ジェナ・オルテガ×ティム・バートン初対談!“以心伝心”のふたりが明かす、『ウェンズデー』の舞台裏&『ビートルジュース3』の行方 ― 炎上騒動への葛藤も告白「良い教訓になった」

ティム・バートン、ジェナ・オルテガ=現地時間5月14日、ニューヨークにて 写真:Erik Madigan Heck
ティム・バートン(左)、ジェナ・オルテガ(右)=現地時間5月14日、ニューヨークにて 写真:Erik Madigan Heck
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8月6日より待望のシーズン2が配信されるNetflixの大ヒットシリーズ『ウェンズデー』の主演俳優ジェナ・オルテガ(22)と、ティム・バートン監督(66)が初めての本格的な対談インタビューに登場!

Z世代のスターとして熱狂的な人気を誇るジェナ・オルテガは、ホラー映画『X エックス』や『スクリーム6』などで一躍注目を集め、風変わりなアダムス・ファミリーの長女、ウェンズデーが社会の“のけ者”たちが集まるネヴァーモア学園に通う日々を描いたNetflixシリーズ『ウェンズデー』で主演に抜擢。さらにオルテガは、1988年のカルト的名作の続編『ビートルジュース ビートルジュース』にも出演しており、同作は昨秋に大ヒットを収めた。

そして、『ウェンズデー』と『ビートルジュース ビートルジュース』の両作品を手がけたのは、『バットマン』シリーズや『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』など、数々の作品を通して唯一無二の“ゴシック芸術家”としての地位を確立してきた名匠ティム・バートンだ。バートンは今、キャリア後期における再評価と新たな成功を手にしている。

一見すると対照的な存在でありながら、実は驚くほど多くの共通点がある“以心伝心”のオルテガとバートン。『ウェンズデー』の制作の舞台裏から、名声の裏にある苦悩、さらには『ビートルジュース3』の可能性にいたるまで、さまざまな角度から話を聞いた。

米『ハリウッド・リポーター』7月23日号 写真:Erik Madigan Heck
米『ハリウッド・リポーター』7月23日号 写真:Erik Madigan Heck

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◆『ウェンズデー』の特別な魅力 | “まばたきしない演技”の舞台裏も

──おふたりは、『ウェンズデー』のどんなところに魅力を感じましたか?

ティム・バートン:私はこれまでテレビシリーズを手がけたことがなかったので、「もっと長い時間をかけて、物語やキャラクターを深く掘り下げられる」というアイデアに興味を持ちました。それに、ウェンズデーというキャラクターは本当に面白いんです。ちょっと変な話かもしれませんが、私のような中年の男でも、彼女のような10代の女の子の気持ちがよく分かるんですよ。ウェンズデーはあまり感情を表に出さない子ですが、だからこそ、ちょっとした表情やしぐさがとても大切になるんです。

ジェナ・オルテガ:ウェンズデーは、感情をあまり見せないことが“許される”珍しい主人公なんです。悪役なら感情を表に出さないのはよくあることですが、主人公でそれが成り立つのはとても珍しいと思います。実は私、14歳のときに『ウェンズデー』のアニメ映画のオーディションを受けたんです。でも、役を得ることはできませんでした。母に「彼女を演じられたら最高だったのに」と話したのを覚えています。

──ティムさん、あなたは以前「ウェンズデーになりきらなければならない。それができるのが、ジェナなんだ」とおっしゃいました。ジェナさんは、その言葉についてどう感じますか?

オルテガ:そうでしょうか?よくわかりません。なぜ、私がこの役をもらえたのかわからないんです。ただ、今では彼女により愛着を感じているかもしれません。

バートン:俳優は、さまざまな人物になることができます。でもウェンズデーに関しては、そのキャラクターを内に宿している必要があるんです。ジェナ自身が、陰気ということではありません。ウェンズデー独特の内なる強さと、明晰さが必要なのです。なぜなら、それは作り出すことができないものだからです。ジェナはサイレント映画の俳優のようで、ウェンズデーのキャラクターについて私が楽しんでいるのは、セリフそのものというよりも、彼女が自分を表現する方法なんです。

ティム・バートン、ジェナ・オルテガ 写真:Erik Madigan Heck
ティム・バートン(左)、ジェナ・オルテガ(右) 写真:Erik Madigan Heck

──シーズン1でうまくいったこと、そしてうまくいかなかったことは何でしょうか?

