『ノー・アザー・ランド』のハムダン・バラル監督、オスカー受賞後の苦悩を語る

映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』のハムダーン・バラール監督 写真:Monika Skolimowska/picture alliance/Getty Images
ハムダーン・バラール監督 写真:Monika Skolimowska/picture alliance/Getty Images
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パレスチナ人映画監督ハムダン・バラルが、『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』のオスカー受賞後も続く過酷な現実について、『ニューヨーク・タイムズ』紙で告白した。受賞直後、バラルは西岸地区スーシャ村で暴行を受け、逮捕されたという。映画の成功にもかかわらず、彼のコミュニティの状況は変わっていないと訴えている。

西岸地区での暴行と逮捕

ハムダン・バラルは、共同監督を務めたドキュメンタリー映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』がオスカーを受賞した直後、スーシャ村で暴行を受け、逮捕された。3月24日の夜、自宅で突然襲撃され、頭部と腹部を負傷。手錠をかけられ、目隠しをされ、軍のジープに押し込まれたという。

しかし、アカデミー賞を受賞したにもかかわらず、彼の生活は何も変わらなかった。「私の生活はいまだ入植者と占領の支配下にある」とバラルは記した。

オスカー受賞の歓喜と現実との落差

ロサンゼルスでの受賞体験は、バラルにとって「人生で最も素晴らしい瞬間のひとつ」だった。巨大な建物や車、富に囲まれた世界に圧倒され、壇上に立った喜びを味わった。しかし、地元の苦しい現実を変えるには至らなかったと痛感している。

変わらぬ暴力と呼びかけ

スーシャ村周辺では、バラルの事件後も入植者による暴力が続いている。近隣の村ジンバでは、多数の負傷者と逮捕者が出たという。

バラルは、オスカー受賞で注目が集まった今こそ、世界がスシヤや他の地域で続く暴力から目をそらさないよう呼びかけた。「どうか、今こそ目を背けないでほしい」と訴えている。

『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』 写真:ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA
『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』 写真:ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA

ハムダン・バラルは、『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』のオスカー受賞にもかかわらず、自身とコミュニティに押し寄せる暴力と抑圧が続いている現実を伝えた。映画が世界に届けたメッセージを無駄にしないためにも、国際社会の関心が必要である。

※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら

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