『スター・ウォーズ』:ルーカスフィルムの後任は誰に?
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ルーカスフィルムのキャスリーン・ケネディ社長の引退報道を受け、誰が引き継ぐのかが業界内及びファンの間で注視されている。
2008年にデイブ・フィローニが手掛けた高評価のアニメシリーズ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』が放送開始された際、初回エピソードのオープニングクロールにはこう記されていた—「偉大なリーダーは、他者に偉大さを抱かせる」
では、長年ルーカスフィルムを率いてきたキャスリーン・ケネディが今年後半に退任する今、ディズニーは次世代の『スター・ウォーズ』のクリエイターたちに偉大さを抱かせる存在として、誰を選ぶべきなのだろうか?
この人選は、ルーカスフィルムの歴史の中でも類を見ないものとなるだろう。『スター・ウォーズ』の生みの親であるジョージ・ルーカスは2012年、自身の所有権をディズニーに売却する前にケネディを直々に指名し、ディズニーも彼女をそのまま留任させた。ケネディの引退を受け、今回初めてディズニーが独自にルーカスフィルムの新たなリーダーを選出することになる。
キャスリーン・ケネディは在任中、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)による映画シリーズの復活や、ドラマ『マンダロリアン』で大ヒットを記録など、『スター・ウォーズ』ブランドを数々の成功へ導いた。しかし、その一方で、評価の低い映画や番組、発表後に中止されたプロジェクトの数々など、フランチャイズの迷走を招いたとして批判されることも多かった。さらに、ディズニー全体にも言えるが、多様性を重視したキャスティングや、人種差別や気候変動といった社会問題に極度に関心を持つ要素を取り入れたとするファンからの批判の的にもなってきた(ディズニーのCEOであるボブ・アイガーは、このイメージを払拭しようとしている)。
そのため、ケネディの退任を歓迎するファンも多いが、業界内では「彼女の後任を見つけるのは容易ではない」との声が上がっている。スタジオ関係者やエージェントの中には、「ルーカスフィルムの次世代のリーダーを育成し、昇進させる取り組みが十分でなかった」と指摘する声もある。
「ケネディがここまで長く続けられた理由の一つは、信頼できる後任がいなかったからだ」と、ルーカスフィルムの経営陣と関わりの深い人物は語る。情報筋によれば、元ルーカスフィルム幹部のレイン・ロバーツ(12年間在籍)はケネディの後継候補として育成されていたが、先週、サーチライト・ピクチャーズの製作担当シニア・バイスプレジデントに就任することが発表された。
また、ルーカスフィルムのトップとしての職務内容自体も問題だ。ケネディは単なる映画プロデューサーではなく、『スター・ウォーズ』だけでなく『インディ・ジョーンズ』の映画、さらには数多くの実写・アニメーションシリーズを統括してきた。外部から見るよりも、創造性より管理能力が求められるポジションなのだ。
「多くの人が誤解しているが、これはクリエイティブな仕事ではない。クリエイティブ要素はせいぜい10%程度で、あとはディズニーとの折衝やライセンス管理、ファン対応が大半を占める」と、あるプロデューサーは指摘する。
【後任候補】
ジョン・ファヴロー
ジョン・ファヴローは、2008年の『アイアンマン』でマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)を立ち上げ、2019年の『マンダロリアン』で『スター・ウォーズ』のテレビシリーズを成功に導いた。また、2025年公開予定の映画『マンダロリアン&グローグー』で監督も務めている。
ファヴローはフランチャイズの世界観を理解し、カジュアルなファンの期待にも応えてきた。しかし、先述の通りケネディの役職はクリエイティブではなく管理職的な側面が強いため、「彼は経営側には回らないだろう」と業界関係者は語る。
デイブ・フィローニ
デイブ・フィローニはジョージ・ルーカスの直接の指導を受けたクリエイターで、熱狂的なスター・ウォーズファンの間で高い支持を得ている。『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』の立ち上げ以降、『マンダロリアン』の制作やアニメシリーズの監修、さらに2023年の『アソーカ』で初めて実写ドラマのショーランナーを務めた。
ただし、『アソーカ』は賛否が分かれ、フィローニは管理職には向かないと見る向きもある。「彼は知識の宝庫だが、基本的にテレビ畑の人間だ」とある情報筋は語る。しかし、一部では「ディズニーはすでにフィローニを後継者に決定しており、4月のスター・ウォーズ・セレブレーションで発表される可能性がある」との噂もある(ただし、他の情報筋からは未確認)。
ファヴロー&フィローニ+経営パートナー
ヨーダの名言を引用するとしたなら、「完璧な選択肢がないときは、2つの選択肢を組み合わせよ」。実際、ファヴローまたはフィローニに、経験豊富なスタジオ経営者を組み合わせるという案も考えられる。20世紀スタジオのスティーブ・アズベルや、ルーカスフィルムの社長兼ゼネラルマネージャーであるリンウェン・ブレナンなどが候補として挙がるかもしれない。これは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の監督ジェームズ・ガンがピーター・サフランと組んでDCスタジオを運営する方式に似ている。
ケヴィン・ファイギ
マーベル・スタジオのトップであるケヴィン・ファイギは、企業の要求とIPの理解を絶妙にバランスさせる手腕を持ち、最も適任と見る向きもある。彼自身が『スター・ウォーズ』の大ファンであり、かつてスター・ウォーズ映画をプロデュースする予定だったが、その企画はケネディ政権下で頓挫した。現在ファイギは、マーベルの立て直しに集中しており、『ファンタスティック・フォー』や新たな『アベンジャーズ』映画の制作に追われているため、スター・ウォーズへ移る可能性は低い。
J.J.エイブラムス
J・J・エイブラムスは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を成功させたが、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の評価は低かった。彼はブランドへの愛着があり、バッド・ロボットを率いているが、ここ数年は低迷している。「彼がまたあの混沌とした環境に戻るとは思えない」と業界関係者は語る。
エマ・ワッツ
元20世紀スタジオのプロダクション部門社長であり、『X-MEN』シリーズや『デッドプール』の成功に貢献した。現在はフリーの立場だが、復帰を狙っている可能性がある。
ハンナ・ミンゲラ
元バッド・ロボット幹部で、ソニー・ピクチャーズ時代に『くもりときどきミートボール』『モンスター・ホテル』などを手掛けた。現在はNetflixのアニメ&ファミリー映画部門を統括している。
アーロン・カウチの寄稿によるものです。
※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら。
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