オルテガ:Netflixは今回、より多くの信頼を寄せてくれています。そのおかげで、より壮大なスケールで物事を進めることができました。また、スティーヴ・ブシェミやビリー・パイパーのような才能豊かな新キャストもたくさんいて、自分自身ももっと成長しようという気持ちになれました。また、ウェンズデーがシーズン1で学園を救ったことによる周囲の反応も描いています。(注目されることに対する)苦悩から、彼女が再び心を閉ざしてしまうのは興味深いポイントですね。

バートン:本作は、ウェンズデーのキャラクターから簡単に逸脱してしまう可能性があります。制作側は彼女にもっと豊かな心情描写を与えたり、より感情的にしたりしようとするかもしれません。ジェナは、その限度を知っています。それが明確であるとき、創造的な自由があるのです。

オルテガ:撮影した映像を見返して、「うまくいかなかったのは、自分の姿勢や動きのせいかもしれない」と気づくことがあります。

──まばたきをしないところまで含めて、ウェンズデーのキャラクターはとても特徴的ですよね。きっと目が疲れるでしょう。

オルテガ:まばたきは、共演者のセリフの間にしています。どうしても、目が痙攣(けいれん)し始めてしまうんです。シーズン1では、なんとか目を開けたままにしようとしていたので、泣いているように見えるシーンがいくつかありました。

──演技について振り返って、違ったやり方をすればよかったと思うことはありますか?

オルテガ:私はいつも、自分が出演した作品を観るのがつらいと感じています。なぜなら、「これを観たら、もう恥ずかしくて人前に出られなくなる」と思ってしまうからです。『ウェンズデー』の撮影が始まったとき、私はまだ17歳か18歳で、すごく緊張していましたし、不安でいっぱいでした。特に最初の2週間は、これまでのキャリアの中で一番と言っていいほど、混乱していてストレスの多い時期でした。今、当時の映像を見ると、自分がどれだけ戸惑い、緊張していたかが、画面を通してはっきり分かります。

ジェナ・オルテガ、Netflixシリーズ『ウェンズデー』シーズン2より 写真:Jonathan Hession/Netflix
ジェナ・オルテガ、Netflixシリーズ『ウェンズデー』シーズン2より 写真:Jonathan Hession/Netflix

──おふたりの関係は、これまでどのように変化してきましたか?

バートン:私にとっては、変わっていません。

オルテガ:もう少し以心伝心になったかもしれません。私たちは、物事をできるだけ迅速かつ効率的に行いたいと思っています。ティムから何か指示があるときは、ただお互いを見つめ合うだけで通じるんです。

バートン:私の好きなコミュニケーション方法は、話さないことです。それは、本作について思いついたアイデアの1つでもあります。ウェンズデーがどこかにいたくない場合、彼女はただ会話の途中でも突然立ち去ってしまう。それは、私がいつも感じることです。パーティーに行って、そこにいたくなければ、出て行くのです。

◆炎上騒動への率直な思い | 世間のイメージとのギャップに苦悩も

オルテガは2023年3月、出演した米ポッドキャスト番組で「脚本のセリフを自ら変更し、キャラクターに合わない内容には断固として反対したんです」と発言したことが炎上騒動となった。一方、プロデューサーのアルフレッド・ガフは、オルテガの脚本への提案について、「彼女は全体を見渡す視点を持つ稀有な俳優で、長く活躍するでしょう」と擁護している。

──初めて批判や炎上を経験したとき、個人的にはどのような気持ちでしたか?

オルテガ:非常につらかったです。決して、そのような印象を与えるつもりはありませんでした。私は頭の中で多くの時間を過ごし、さまざまな思考の流れがあります。私はただ、「即興で演じました」ということだけ伝えるべきだったんです。また、それまで誰も私の発言を気にかけることはありませんでした。この一件は、良い教訓になりました。

ジェナ・オルテガ(左)、ティム・バートン(右)写真:Erik Madigan Heck
ジェナ・オルテガ(左)、ティム・バートン(右)写真:Erik Madigan Heck

──俳優を守る立場として、ティムさんはどのような気持ちでしたか?

