Netflixドラマ『自由研究には向かない殺人』レビュー: エマ・マイヤーズ主演の“ティーン版ミス・マープル”
ベストセラー小説をドラマ化、“ティーン版ミス・マープル”
ホリー・ジャクソンによる同名小説を映像化したNetflixドラマ『自由研究には向かない殺人』(配信中)。「ナンシー・ドリュー」や「ヴェロニカ・マーズ」などの長年愛されるアメリカのティーン探偵モノの伝統をたどる全6話のシリーズで、イギリスの小さな村を舞台にしていることから、むしろ“ティーン版ミス・マープル”と言えるかもしれない。
ポピー・コーガン脚本の『自由研究には向かない殺人』は、既視感が強く、最終回にいたるまでかなり駆け足で進んでいく。一方で、中心となるミステリーは二転三転し、リアルな緊張感が走る瞬間が散りばめられており、Netflixドラマ『ウェンズデー』で人気急上昇中の主演エマ・マイヤーズによって作品が向上している。
『自由研究には向かない殺人』あらすじ
マイヤーズが本作で演じるのは、イギリスの田舎の村に住み、大学入学を控える17歳のピッパ。やがてピッパは、学校の自由研究で5年前に失踪したアンディ(インディア・リリー・デイヴィース)の事件の真相を探ることに。村では、アンディの死後に自殺した彼氏・サル(ラフール・パットニ)が、彼女を殺害した犯人だとされていた。
事件の調査に住民たちは難色を示すも、ピッパは兄・サルの汚名を晴らす機会を求めていた弟のラヴィ(ゼイン・イクバル)と協力していく。やがて、真相に迫るにつれて、ピッパは複数の脅迫メッセージを受け取ることになる…。
新星エマ・マイヤーズが主人公を好演
“ティーン探偵モノ”の優れた主人公たちと同様、ピッパはつねに魅力的なキャラクターというわけではない。事件で傷を負った住民たちの気持ちを顧みず、“優等生”のピッパは自分本位で突き進んでいく。また、ほとんどの17歳がそうであるように、探偵としても未熟で、色々な失敗をしたり、不法侵入も続けてしまうのだ。
現在22歳でイギリス出身ではないマイヤーズは、恐怖や悲しみ、そして恋愛などの感情の高まりに不慣れな若い女性を完璧に演じ切っている。ピッパは感情を表面に出し、プロットがどれだけ不自然でも、マイヤーズはリアルに感じさせている。
人物描写や緊張感は薄め
一方で、ピッパのカーラ(アーシャ・バンクス)以外の友人たちや、カギとなる大人たちの描写が薄く、最初の5話でキャラクターにさらなるニュアンスを持たせることができたはずだ。「どんでん返し」を引き伸ばし過ぎており、最終話で明かされる驚愕の事実のいくつかはつじつまが合わないものになっている。
『自由研究には向かない殺人』は、ハラハラ感はあまり味わえないが、すべてのエピソードが48分以下で全体的に楽しい作品だ。ジャクソンの原作はさらに何冊か出版されており、新鋭のマイヤーズにとっては、シリーズ化への将来性のあるスタートだろう。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。翻訳/和田 萌
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