【米レビュー】スティーヴン・キング原作『死のロングウォーク』評価まとめ|フランシス・ローレンス監督×若手俳優が“オスカー級”と絶賛

スティーヴン・キングの小説『死のロングウォーク』を原作とした映画が、ついに公開を目前に控え、批評家たちの最初のレビューが解禁された。彼らの言葉は口をそろえて「苛烈」「心をえぐる」「忘れられない体験」といったものであり、今年の映画界を代表する1本になるかもしれないと期待が高まっている。
原作は1979年に出版されたディストピア小説で、実はキングが高校時代に書き上げた最初の長編。後に「リチャード・バックマン」というペンネームで発表され、いまでは熱烈なファンを持つカルト的作品として知られている。物語の舞台は、国家が主催する残酷な競技「ロング・ウォーク」。
50人の少年たちが延々と歩き続け、時速3マイル(約4.8km/h)を下回ると警告が与えられ、一定回数の警告後に射殺されるという非情なルールのもと、最後のひとりが残るまで続くという設定だ。単純でありながら、読者の胸を強く締めつける物語である。
今回の映画版を手がけたのは、『ハンガー・ゲーム』シリーズを成功に導いたフランシス・ローレンス監督。出演者には、『エイリアン:ロムルス』のデヴィッド・ジョンソンや、名優フィリップ・シーモア・ホフマンの息子クーパー・ホフマンといった新進気鋭の俳優が名を連ねている。
さらに『スター・ウォーズ』で知られるマーク・ハミルが、競技を監督する冷酷な軍人役を演じているのも話題だ。
すでに寄せられている感想は、熱を帯びたものばかりである。米エンタメ系ニュースサイト『The Direct』のラッセル・ミルハイムは「信じられないほど苛烈でトラウマ的な作品。ホフマンとジョンソンの演技はオスカー候補級」と絶賛。米映画メディア『Collider』のペリ・ネミロフは「今年最も感情を揺さぶる映画のひとつ。暗く残酷な世界を描きながらも、人間らしさと温かさをしっかりと持っている」と述べている。
また英映画メディア『DiscussingFilm』のアンドリュー・サラザールは「近年で最も力強いキング作品の映画化」と評し、全体主義が若者をむしばむというテーマが鮮烈に描かれている点を評価した。米映画レビューサイト『Reel Roller』のクリス・ガジャルドも「極めて残酷な体験だが、登場人物たちの友情が心を救う。『ハンガー・ゲーム』を彷彿とさせる強烈な物語」とコメント。
なかには鑑賞後の余韻を語る声もある。米エンタメサイト『CinemaBland』のエリック・アイゼンバーグは「上映後、帰りの車中で音楽も聴けず、ただ沈黙の中で余韻をかみしめた」と述懐。米映画メディア『Next Best Picture』のマット・ネグリアは「マーク・ハミルの悪役ぶりはやや誇張されていたが、主演二人が見せる“兄弟のような絆”が深い人間味を与えていた」と語った。
批評家コートニー・ハワードも「演技は完璧で心を揺さぶる。『アウトサイダーズ』や『フルメタル・ジャケット』を思わせる傑作だ」と断言。若い俳優たちのフレッシュな熱演と、監督の冷徹で力強い演出が重なり合うことで、原作の持つ切実さが映像の中に生々しく息づいている。
映画『The Long Walk(原題)』は9月12日に全米公開予定。さらに11月には、同じくバックマン名義で書かれた小説『The Running Man(原題)』が映画化され、グレン・パウエル主演で公開される予定である。奇しくもこの秋は、キングのディストピア小説が立て続けにスクリーンに登場することになる。ファンにとっては見逃せないシーズンとなりそうだ。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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