バートン:ジェナのことをわかっているし、メディアのことも知っているし、実際に何が起こったかも知っているので、ただ彼女が気の毒でした。私自身も、誰かが私について何らかの話をでっち上げようとしたことがありました。これが、私がほとんど誰とも話さない理由です。

オルテガ:これまで、私が実際に言ったことのない引用で見出しが作られているのを異常なほど目にしてきました。

バートン:それから、『フランケンシュタイン』の村人たちのような集団ヒステリーになるんです。

──社会的な迫害への恐怖も、『シザーハンズ』のようにあなたの作品のテーマですね。

バートン:そして、実際には何もできないので腹立たしいんです。発言を撤回しても、「そんな意図ではない」と言っても関係ありません。誰も気にしないんです。

オルテガ:私は自分のプロ意識を誇りに思っていますが、あの発言は未熟さが出てしまった瞬間でした。

ジェナ・オルテガ 写真:Erik Madigan Heck
ジェナ・オルテガ 写真:Erik Madigan Heck

──世間のあなたに対するイメージは正確だと思いますか?

オルテガ:もちろん、そんなことはありません。そこが俳優の仕事をするうえで、苦労している部分だと思います。とても誤解されやすくて、自分の名前が自分のものではないように思えてくることさえあります。もはや自分の名前にさえ、あまり共感できなくなってきました。私は憶測が嫌いですが、今の仕事では、人々から事実とは違うことを決めつけられるのが日常茶飯事です。

──人々はどんな間違った思い込みをしているのでしょうか?

オルテガ:それはわかりません。確かに私にはウェンズデーと似た部分もありますが、私は彼女そのものではありません…

バートン:昔が懐かしいですね。映画の製作費なんて誰も知らなかったし、俳優のこともあまり知らなかった。だからこそ、ミステリアスで良かったんです。今では人々が誤った憶測を立てるので、「余計なお世話だ」と感じてしまいます。

オルテガ:よく「映画スターの時代は終わった」と言われますが、本当にそうだと思います。今の私たちは知りすぎているんです。人々は、あなたの人生の断片を知る権利があると感じています。でも、もし逆にその人たちが同じように詮索されたら、きっと居心地が悪くなるはずです。創作に関わる人たちは、自分自身を“ブランド”として売り出すセールスマンにならなければいけないという期待があります。でも本当は、そういう人たちは静かな部屋にこもって、ただ作品づくりに専念するべきなんです。

バートン:私はもっと極端です。人は好きですが、自分が一緒に仕事をしたいと思える人としか関わりませんし、その人たちと食事に行きたいとも思いません。その人について知れば知るほど、監督としてはむしろやりづらくなることがあるんです。

──ファンとの交流で、怖い思いをしたことはありますか?

オルテガ:いつも怖いです。公の場で誰かに自分の名前を叫ばれるなんて異常です。大人の男性が近づいてくるときは、特に不安を感じてしまいます。また、時には人々がひどいことを叫んできます。例えば、何かに遅れそうで対応ができないとき、私の母親の前で「このクソ女」と罵られたりするんです。本当に恐ろしいですよね。

◆気になる『ウェンズデー』&『ビートルジュース』の未来は?

すでに『ウェンズデー』はシーズン3への更新が決定し、スピンオフ作品も企画中であると報じられている。

ジェナ・オルテガ、Netflixシリーズ『ウェンズデー』シーズン1より 写真:Courtesy of Netflix
ジェナ・オルテガ、Netflixシリーズ『ウェンズデー』シーズン1より 写真:Courtesy of Netflix

──『ウェンズデー』シーズン1のダンスシーンは、SNSを中心に大バズりしましたね。シーズン2に向けて、何らかの印象的な場面を作り出さなければいけないというプレッシャーはありましたか?

バートン:そのダンスシーンは、私がジェナと働くのが好きな理由を表しています。私たちは、大がかりなブロードウェイ式のリハーサルはしませんでした。振付師も雇いませんでした。私が曲を選んで「やってみて」と言っただけです。当日現場に現れたとき、ジェナは確かコロナに感染していたと思いますが、私たちはただ撮影を実行しました。作品の中でも、一番自由で楽しい時間でしたね。一方で、シーズン2ではそのようなプレッシャーは感じませんでした。というのも、シーズン1の撮影時はあのシーンが大きな話題になるとは思っていなかったからです。「また同じようなことをしなければ」と考えるのは、危険です。

──理想的には、『ウェンズデー』は何シーズン続くのでしょうか?

