ギレルモ・デル・トロ監督、7年ぶり公式来日! 映画『フランケンシュタイン』舞台挨拶で小島秀夫と特別対談&日本の「舞踏」に着想を得た怪物の秘密を語る

ギレルモ・デル・トロ監督と、小島秀夫
ギレルモ・デル・トロ監督と、小島秀夫
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9月24日(水)、Netflix映画『フランケンシュタイン』のジャパンプレミア上映会&舞台挨拶が都内で開催され、ギレルモ・デル・トロ監督と、日本のゲーム・クリエイターの小島秀夫が登壇した。

今回、ギレルモ・デル・トロ監督は映画『シェイプ・オブ・ウォーター』以来、約7年8カ月ぶりとなる公式来日で、会場には多くのファンや報道陣が駆けつけた。さらに、長年親交を深めてきたゲーム・クリエイターの小島秀夫もスペシャルゲストとして登壇し、会場は大きな盛り上がりを見せた。

ギレルモ・デル・トロ監督と、小島秀夫
ギレルモ・デル・トロ監督と、小島秀夫 ©︎The Hollywood Reporter Japan

デル・トロ監督と小島の親交は長く、互いの作品に対するリスペクトを公言してきた仲だ。特に2019年発売のゲーム『DEATH STRANDING』には、デル・トロ監督がキャラクター「デッドマン」として登場。実際の声や演技は別の俳優が務めたが、デル・トロ監督の3Dスキャンを用いたキャラクターモデルが起用され、ゲームファンに強いインパクトを残した。

デル・トロ監督「子供の頃からフランケンシュタインの映画を作りたかった」

ステージに登場したデル・トロ監督は、「子供の頃からこの作品を作りたいと願っていました。カトリック教徒の男の子として自分はこの世界でどういう立ち位置にいるのか、息子として、そして父親としての思いをこの作品に描いています。とてもパーソナルな作品になっていて、みなさんと共有できることを嬉しく思います」と語った。

完成した心境を問われると、「まるで産後うつのようです」と独特の表現で会場を沸かせ、「自分の赤ちゃんが成長して学校に行き、家に帰ってくるのを待っているような気持ち」と告白。長年の夢を形にした感慨を明かした。

ギレルモ・デル・トロ監督
ギレルモ・デル・トロ監督 ©︎The Hollywood Reporter Japan

【動画】『フランケンシュタイン』ギレルモ・デル・トロ新作 ティーザー予告編 – Netflix

小島秀夫監督が絶賛「フランケンシュタイン版羅生門」

一足早く作品を観た小島監督は、「これまで数多くの『フランケンシュタイン』を観てきましたが、とても美しく優しい映画でした。前作の『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』もそうでしたけど、驚かされました」と絶賛。


さらに「章ごとに師弟が変わりますよね。これを“フランケンシュタイン版羅生門”と呼んでいます(笑)。二者の視点を通すことで今まで見えなかった部分が見えてきました。さすがデル・トロ!マイフレンド!って思いました(笑)」と、長年の友情をにじませながら讃えた。

小島監督はまた、「ファンとして、デル・トロ監督が究極の『フランケンシュタイン』を作ってくれることが嬉しい」とコメントし、会場を沸かせた。

小島秀夫
小島秀夫 ©︎The Hollywood Reporter Japan

製作の原点「自分も怪物だと思った」

デル・トロ監督は製作の原点について、「7歳の頃にボリス・カーロフの『フランケンシュタイン』を観ました。教会に通った日曜にホラー映画を一日中観ていたのですが、その怪物たちから学ぶものがあった。私のイエス・キリストは彼であり、自分自身も怪物だと感じたのです」と振り返る。

完璧を求められる世の中で、不完全な姿に美しさを感じました。そして11歳で原作を読んだとき、誰もこの物語の精神を映画化していないと思い、自分で作ろうと決意しました」と強い思いを語った。

Netflix映画『フランケンシュタイン』ジャパンプレミア・舞台挨拶にて
Netflix映画『フランケンシュタイン』ジャパンプレミア・舞台挨拶にて ©︎The Hollywood Reporter Japan

豪華キャストと日本の舞踏からのインスピレーション

本作でヴィクター・フランケンシュタインを演じるのはオスカー・アイザック。そして怪物を演じるのは若手俳優ジェイコブ・エロルディ

監督は「役者は国における大使のような存在。彼らの表現によって観客に想いが伝わる」と語ると、「ジェイコブ・エロルディは製作過程の中で遅い時期に参加しました。彼の目を見た時に、彼は完ぺきな怪物として演じてくれると思いました。ジェイコブ自身も自分はまさにこの怪物だと言ったのです。彼は怪物のことを自分よりも自分らしいと言いました。そして、彼は怒りを表現できる役者である。映画『プリシラ』でも彼は演じたエルヴィスの怒りもちゃんと表現していて、それも拝見していました」と評価した。

映画『フランケンシュタイン』
映画『フランケンシュタイン』 写真:Netflix

さらに、ジェイコブが怪物を演じるにあたって、日本の「舞踏」の要素を取り入れたという。死体が体を動かしていく動作を表現するために参考にし、実際に「舞踏の達人から学んだ」という意外な裏話を明かしてくれた。

また、オスカー・アイザック、ミア・ゴス、クリストフ・ヴァルツら豪華キャストの演技にも太鼓判を押した。

縫い目のないデザインと科学者の描写

小島監督から「なぜフランケンシュタインの特徴である、顔の縫い目がないのか」と問われると、デル・トロ監督は「通常、フランケンシュタインは交通事故に遭った人のような、傷だらけの様相を想像されると思いますが、ヴィクターはアーティストであり科学者。異なる部位を組み合わせながら傷が残らないようにしている。解剖学を研究し、20年以上計画を練って、芸術として美しい怪物を作り上げた」と説明。「狂気の科学者ではなく、死に怒りを抱きながらも新しいものを創造できた科学者として描いた」と解説した。

ギレルモ・デル・トロ監督
ギレルモ・デル・トロ監督 ©︎The Hollywood Reporter Japan

伊藤潤二への賛辞と友情の言葉

イベントの最後には、会場に訪れていたホラー漫画家・伊藤潤二氏への賛辞も。「今夜、この観客の中に、最も恐ろしいフランケンシュタインを作ってくださった伊藤潤二さんがいらっしゃいます。原作のホラー部分を忠実に描いてくださいました」と紹介し、拍手が起こった。

さらに「小島さんとは長年、いい時も悪い時も支え合ってきました。今夜こうして共に登壇できたことは本当に意義のあることです」と友情を込めて締めくくった。

映画『フランケンシュタイン』は10月24日(金)より一部劇場で公開、11月7日(金)からNetflixにて世界独占配信がスタートする。

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