『グレイズ・アナトミー』俳優エリック・デイン、ALSとの闘病生活を語る「まだ娘たちは幼いのに」

現在52歳のエリック・デインが、ALSとの闘病について赤裸々な思いを語った。デインは大人気医療ドラマ『グレイズ・アナトミー』(ディズニープラスで配信中)でマーク・スローン役を演じたことで知られ、現在も多くの視聴者に愛されながら俳優活動を続けている。
最近では、話題のドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』(U-NEXTにて配信中)でカル・ジェイコブズ役を演じているほか、2025年6月25日より配信開始の新作スリラードラマ『カウントダウン』(Amazonプライムビデオ)にも出演予定である。
エリック・デイン、ALS診断の経緯と現在の症状
エリック・デインは2025年4月にALS(筋萎縮性側索硬化症)の診断を公表した。現在、右腕の機能を完全に失っており、左手にも症状が進行していることを明かしている。
今週米国にて放送された情報番組「グッド・モーニング・アメリカ」で、デインは現在の病状について詳しく語った。「左側はまだ機能しているが、右側は完全に動かなくなった。おそらくあと数ヶ月で左手も使えなくなるだろう。現実を受け入れるのは辛い」と、苦しい胸の内を明かしている。
初期症状の発見
デインによると、ALSの初期症状は1年以上前から始まった。右手の脱力感を覚えたが、「スマホの使いすぎか、手が疲れているだけだと思った」と振り返る。しかし数週間後、症状が悪化していることに気づき、複数の専門医を受診したという。
手の専門医2名、神経科医を経て、最終的に9ヶ月間の検査の末にALSの診断を受けた。診断を告げた医師の「これは私の手には負えない」という言葉が印象的であったと振り返る。
ALSとは何か
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、ルー・ゲーリッグ病とも呼ばれる神経変性疾患である。アメリカ国立衛生研究所(NIH)によると、この病気は以下の特徴を持つ:
- 対象:脳と脊髄の運動神経細胞が影響を受ける
- 症状:随意筋の動きと呼吸をコントロールする神経細胞が徐々に機能を失う
- 進行:筋肉の衰弱と萎縮が進み、歩行、会話、咀嚼、呼吸が困難になる
- 予後:現在のところ根本的な治療法はなく、症状出現から3〜5年以内に呼吸困難で亡くなることが多い
- 生存率:約10%の患者が10年以上生存する
家族への影響と心境
エリック・デインは、現在13歳の娘と泳いでいる時に自身の泳ぐ力が落ちていることを実感したと語った。元競泳選手で水球選手でもあった彼は、水に飛び込んだものの泳ぐ力がなく、娘に助けられたという。「娘が私をボートまで引いてくれた。あの時、心が折れそうになった」と涙ながらに語っている。
妻のレベッカ・ゲイハートについては「最大の支援者」と表現。毎日話をしていること、彼女が最良の友人であり、最良の母親であり、最も頼りになる支援者であることを語った。
デインは自身が7歳の時に父親を自死により失っている。現状をこの経験と重ね、「幼少期に父を失った私が、今度は娘たちがまだ幼いうちに命を落とすかもしれない。腹立たしいことだ」と率直な気持ちを表現した。
治療と研究への参加
現在、デインはALSの進行を遅らせる薬物治療を受けており、別の研究プロジェクトにも参加している。遺伝子検査の結果、残念ながら最新の治験薬の対象とはならなかったが、治療への意欲は高い。
担当医であるマサチューセッツ総合病院ブリガム神経科学研究所のメリット・カドコウィッツ医師は、「診断を受け入れるのは辛いが、それでも希望はあると知ってほしい。決して、何もできないわけではない」と述べている。
ALS研究の現状と展望
カドコウィッツ医師によると、ALSは米国において年間約5,000人が発症し、その数は急速に増加している。2040年までに世界のALS患者数は少なくとも40%増加すると予測されている。
増加の要因として、高齢化社会の進行、環境要因(プラスチック、水中の細菌、農薬など)、従軍経験、頭部外傷が挙げられるという。
現在、臨床試験で改善効果を示している新しい画期的な薬物も開発中である。
社会的な支援活動
2014年からSNSで広まった“アイス・バケツ・チャレンジ”は、アメリカのALS研究に2億ドル(約300億円)を寄付した。この活動により、ALS研究への社会的関心と支援が大幅に向上している。
今後への希望
エリック・デインはALSの病状と向き合いながらも、「できる限り家族と時間を過ごし、可能であれば少し仕事も続けたい。人生の終わりだとは思わない。心の中では、まだ終わっていないと感じている」と前向きな姿勢を見せている。
俳優としても、体力が許す限り仕事を続ける意向を示しており、「もし主治医が『ガラガラヘビの頭が病状に効く』と言うなら、ドイツまで飛んでいって食べる」と、治療への積極的な姿勢をユーモアを交えて表現している。
ALSとの闘いは続くが、デインの「これが終わりではない」という言葉からは、困難な状況にも負けない強い意志が感じられる。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
【関連記事】
- エリック・デイン、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を告白
- 史上最高の医療海外ドラマ10選…往年の名作から異色作、1位に選ばれたのは?
- ハリウッドが注目!医療ドラマ7選-「希望」と「現実」が交錯する最前線
- 【最大80%オフ】AmazonプライムデーKindle本セール|おすすめのビジネス本9選!キャンペーン内容も詳しく解説
- 映画の中のカッコいい父親11選!愛する子どもを守る最強パパたち