『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』製作者のムスキエティ姉弟が語るスティーヴン・キングとの制作秘話「原作の余白を埋める物語を」

ビル・スカルスガルド、『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。』より 写真:Brooke Palmer/HBO
ビル・スカルスガルド、『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。』より 写真:Brooke Palmer/HBO
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HBO制作のドラマ『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。』は、映画『IT/イット』シリーズの前日譚だ。映画と同じくメイン州の小さな街デリーを舞台に、恐怖のピエロ「ペニーワイズ」誕生の謎が明かされる。映画第1作目の27年前(1962年)を描くため、キャストはペニーワイズ役のビル・スカルスガルドを除いて一新された。

本作には映画版に続いて監督のアンディ・ムスキエティとプロデューサーのバーバラ・ムスキエティ、脚本家のジェイソン・フックスが参加し、フックスとブラッド・ケイレブ・ケインが共同ショーランナーを務める。

同作の配信開始を前に、米『ハリウッド・リポーター』はアンディとバーバラにインタビューを行い、『IT/イット』シリーズとドラマ版に関する質問に答えてもらった。


『IT/イット』の世界がドラマに!「映画と同じ描き方」へのこだわり

――映画作品のスピンオフをテレビシリーズで放送することは賛否両論で、特にホラーは連続ドラマでは難しいジャンルとされています。この企画に取り組むにあたり、何を意識しましたか?

アンディ・ムスキエティ(以下、アンディ):特に難しいと考えたことはありませんでした。意識したのは、ヒットした映画2作と同じスタイルやトーンでドラマを仕上げることです。ドラマでは映画と同じ描き方を再現しました。

バーバラ・ムスキエティ(以下、バーバラ):そうですね。「テレビだから違うやり方で」とは考えず、映画と同じアプローチで取り組みました。ホラー作品の制作は監督が主導することが多いため、アンディの仕事が非常に重要でした。アンディは4話分の監督を務めました。

――私が見た限り、ペニーワイズの恐怖を演出するためにあえて表現を抑えているように感じました。冒頭から彼の存在は匂わされているもののしばらく登場しないため、視聴者は驚くでしょう。

アンディ:ドラマの前半ではあえて表現を抑えましたが、後半では大げさな表現も用いました。ペニーワイズがしばらく登場しない理由は、期待感を高めるためです。彼がいつどこに現れるのか、観客とゲームをする感覚で作りました。

バーバラ:ペニーワイズは変身できるということもあり、圧倒的な存在感を持ちます。映画における登場シーンはそれほど多くありませんが、彼が画面に映ると観客はその存在感に圧倒されるでしょう。私たちが最も避けたいのは、観客がペニーワイズに慣れてしまうことです。彼の行動は予測不可能で、ふとした瞬間に攻撃を仕掛けてきます。

『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』Courtesy of Warner Bros. Pictures
ビル・スカルスガルド、『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』より 写真:Courtesy of Warner Bros. Pictures

アンディ:よく誤解されますが、「IT(それ)」は一度に1つのものにしか変身できないわけではありません。ペニーワイズは幻覚を作り出し、複数の生物がいるように見せることができます。この設定は原作でも描かれています。

「原作にない物語」でスティーヴン・キングも太鼓判

――スティーヴン・キングとは何度も相談を重ねたそうですね。キングはこのドラマを絶賛しています。脚本の完成後、キングが変更を求めた点はありましたか?

アンディ:スティーヴンから変更を求められたり、ルールを提示されたりすることは特にありませんでした。むしろ、私たちに自由に作ってほしかったのだと思います。映画制作時から、私たちはスティーヴンにはっきりとこう伝えていました。「あなたの本はミステリーかつパズルであり、あえて謎解きの余白が残されています。その謎を解き明かし、パズルの隙間を埋めるために、私たちは原作にない隠された物語を創作します」。

バーバラ:このシリーズの基本的なテーマは、ペニーワイズが現れる「27年」というサイクルに合わせ、時間に沿った作品を作るということでした。スティーヴンはこのコンセプトを気に入り、全面的に協力してくれました。

スティーヴン・キング
スティーヴン・キング 写真:SCOTT EISEN/GETTY IMAGES

――このドラマでは米軍が大きな役割を果たしています。原作では「幕間」に軍人が登場しますが、ドラマではその要素が大胆に拡張されていますね。

アンディ:1962年のアメリカの状況といえば、冷戦の真っ只中でキューバ危機が迫っていました。第1話で語られるように、デリー基地は米国最北端の軍事基地であるため、緊張が高まっていたという描写は理にかなっているんです。


なお、本作ではぜひオープニングクレジット映像に注目してほしい。バーバラによると、このオープニングクレジットを理想の形に仕上げるため、完成まで数カ月を要したという。

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。』は10月27日(月)よりU-NEXTで独占配信される。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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