『イカゲーム3』イム・シワンが明かす、“嫌われ役”ミョンギを演じる覚悟「彼は哀れな臆病者」「嫌われてもかまわない」【インタビュー】

イム・シワン、Netflix『イカゲーム』シーズン3より 写真:No Ju-han/Netflix
イム・シワン、Netflix『イカゲーム』シーズン3より 写真:No Ju-han/Netflix
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[本記事は、Netflixシリーズ『イカゲーム』シーズン3のネタバレを含みます。]

Netflixの世界的大ヒットシリーズ『イカゲーム』が、6月27日より配信が開始されたシーズン3をもって完結した。黒幕・フロントマン(演:イ・ビョンホン)の真意が明かされぬまま物語は幕を閉じたが、本作にはもうひとりの“倫理的に曖昧な人物”が潜んでいる。それが、イム・シワン演じるミョンギだ。

ミョンギは、かつては仮想通貨のインフルエンサーとして名を馳せながらも現在は落ちぶれ、偶然にもゲームのなかで妊娠中の元恋人ジュニ(演:チョ・ユリ)と再会する。シーズン2と3を通して、何度も贖罪のチャンスが訪れたにもかかわらず、結局ミョンギが「善」の側に立つことはなかった。

K-POPアイドルから俳優へと転身したイム・シワンは、ミョンギというキャラクターの曖昧さ、そして底知れぬ嫌悪感をもたらす側面を、非常に巧みに演じきっている。米『ハリウッド・リポーター』はイムにインタビューを実施し、ミョンギへの思いや、最終話で彼が下した運命的な決断について話を聞いた。

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―――『イカゲーム』は、後期資本主義社会の批評として機能しています。ファン監督から、ミョンギが作品のなかで何を象徴しているのか、お話はありましたか?

ミョンギは、資本主義社会の文脈だけで語り尽くせるキャラクターではありません。彼はむしろ、人間の本質にかかわる根本的な疑問を投げかけているのです。ミョンギは、道徳性と自己中心性のあいだという極端な場所に身を置いたときに、人間に何が起きるかを体現していると考えています。そして、誤った選択があのような結末を招くということも、彼を通して伝えているのです。

イム・シワン、Netflix『イカゲーム』シーズン3より 写真:No Ju-han/Netflix
イム・シワン、Netflix『イカゲーム』シーズン3より 写真:No Ju-han/Netflix

―――ミョンギがどこまでゲームに勝ち進めるのか、いつ知りましたか? それに対して、どう感じましたか?

すべての脚本にようやく目を通すことができたとき、非常に長くゲームに残ることを知りました。ミョンギがこれだけ長く生き残るために歩んできた卑劣な道のりを知ってしまったので、正直に言って、あまりうれしくはありませんでした。

撮影中は、「ミョンギがゲームに残っていることは、本当にいいことなのか?」と何度も自問しました。僕自身としては、ジュニのために自分を犠牲にしてほしかったですね。最後のゲームには、ジュニと赤ちゃんが残っていてほしかったです。でも、それは僕が決めることではありません。

―――イ・ジョンジェ演じるギフンとの最後のシーンの撮影は、どのような経験でしたか?

最悪のシチュエーションでした。撮影の最後の瞬間まで、ミョンギというキャラクターを完全には理解できていなかったんです。ラストシーンに至るまで、ずっと彼の動機や本質を考え続けていました。とにかくファン監督の指示をよく聞き、その意図を理解することに全力を注ぎました。

―――ミョンギは最後のシーンで、ギフンに対してだけでなく、あのような選択をした自分自身に対しても、非常に激しい感情に襲われていましたね。

はい、本当にそうだと思います。僕は、あのシーンに集約されている人間の善悪を考えるよりも、このような状況においてミョンギが感じている強烈な恐怖に集中していました。なので、赤ちゃんを危険にさらすことよりも、むしろミョンギがどれだけ恐れを抱いているかを表現することに焦点を当てました。ミョンギは哀れな臆病者なので、何よりもまず恐怖を感じるのではないかと考えたのです。ですから、ラストシーンの演技は恐怖が土台になっています。

―――ファンのみなさんは、ミョンギに対してどう反応していますか?

ネット上でコメントを読んでいます。シーズン3の配信後には、友人たちから大量のメッセージをもらいました。みんなドラマを楽しんでくれて、結末にはショックを受けたようです。でも、友人のなかには「お前のキャラクター、ひどすぎるぞ! 最低だ! なんであんなことしたんだ?」と言ってくる人もいます(笑)。

カン・エシム、チョ・ユリ、Netflix『イカゲーム』シーズン3より 写真:Netflix
カン・エシム、チョ・ユリ、Netflix『イカゲーム』シーズン3より 写真:Netflix

―――今や、嫌われ者のキャラクターを演じた俳優として世界中で認識されていますが、そのことについてどう感じますか?

嫌われていることも、愛をもって受け止めるべきだと思います。なので、すべてを褒め言葉として受け取っています。思う存分に、ミョンギを嫌ってもらってかまいません。『イカゲーム』に参加できたことは、本当に思いがけない幸運でした。

一方で、あまり入れ込みすぎないように、忘れられない経験のひとつとしてとどめておくのがベストだと考えています。この大作によって人生を丸ごと変えられることなく、真面目で努力家の俳優としての姿勢を崩さないようにしたいです。『イカゲーム』を経ても、本質的には同じ人間のままでいることを願っています。

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『イカゲーム』シーズン1~3は現在、Netflixで独占配信中。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。翻訳/和田 萌

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