大統領と世界一の富豪がSNSで全面戦争、エプスタイン文書まで言及:トランプ対マスク

ドナルド・トランプ米大統領とイーロン・マスクの間で米時間6月5日、共和党の税制・支出法案を巡って燻っていた亀裂が突如として爆発し、それぞれが所有するソーシャルメディア上で「大きく、美しく、残酷な」ツイートの嵐が巻き起こった。
DOGE辞任後に勃発した公開対立
イーロン・マスクがトランプ政権の政府効率化省(DOGE)のトップを辞任し、その後共和党の「一つの大きく美しい法案」を公然と批判してから数日後、このテック業界の巨人と米大統領の間の確執は、それぞれのソーシャルメディア・プラットフォームという拡声器を使った公然の戦争へと発展した。
「イーロンが私に反旗を翻すことは気にしないが、それは数か月前にやるべきだった」と、トランプ大統領はある時点で自身の熱心な支持者らにTruth Social上で語った。その後間もなく、トランプ大統領は別のツイートで、マスクが「限界に達していたので、私は彼に辞めるよう求めた。彼は狂気に陥っている」と主張した。
X上での激烈な応酬
一方、イーロン・マスクは自身のプラットフォーム“X(旧Twitter)”上で2億2千万人のフォロワーに向けて大量の投稿を放ち、トランプとの公開確執が相互の殴り合いのような様相を呈することとなった。
Xでのあるツイートでは、根拠を示すことなく、億万長者であり、性犯罪者の故ジェフリー・エプスタインに関する政府文書にトランプの名前があり、それがその文書が公開されていない理由だと主張した。そして最後に「良い一日を、DJT(ドナルド・ジョン・トランプ)!」と、テスラ、スペースX、スターリンクのCEOであるマスクは付け加えた。
エスカレートする脅迫と侮辱
時間が進んでも、彼らのオンライン上での脅迫と侮辱は止まる気配を見せなかった。マスクは、自身の選挙資金提供がなければトランプは2024年米大統領選挙で敗北していただろうと主張した。マスクは、「なんという恩知らず」とXに投稿した。
イーロン・マスクは昨年、トランプの選挙運動と共和党候補者らに約3億ドルを寄付している。それに対しトランプ大統領は、マスクが求める政府支出削減には「イーロンの政府補助金と契約の打ち切り」が含まれる可能性があると応じた。
政府契約に大きく依存するテスラ社やその他のマスクが所有する企業にとって潜在的に致命的なこの脅威を受けて、イーロン・マスクは、国防総省との契約によって建造され、NASAの宇宙利用での潜在的使用を想定したスペースX社のドラゴン宇宙船の運用停止で脅しをかけた。
そんな投稿合戦が続く中、マスクはXにてトランプ大統領の弾劾とヴァンス副大統領へ大統領職への就任を求めた。木曜日の午後遅くには、トランプはホワイトハウスでの警察友愛会とのイベント開催時に、集まった報道陣の質問を回避するという異例の措置を取った。
各自のプラットフォーム戦略
トランプ大統領が所有するTruth Socialとその親会社であるトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループの立ち上げ以来、このソーシャルメディア・プラットフォームは米大統領の主要な意見発信元となっている。
そして3月には、マスクが自身の人工知能会社“xAI”を通して“X”を買収し、“xAI”を800億ドル(約11兆円)、“X”を330億ドル(約4.7兆円)で評価した。これは、マスクと投資仲間らが2022年に旧ツイッターと呼ばれていたプラットフォームに支払った非公開化価格440億(約6.3兆円)ドルより多い金額である。
デジタル時代の政治的対立の新たな形
この一連の出来事は、現代政治においてソーシャルメディア・プラットフォームがいかに強力な武器となり得るかを如実に示している。両者が自らの所有するプラットフォームを使って繰り広げるこの前例のない公開対立は、デジタル時代の政治的権力闘争の新たな形を象徴していると言えるだろう。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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