『イカゲーム』シーズン2のレビュー:失速したNetflixの韓国発大ヒットドラマ
Netflix『イカゲーム』シーズン2、12月26日より配信開始
Netflixで最も視聴されたシリーズの1つとなった韓国発の『イカゲーム』。シーズン2の開始前にシーズン1を再視聴し、依然として暗い社会風刺、絶望の漂う雰囲気、そしてノスタルジックな余韻は十分に楽しいものだった。
2025年配信のシーズン3への“つなぎ”
『イカゲーム』のシーズン2は、完全な期待外れである。というのも、前シーズンがの楽しさや遊び心が失われており、ゲームの本質に関する詳細や洞察も全く欠けているのだ。
一方で、出来が酷いというわけではなく、シーズン1の成功を裏切るような内容でもない。実際のところ、シーズン2は2025年に予定されているシーズン3へのビルドアップに過ぎず、守備一貫性を欠いた架け橋となっている。
シーズン2は引き続きファン・ドンヒョクが脚本・監督を務めており、シーズン1のラストから物語が続いている。イ・ジョンジェ演じるギフンは、ゲームで456億ウォンを勝ち取ったにもかかわらず、娘に会うためのアメリカ行きの航空券を放棄し、代わりに謎めいたフロントマン(イ・ビョンホン)を探し出し、ゲームを完全に終わらせることを誓う。
ゲームの本質に変化…失われたテーマ性
物語は2年後に飛び、ギフンは依然としてフロントマンやゲームに接触する方法を探している。Netflixの宣伝通り、最終的にギフンが島に戻り再びゲームに参加することになるのは明らかだが、そこに至るまでに丸々2話を費やしており、物語として怠慢である。
ギフンを再びゲームに戻すことで、その公平性は失われている。プレイヤーたちがそれぞれの悲劇的な物語を持つ競争から、ギフン一人のために仕組まれた精巧な罰という構図に変わってしまう。455人のプレイヤーはギフンの罰を演出するためだけに参加し、殺される存在になっているのだ。
ギフンがゲームに戻ってからの内容は、シーズン1とほぼ同じ。蛍光色のセットも代り映えせず、新しいゲームもテーマ性に乏しく感じられる。前回はどんな子供の遊びが行われるかを皆が語り合う場面があり、無数の選択肢があるように思えたが、今回はすでにファン自身がアイデアの限界に達しているようだ。
新キャラクター登場も、不十分な人物描写
イ・ジョンジェはシーズン1でエミー賞を受賞したが、ギフンの役柄は生き生きとした器用さが特徴だった。彼の演技は喜劇から悲劇まで大きな幅を持ち、最終的に見事に調和していた。しかし今回は、ギフンの「一面的で取憑かれたような姿」をうまく表現しているものの、キャラクターとしての面白さは減少している。
新しいキャラクターでは、チェ・スンヒョンが演じる暗号通貨詐欺によって破産したラッパーのサノスだけが際立っている。サノスは予測不可能で活気に満ちているが、他の新キャラクターはシーズン1で失われたキャラクターたちの劣化版に感じられる。特にオ・ヨンスの狡猾なイルナムやチョン・ホヨンの深く苦悩したセビョクといったキャラクターの不在は、シリーズにとって大きな痛手となっている。
シーズン3で巻き返しなるか
もっと創造的な要素やフォーマットを揺るがすようなひねりや驚きがシーズン3に持ち越されるのかどうかは、依然として気になるところだ。第6話が示すように、シリーズの前提において本質的にワクワクした要素は、完全には失われていない。停滞を感じるとはいえ、スタイルは依然として保たれている。
『イカゲーム』が根本的に壊れているわけではないが、シーズン2は単純にうまくいっていない。
『イカゲーム』シーズン2
配信日:2024年12月26日(Netflix)
キャスト:イ・ジョンジェ、イ・ビョンホン、イム・シワン、カン・ハヌル、ウィ・ハジュン、パク・ギュヨン、イ・ジヌク、パク・ソンフン、ヤン・ドングン、カン・エシム、イ・デヴィッド、チェ・スンヒョン、ノ・ジェウォン、チョ・ユリ、ウォン・ジアン、イ・ソファン、コン・ユ
クリエイター:ファン・ドンヒョク
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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