著作権局の再編でハリウッドに影響?トランプ政権の介入が波紋

長年にわたり、AI企業とコンテンツ企業は、コンテンツの所有権を巡り微妙な駆け引きを続けてきた。しかし、最近、この対立の舞台がワシントンのあまり知られていないオフィスに移り、映画・テレビ・音楽業界に重大な影響を及ぼす可能性が出てきたのである。
著作権局長の解任で事態が急展開
問題の中心にいるのは、ベテラン弁護士であり米国著作権局長を務めていたシラ・パールマッター氏である。
トランプ大統領が先週末、突如としてパールマッター氏を解任したことは、コンテンツ権利者にとって大きな打撃であった。しかし、事態は単純ではなく、13日にはパールマッター氏の代理が発表され、必ずしもビッグテック寄りではない人物が選ばれたことで、一転して状況が複雑化している。
AIのフェアユース問題が焦点
事態が動き出したのは、先週9日にパールマッター氏と著作権局が発表した報告書がきっかけであった。この報告書は、AI企業がニュース記事や映画、音楽といった著作権保護されたコンテンツを無許可で利用し、生成AIモデルの訓練に使うことの是非を問う内容であった。著作権者側は、無断利用が製品価値を侵害するとして、法廷闘争を展開してきたのである。
報告書では、「商業的目的で膨大な著作物を利用し、既存市場で競合する表現を生み出すことは、フェアユースの範囲を超えている」と指摘している。これにより、音楽業界やアーティスト擁護派からは「AI企業がフェアユースを理由に無断利用するのは許されない」と支持を集めたのである。
しかし、パールマッター氏の解任により、コンテンツ権利者側には不安が広がっている。音楽政策の専門家は「解任は非常に懸念すべき事態である。著作権保護が軽視される危険性がある」と語っている。エンタメ業界の労働組合IATSEも「解任の合法性に疑問があり、議会による復職を求める」と声明を発表している。
意外な代理人事で一転
新たに著作権局長の代理に指名されたのは、ポール・パーキンス氏とブライアン・ニーヴス氏である。
どちらもビッグテック寄りではなく、特にパーキンス氏はトランプ政権下で司法省の詐欺事件を担当した経歴を持つ。ニーヴス氏は下院司法委員会でビッグテックを批判してきた人物である。さらに、図書館長の代理にはGoogleを提訴中の司法省弁護士トッド・ブランシュ氏が指名され、ビッグテック優遇とは言えない構図が浮き彫りになっている。
今後の展望とアーティストの懸念
パールマッター氏の解任は、著作権局の政治的中立性が損なわれる可能性を示唆している。アーティストや権利者には依然として不安が残るのである。特に、AIモデルの学習データとして著作物を利用できるかどうかは法廷での争いが続いており、『ニューヨーク・タイムズ』がOpenAIを著作権侵害で訴えた事例など、今後の判決が注目されている。
一方で、映画スタジオ側はAIツールの活用にも関心を示しており、生成AIを使った制作プロセスの効率化を模索している。しかし、スタジオジブリの米国配給会社GKIDSは「人間の創造性を重視すべき」とし、AIがジブリのアニメスタイルを模倣することに強く反発している。
AI企業の無断利用を巡る法的論争が続く中、アーティスト側の権利保護がどこまで認められるかは不透明である。トランプ政権がどの立場を取るのか、今後の動向が注目されるのである。
※この記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。
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