【独占】北野武氏がジャニーズ性加害問題に言及: 「こういった話はずっと出回っていた」

北野武氏 写真: ©ANDREAS RENTZ/GETTY IMAGES

北野武氏が、現在日本のメディアを揺るがしている性加害問題に言及した。

過去何十年にもわたり、ジャニーズ事務所の創業者ジャニー喜多川氏には性的虐待の噂があった。しかしながら、日本のメディアは喜多川氏の疑惑を追ったBBCのドキュメンタリー『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル』が放映されるまで、この問題を報じてこなかった。最近では、元所属タレント数人が少年時代に受けたとされる性被害を公表し、同事務所は異例の謝罪動画を公開した。

24日、米ハリウッド・リポーターカンヌ国際映画祭で『』の北野武氏にインタビューを実施。世間で噴出する非難の声について、自身の考えを述べた。

「やっと日本でもLGBTQやセクシャルハラスメントの問題について声を上げれるようになった。私たちの業界内では、こういった話はずっと存在していたのです」1997年に監督作『HANA-BI』でヴェネツィア映画祭金獅子賞を獲得した北野氏は語る。

2019年に死去した喜多川氏は、日本の音楽業界において男性グループのモデルを築いたパイオニアとされる人物。権力を利用して自身や会社についての報道を意のままにし、東京の大手メディアやエンタメ複合企業を操っていたことで知られている。

最初に疑惑が持ち上がったのは1965年。4人の少年に対し性的な誘いをかけたとして、その親たちが喜多川氏を訴えようとした。1988年には、人気グループのメンバーだった北公次氏が自伝で喜多川氏から性的な虐待を受けたと告白。さらに1999年、週刊文春が匿名の男性タレントから得た子供への性的虐待に関する証言を含んだ調査レポートを公開。その後、会社は週刊文春を名誉毀損で訴えた。東京の最高裁判所は、喜多川氏の性的虐待に関する報道の主な部分は事実とする一方で、未成年の少年に喫煙や飲酒をさせたことは疑わしいとした。文春の出版社は、損害賠償金としてジャニーズ事務所に120万円の支払いを命じられた。

数々の大人気グループを抱える会社に疑惑が持ち上がったにもかかわらず、日本のメディアはほぼ完全な沈黙を貫いた。喜多川氏は所属タレントを日本の音楽・映画・テレビや広告業界にとって必要不可欠な存在に育て上げ、各メディア複合企業は喜多川氏に不利なコメントを出して彼に背くことが許されなかった。

日本で最も著名なエンターテイナーの1人である北野氏は、タレント事務所が絶大な権力を振りかざすことを許してきた構造的な影響力を非難。「戦後の時代以来、日本には非常に大きなタレント事務所が存在しています。(公平な)契約を結ぶというよりは、こういった事務所はタレントを奴隷のように扱うのです。それは現在に至るまでも続いています。タレントの稼ぎは搾取されてしまう。最近、古い組織的な慣習や、過去に起きた出来事が表面化してきました」

3月にBBC制作のドキュメンタリーが放映されたのち、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏が週刊文春のインタビューに応じ、外国特派員協会で記者会見に臨んだ。オカモト氏は、2012年に15歳で事務所入りし、その後4年間で15~20回にわたって喜多川氏から性的虐待を受けたという。さらに、喜多川氏が3人のジャニーズJr.に性的暴行を加えているさまを目撃したと語った。

現地報道によると、なぜ少年たちは虐待に耐えたのかと問われたオカモト氏は「そもそも、ジャニーズでデビューできる子たちはジャニーさんのお気に入りなんです。ジャニーさんの鶴の一声ですべてが決定することを誰もが知っていました」と回答。また、他のジャニーズJr.の少年たちから「(喜多川氏)のマンションに行かなければ、スターにはなれない」と聞いていたそうだ。

激しい抗議の声が高まるなか、5月中旬にジャニーズのファン団体が1万6,000以上の署名を集めた嘆願書を提出し、事務所に内部調査を行うよう求めた。ジャニーズ事務所の社長で、喜多川氏の姪の藤島ジュリー景子氏は史上初めて性加害問題に正面から取り組むことになった。

藤島氏は同事務所のウェブサイトで公開した声明動画内で「この度は、創業者ジャニー喜多川の性加害問題について世の中を大きくお騒がせしておりますこと心よりお詫び申し上げます」と発言。そして一連の問題を“非常に重く”受け止めていると述べたものの、事実認定することはなかった。1999年に文春がレポートが公開した当時、藤島氏は取締役で会社はジャニー喜多川氏とメリー喜多川氏の2人体制で運営されていたという。

本件を含め、2人以外には知ることの出来ない状態が恒常化していました」と藤島氏は語り、「当然のことながら問題がなかったとは一切思っておりません。一方で、当事者であるジャニー喜多川に確認できない中で、私どもの方から個別の告発内容について事実と認める、認めないと一言で言い切ることは容易ではありません」と加えた。

その後、さらに2名の告発者が名乗り出ている。ダンサー・俳優の橋田康氏は、国会で行われたヒアリングで13歳で入所したのち喜多川氏から2度性的暴行を受けたと明かした。同じく元所属タレントの高橋竜氏は、自身を喜多川氏の性的な誘いかけを運よく拒絶できた1人である表現。高橋氏は藤島社長の謝罪は“苦肉の策”と述べ、数十年以上存在する性加害の噂や疑惑を知らなかったという会社側の主張を否定した。

そして、高橋氏は東京の朝日新聞に対し「噂は存在していました。しかも、裁判所は週刊文春を相手取った訴訟で判決を下しているのです。取締役を務め、のちに社長の座を引き継いだ人の口から“知らなかった”という言葉が飛びだしたことは、理解できません」と話した。

※今記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら

Similar Posts