ジミー・キンメル、ABC深夜番組の一時停止を経て復帰|言論の自由めぐる論争

ジミー・キンメル
ジミー・キンメル 写真:THR.com
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ABCの深夜番組ホスト、ジミー・キンメルが、物議を醸した短期間の番組停止を経て、火曜日に放送へ復帰することが決定した。ウォルト・ディズニー・カンパニーは声明で、「政治的に緊張した状況をさらに悪化させないための措置」と説明した。

ABCの親会社ディズニーは現地時間9月22日に声明を発表し、「先週水曜日、番組の制作を一時停止する決定を下した。コメントの一部が時期尚早で不適切だと感じたためだ」と説明。「その後数日間、ジミーと慎重な話し合いを行い、火曜日に番組を再開する決定に至った」と続けた。

論争の経緯

物議は、9月15日放送の『ジミー・キンメル・ライブ!』での発言が発端だった。キンメルはチャーリー・カークの銃殺事件に言及したが、その発言はMAGA(トランプ支持者)批判と受け取られたため、ネット上で批判が殺到した。

水曜日、FCC(連邦通信委員会)委員長ブレンダン・カーは、ABC系列局ライセンスをめぐり警告を発した。系列放送局のネクスター・メディア・グループやシンクレア・ブロードキャスト・グループは、キンメルの番組を放送中止にする意向をABCに伝えた(ネクスターは後に独自判断だと主張したが、時期的に信じがたい状況だった)。

関係者によると、キンメルは当初、番組内で謝罪する予定はなく、自身のコメントが文脈を無視されて「MAGAによって歪められた」と主張するつもりだったという。しかし、ディズニーはそれが事態を悪化させると判断し、番組の「無期限停止」を発表した。同週の木曜日にはキンメルとディズニー幹部との話し合いも決裂し、キンメルは当初の方針を貫いた。

番組復帰後の懸念

キンメルの復帰は決まったものの、全米で視聴可能になるかは不明だ。シンクレア・ブロードキャスト・グループは謝罪、話し合い、寄付などの条件が満たされるまでは自社系列局で放送しないと述べている。また、ネクスター・メディア・グループも番組放送を見合わせる可能性があるが、ABCでの放送後はオンラインで視聴可能となる見込み。

批判と擁護の声

番組停止はトランプ大統領や一部の右派批評家からは称賛されたが、メディアや政治家、ハリウッド関係者からは強い批判が相次いだ。多くが「ネットワークが事実上、政府の影響下に置かれる危険な前例」と指摘した。カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムはXで「共和党は言論の自由を信じていない。リアルタイムで検閲している」と投稿。オバマ前大統領も「現政権はメディアを黙らせるために規制を脅かし、キャンセル文化を危険なレベルまで拡大させた」とコメントした。

俳優や著名人も続々と擁護の声を上げた。ジェイミー・リー・カーティスやエミー賞受賞女優ジーン・スマートはキンメル支持を表明。ポッドキャストの先駆者マーク・マロンは、「真の自由や憲法、言論の自由を信じるなら、これは決定的瞬間だ」と訴えた。

映画俳優組合・米テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)や全米脚本家組合(WGA)などハリウッドの労働組合も声明を発表。「自由な国民として意見を述べ、異議を唱える権利は奪われてはならない」と強調した。さらに全米自由人権協会(ACLU)は、トム・ハンクスメリル・ストリープら約400人の俳優・作家・音楽家・映画制作者の署名入り公開書簡を発表し、キンメルの番組停止を批判した。

FCC内部からも批判があり、委員アンナ・ゴメスは、政府の圧力を根拠に放送内容を規制することは許されないと声明を発表した。

今後の展望

キンメルは現在の契約が来年終了予定で、過去には引退の可能性も示唆している。今回の一時停止が契約更新や番組継続にどのような影響を与えるかが、今後注目される。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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