広瀬すず『遠い山なみの光』日本初披露に期待「強く生きる女性たちを見てもらえるのが楽しみ」
第78回カンヌ映画祭「ある視点」部門に出品された『遠い山なみの光』の完成披露試写会が7日、東京・内幸町のイイノホールで行われ、主演の広瀬すずをはじめ二階堂ふみ、吉田羊、松下洸平、三浦友和と石川慶監督が上映前の舞台挨拶に登壇した。
ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏の長編デビュー小説が原作。戦後間もない1950年代の長崎と80年代の英国を舞台にした、悦子という女性の記憶をめぐるヒューマンミステリーだ。
悦子役の広瀬は、完成した作品を観賞し「登場人物の女性たちの顔がどんどん重なって見えてくる不思議な感覚。見ていただければ分かってもらえると思いますが、ずっしり受け止めるものがたくさんあった」と感想。「作品を通して人の幸せ、平和を願うこと、求めている方向性は違っても、その中で強く生きる女性たちを多くの人に見てもらえることが楽しみ」と期待した。
カンヌは「海街diary」がコンペに選出されて以来10年ぶりで、「カンヌの大きさ、凄さが全然分からないまま、遠い海外に行けるみたいなテンションだった。今思えば、当時の自分を殴ってやりたい」と照れ笑い。今回は5分に及ぶスタンディングオベーションで迎えられ、「街に映画愛があふれていて、評価もその場で感じられる。すてきな反応を見て夢のような経験をさせていただいた」と振り返った。
石川監督は、「5年前の今くらいに始動して、やっとここまできた。素晴らしいキャストに集まっていただき、大きな映画に育った気がしている」と感慨深げ。イシグロ氏とは脚本から編集にいたるまで多くのアドバイスをもらったとし、「『原作に忖度(そんたく)し過ぎて良くなくなる映画が多い。あなたの映画だから自信を持ってあなたの映画を作りなさい』と言われたことが支えになった」としみじみ話した。
『遠い山なみの光』は、9月5日に全国で公開される。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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