナーのマーヤ・ルドルフにメッセージを添えた。
ジャファル・パナヒ監督『It Was Just an Accident(原題)』が3冠

もっとも大きな存在感を示したのは、イランのジャファル・パナヒ監督。新作『It Was Just an Accident(原題)』が脚本賞・国際作品賞・監督賞の3部門を独占した。
受賞スピーチでは、「支援がなくても沈黙の中でカメラを回し続ける世界中の独立映画作家たちに、この賞を捧げたい。真実と人間性を信じてすべてを賭けて作品をつくり続ける人々への敬意として受け取ってほしい」と語り、会場は拍手に包まれた。
授賞式の数時間前、パナヒ監督がイランで欠席のまま禁錮1年の判決を受けたことが報じられた直後の受賞だったことも、衝撃と感動を呼んだ。
『My Father’s Shadow(原題)』『罪人たち』が演技部門で躍進

主演賞(Outstanding Lead Performance)は『My Father’s Shadow(原題)』のソペ・ディリスが受賞。同作は新人監督賞と合わせて2冠を達成した。
助演賞(Outstanding Supporting Performance)は『罪人たち』のウンミ・モサク。欠席したモサクに代わり、監督ライアン・クーグラーが登壇し、「彼女が画面に現れると、作品の重心そのものが変わるほどの俳優だ」と称えた。
トリビュート受賞は豪華ラインナップ
競技部門とは別に、映画界への貢献を称えるトリビュート受賞も注目を集めた。
- ノア・バームバック(ディレクター・トリビュート)
- ギレルモ・デル・トロ/オスカー・アイザック/ジェイコブ・エロルディ(ヴァンガード・トリビュート)
- テッサ・トンプソン(スポットライト・トリビュート)
- ケイト・ハドソン&ヒュー・ジャックマン(ミュージカルトリビュート)
- ジュリア・ロバーツ&ルカ・グァダニーノ(ヴィジョナリートリビュート)
壇上では「独立映画とは予算ではなく“視点”と“個性”である」「世界が揺らぐ時代に創作を続けることが、世界をつなぎ止める」と語られ、ゴッサムの精神を象徴する言葉として印象を残した。
“独立映画の声”を示した2025年ゴッサム
興行規模やシリーズ人気ではなく、語るべき物語・視点・作家性を讃えるというゴッサムの理念が、今年は特にはっきりと示された夜だった。
賞の結果だけでなく、“どんな状況でも映画をつくり続ける意志”が称えられた授賞式。
独立映画の精神そのものに光を当てる、象徴的な回となった。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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