『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』で忠実にトランプを再現したメイクチームの舞台裏

Three wigs were used to transform Sebastian Stan into Donald Trump for The Apprentice, directed by Ali Abbasi. Hair department head Michelle Côté says the look changed depending on the timeline.
映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』でドナルド・トランプを演じるセバスチャン・スタン 写真:APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC./PROFILE PRODUCTIONS 2/TAILORED FILMS LTD.
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アメリカのTV番組『アプレンティス』で特殊メイクアーティストとヘアメイクアーティストを務めていた人物は、セバスチャン・スタンをドナルド・トランプとして再現するという興味深い課題に直面していた。

『アプレンティス』の特殊メイクアーティストを担当していたブランディ・ブーレ。彼女は、ドナルド・トランプの髪型や顔、体型の変化を再現するために、数カ月にわたって彼を研究していた。

「彼の肌が少し暗くなり始め、まだオレンジには至っていない時期にはファンデーションを調整しました。また、その時期に合わせてもみあげを整え、眉毛やかつらの色も変更しました。さらに、髪が薄くなり始めた頃には、かつらの下に透けて見えるプレートを使用しました」

「彼が体調を崩していた時やダイエットピルを使用していた時は、汗ばんだように見せたり、毛細血管が切れた跡を再現したりと、肌の崩れを表現しました」とセバスチャン・スタンをトランプへと変身させる過程について語った。

これらはすべて、アリ・アッバシ監督が手掛けるドナルド・トランプの若き日を描いた映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』で、トランプを再現するために行われた徹底的な準備の一部である。

映画『アプレンティス』のメイクアップ部門の責任者コリン・ペンマン、ヘア部門の責任者ミシェル・コテ、特殊メイク部門の責任者ショーン・サンソムは、それぞれ俳優たちをその役柄に仕上げるための懸命な取り組みが行われた。

その作業はリサーチから始まり、トランプの有名な髪型を再現するための資料は、トランプの人生が非常に詳細に記録されているため、簡単に見つけることができたそう。

「私はトランプの人生のさまざまな段階を表現する3種類のかつらを使いました」とヘア部門の責任者ミシェル・コテは述べた。

ブーレと特殊メイク部門の責任者ショーン・サンソムは、時代ごとの違いを表現するために特殊メイクを調整した。

ブーレは「彼が若い頃は、髪がよりブロンドで肌がより白かったです」「映画全体を通じて使用した一つの特殊メイクパーツがありましたが、それを若い頃、年を取った時期、またはふっくらした時期に応じて使い分けました。若い頃のシーンでは、セバスチャンの顔をリフトで引き上げて、より若々しい印象を作り出しました」

続けてサンソムは「それによって、彼の特徴的な横顔に近づけることができました。首から顎にかけてのラインがまっすぐになる感じです」と補足した。また、トランプのビジネス時代を表現する際には、さらに別の手法を取り入れた。その一環として特殊メイクの腹部パーツを使用し、当時の体格や存在感をリアルに再現した。

特殊メイク部門の責任者ショーン・サンソムと特殊メイクおよびメイクアップアーティストのブランディ・ブーレが、セバスチャン・スタンをメイクする様子 写真:Briarcliff Entertainment & Rich Spirit

■ロイ・コーンとイヴァナ・トランプのメイク再現に挑戦

弁護士ロイ・コーンを再現するためには、彼のドキュメンタリー映画『Where’s My Roy Cohn?(原題)』を参考にした。

メイクアップ部門の責任者コリン・ペンマンによると、ロイ・コーンには「特定の特徴」があり、若い頃に鼻の骨を取り除いたことで鼻にその影響がある。また冷たい目つきが特徴だったそうだ。そこで、コーンの目を少し下げるための特殊なパーツを作成した。そして、コーンは「焼きすぎることもない」と言っていたため、日焼けを施すことも重要な要素だった。

ジェレミー・ストロング演じる弁護士ロイ・コーン 写真:APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC./PROFILE PRODUCTIONS 2/TAILORED FILMS LTD.

映画を通して、コーンは肝臓病だと言っていた病気と戦いながら、次第に弱り、病気が進行していく。しかし、広く信じられているのは、彼がエイズ関連の合併症で亡くなったということ(1986年、59歳で死去)。メイクアップ部門は、コーンの「日焼けしたい」という願望を、病気が体に与える影響を表現する手段として使った。

「彼はどんどん色が抜けていき、最終的には黄疸のような黄色や、非常に病的な色合いになっていきました」「ショーンはまた、目の下に第二段階のパーツを作り、こけた頬骨を強調しました。そして、顔の骨構造を際立たせるために、これらの素晴らしいパーツに多くの影を加えました。ミシェルは彼の髪を灰色にし、衣装も少し大きめにして彼を軽く見せました」とペンマンは述べた。

そして、イヴァナ・トランプの晩年を再現するのはもっと難しかったそうだ。それは、トランプと出会う前のモデル時代の写真があまりなかったからだ。ただ、彼女が注目を集めるようになってからの写真は多く手に入り、当時のニューヨークの写真も参考にできそうだ。

制作当初は2時間半かかっていたが、撮影が終わる頃には75分に短縮できた 写真:Briarcliff Entertainment & Rich Spirit

撮影していたシーンの多くは記録された出来事に基づいていたため、アーカイブ写真を簡単に入手できたとサンソムは言う。ブーレは、「私たちの衣装、ヘアメイクで、インタビューで見たものを正確に再現しました」と強調した。セバスチャン・スタンをトランプにできるだけ近づけるよう努力したが、撮影スケジュールの厳しさから外見をその場で変更することもあった。

メイクアップ部門は、日焼けを維持するためセットにスプレーブースを設置 写真:APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC./PROFILE PRODUCTIONS 2/TAILORED FILMS LTD.

コテは、最初はスタンをトランプに仕上げるのに毎日2時間半かかっていたが、撮影終盤には75分で済むようになったそうだ。ペンマンとサンソムは、ストロングのメイクに30分をかけ、セットにスプレーブースを設置して日焼けを補正した。

彼らメイクチームの努力があって完成した映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』だが、ドナルド・トランプ自身は、この映画を「偽りで品がない」とし、「安っぽく、名誉毀損的で、政治的に嫌悪感を抱かせる映画だ」と批判した。

映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』は、来年2025年1月17日に日本で公開予定。

※この記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら

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