バートン:私はそんな考え方はしないんです。その質問に答えるのに、私たちほど向いていない人はいないでしょう。

ジェナ・オルテガ(左)、ティム・バートン(右)、映画『ビートルジュース ビートルジュース』の撮影現場にて 写真:Warner Bros. /Courtesy Everett Collection Parisa Taghizadeh/Warner Bros./Courtesy Everett Collection
ジェナ・オルテガ(左)、ティム・バートン(右)、映画『ビートルジュース ビートルジュース』の撮影現場にて 写真:Warner Bros. /Courtesy Everett Collection Parisa Taghizadeh/Warner Bros./Courtesy Everett Collection

── 今年4月、ワーナー映画部門のマイク・デ・ルカ会長が、『ビートルジュース3』の企画が「まもなく」始まると発言しました。

バートン:本当ですか?誰も私には知らせてくれませんでした。もしかすると、私は外されたのかもしれませんね。

オルテガ:私もそうかもしれません。もしかしたら、(私が演じた)アストリッドは死んで、“死後の世界”ではなく天国に行くのかもしれませんね。赤ちゃんビートルジュースをツアーに出して、ハワイにでも行かせたらいいんじゃないでしょうか。

バートン:2作目ができるまでに、35年もかかりましたからね。このペースだと、次は私が105歳になる頃ですよ。その可能性は低いとわかっています。今回の作品を作るのは本当に楽しかったです。ワーナー・ブラザース側は、最初は乗り気ではありませんでした。でも、1作目と同じように、俳優の即興演技を取り入れながら自由につくりました。オリジナルキャストに再会でき、ジェナも新たに出演してくれて、すばらしい体験でした。ただ、それは『ウェンズデー』のダンスシーンをもう1度やろうとするようなものです。キャラクターたちのことはとても好きですが、必ずしも続編が観たいわけではありません。

── でも、ティムさんが「ほかの誰かに続編を任せよう」と考えるのは想像できません。

バートン:そのとおりです。たとえ私がキャラクターの権利を持っていなくても、自分が関わったすべての作品には強い愛着があります。『ビートルジュース』のミュージカル版が上演されたときも、かなり腹が立ちました。

── ジェナさん、もし「『ビートルジュース3』をやるけど、ティムは監督しない」と言われたらどうしますか?

オルテガ:絶対にいやですね。そんなプロジェクトに関わる人がいたら、完全に間違っていると思います。ティムがいてこその『ビートルジュース』です。この映画のような作品は、ほかにありません。彼なしで続編を作るなんて、ちょっと失礼だと思います。

◆ふたりの今後のプロジェクト | “日本の妖怪”に興味

ティム・バートン 写真:Erik Madigan Heck
ティム・バートン 写真:Erik Madigan Heck

── ティムさん、ソニーの製作で『メドゥーサ』をテーマにした映画を作るという噂もありますね。

バートン:実際に始めるまでは何も言えません。これまでも、やるはずだった作品(たとえばニコラス・ケイジ主演の『スーパーマン』映画など)が途中で中止になったことがあります。そうなると、本当に心が折れるんです。実際に撮影現場に入ったら、ちゃんとお知らせしますよ。でも、撮影中でも状況が変わる可能性はあります。

オルテガ:でも、日本の妖怪をテーマにした作品をぜひやってほしいです。

バートン:それは実現するかもしれません。

── ジェナさんは監督志望でもありますが、ティム監督から学んだことはありますか?

オルテガ:ティムの現場でのふるまい方に感銘を受けました。とても礼儀正しくて、全員の名前を覚えていて、チームを信頼しているんです。最初にティムと仕事をしたとき、私は彼にアドバイスや指示を求めました。でも彼は、ほとんど何も言わなかったんです。助けてくれなかったわけではなく、私が自分で正解を見つけられるように、あえて“余白”を与えてくれたんですね。それが結果的に、私の自信にもつながりました。

ティムは本当に人の才能を引き出してくれるし、枠にとらわれない考え方を促してくれるので、どんどん面白いことに挑戦したくなります。誰かが自分の中のそういう部分を引き出してくれるのは、本当にうれしいですね。

── 最後に、おふたりはこれから数年でやりたいことはありますか?

オルテガ:明日の予定すら立てていません。そんなことに時間を使っても、意味がないと思っています。

バートン:私も同じです。

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Netflixシリーズ『ウェンズデー』シーズン2のパート1は8月6日、パート2は9月3日より独占配信。

▼『ウェンズデー』シーズン2 公式予告編

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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