AI企業の著作権に関する訴訟、ハリウッドのクリエイターに朗報か
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AIを活用した法律プラットフォームを開発しようとした元競合企業ロス・インテリジェンスと、トムソン・ロイターの著作権めぐる訴訟が行われていた。
この裁判で、ロス・インテリジェンス側がAIシステム「フェアユース」の開発は例外規定によって保護されると主張したが、ビバス判事はこれを認めず、トムソン・ロイターのコンテンツを無断使用することは著作権法に違反すると判断した。
この判決は、AIシステムの訓練に著作権で保護された作品を使用することの合法性に関する先例となる可能性があり、ハリウッドのクリエイターたちがテック企業を相手に起こしている訴訟でも引用されることが予想される。ただし、本件はAIシステムによる新たなコンテンツの生成に関するものではなく、既存の著作物の無断使用をめぐる争いだった。
ステファノス・ビバス判事は、「著作権において独創性は中心的な要素である」と述べ、トムソン・ロイターの著作物が知的財産法で保護されることを認めた。
この判決を受けてすぐに、コンコード・ミュージック・グループは、アマゾン傘下のアンソロピックに対する訴訟において、この判決を考慮するよう求めた。同社は、AIチャットボット「Claude」の訓練に著作権で保護された歌詞が使用されたと主張している。
今回の判決の焦点となったのは、トムソン・ロイターの法律調査プラットフォーム「Westlaw」に含まれるヘッドノート(判決の要点を要約したもの)の著作権保護の有無。ビバス判事は、「ヘッドノートは単なる判決の抜粋ではなく、法律家の編集判断によって創作されたものであり、彫刻家が大理石を削って作品を生み出すのと同じように、独自の著作物として保護される」と述べた。
また、判決では、ロス・インテリジェンスがフェアユースの適用を主張していた点についても否定された。判事は、同社がトムソン・ロイターのヘッドノートを利用して競争相手となる法的検索エンジンを開発しようとしたため、商業的利用でありフェアユースに該当しないと判断。これは、米国最高裁が「アンディ・ウォーホル財団対ゴールドスミス事件」で示した「商業的利用の影響を考慮する」原則を踏まえたものだった。
知的財産専門の弁護士であるランディ・マッカーシー氏は、「この判決は、AI企業に対して著作権侵害を訴えるアーティストやコンテンツクリエイターにとって強力な武器となるだろう」と述べ、「単に著作物をAIの訓練データとして使用することがフェアユースに該当するとは言えない」と指摘した。
今後、AI技術の主流化に向けて、この問題が法的な主要争点の一つとなることになりそうだ。
※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら 。
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