トランプ大統領が外国映画に100%の関税を表明 ― テレビ業界やNetflixへの影響は?

トランプ米大統領が「ハリウッドを再び偉大にする」として発表した新たな関税政策が、映画業界全体に波紋を広げている。具体的には、「アメリカ国外で制作されたすべての映画」に対して100%の関税を課すという方針である。
SNS上で「我々はアメリカで再び映画を作りたいのだ!」と強調したトランプ氏は、外国による映画制作がアメリカの映画業界を弱体化させていると主張。これを「国家安全保障上の脅威」かつ「プロパガンダ」だと位置づけている。
しかし、翌朝にはホワイトハウスのクシュ・デサイ報道官が方針を軟化。「最終決定は下されておらず、大統領の指示のもと、国家と経済の安全保障を守るためのあらゆる選択肢を検討している」と述べた。
注目すべきは、発表内で一貫して「movies」「film」といった表現が用いられており、「テレビシリーズ」や「コンテンツ」という包括的な言葉は使われていない点である。これは劇場映画のみが対象である可能性もあれば、単に言葉選びが曖昧である可能性もある。
米『ハリウッド・リポーター』がテレビ業界の扱いについて問い合わせたが、現時点で回答は得られていない。
映画よりもテレビが重要?アメリカ人の視聴習慣と政策の矛盾
現実として、アメリカ人は映画よりも海外制作のテレビ番組を多く視聴している。仮にテレビ分野が対象外だとすれば、その理由は何か?取り締まりが難しいからか、それともトランプ氏がテレビ出身だからか。あるいは、映画のほうが経済的な影響が大きいからなのか。いずれにしても一貫性は見られない。
米投資会社ウェドブッシュ・セキュリティーズ(Wedbush Securities)のマネージングディレクター、マイケル・パクター氏はこの動きを「バカげている」と一刀両断。「トランプは自分で何を意味しているのか分かっていない。だから解釈が困難だ」とコメントした。
Netflixはどうなる?
米国内の映画スタジオはすでに、トランプ氏の提案に対抗するロビー活動を開始していると見られている。伝統的なスタジオは、自社の利益が脅かされていることを理解しているためである。
一方、Netflixにとってこの政策はさらに複雑な問題である。
Netflixはすでに米国とカナダでの会員数を飽和させており、今後の成長にはグローバル展開が不可欠である。そのため、各地域の言語による番組制作に注力している。ウェドブッシュの推計によれば、Netflixのコンテンツの約75%は米国外で制作されている。また、自社制作ではない買い付けコンテンツも多いため、制作地を自社でコントロールできないという現実がある。
100%関税でNetflixコンテンツに“国境”が生まれる?
Netflixのコンテンツは、原則として地域制限が少なく、世界中で視聴可能である。しかし、100%の関税が導入されれば、米国内の視聴者にとってアクセスできるコンテンツが大幅に制限される可能性がある。
米国外で制作されている『イカゲーム』(韓国制作)、『ウェンズデー』(ルーマニア撮影)などのような人気作品が米国内で視聴できなくなる、もしくは遅れて配信される可能性がある。
これらの作品が、米国を除いた地域でヒットした後でなければ配信されないとすれば、米国内の視聴者は大きな不満を抱くだろう。VPNを使った回避手段がますます注目される時代になるかもしれない。
※この記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。
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