「アジア系はリスク?」俳優シム・リウがハリウッドの偏見を批判――白人優遇とキャスティング問題の実態

シム・リウ 写真:Savion Washington/Getty Images
シム・リウ 写真:Savion Washington/Getty Images
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ハリウッドで「後退」するアジア系の表現

俳優シム・リウが、ハリウッドにおけるアジア系の表現が「後退している」として、率直な批判を述べた。

きっかけとなったのは、アジア系男性をもっとロマンチックな主人公として起用すべきだという投稿である。リウは Threads 上でこれに反応し、「いますぐどんな作品でもいいからアジア系を起用してくれ」とコメント。「スクリーン上での表現が後退しているという現状は本当にひどい。スタジオは私たちを“リスクがある”と見ている」と強い言葉で訴えた。

興行的成功が示すアジア系作品のポテンシャル

さらにリウは、『ミナリ』(2020年)、『フェアウェル』(2019年)、『パスト ライブス/再会』(2023年)、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022年)、『クレイジー・リッチ!』(2018年)、そして自身が主演した『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021年)など、近年、アジア系の経験や物語を描いた映画を挙げ、「これらはすべて興行的に成功している」と指摘。アジア系作品が“リスク”どころか確かな実績を残していることを強調したのである。

『パスト ライブス/再会』(2023年)より 写真:Jon Pack
『パスト ライブス/再会』(2023年)より 写真:Jon Pack

白人俳優との格差を指摘

リウはさらに続けて、「アジア系俳優がスタジオに巨額の損失を与えた例なんて一度もないのに、白人俳優は2度も2億ドル規模の損失を出しておきながら、次の大型作品の主演にすんなり起用される」と指摘。「私たちは根深い偏見に満ちたシステムと戦っている。そして正直、ほとんどの日は本当にうんざりする」と胸中を明かした。

(左から)ハリウッドで活躍するアジア系俳優のミシェル・ヨー、シム・リウ、ダニエル・デイ・キム 写真:Keith Tsuji/Getty Images; Kevin Winter/Getty Images; Alberto E. Rodriguez/Getty Images
(左から)ハリウッドで活躍するアジア系俳優のミシェル・ヨー、シム・リウ、ダニエル・デイ・キム 写真:Keith Tsuji/Getty Images; Kevin Winter/Getty Images; Alberto E. Rodriguez/Getty Images

マニー・ジャシントが語る「父親役」ばかりの現状

リウが反応した元の投稿には、映画『シャッフル・フライデー』(2025年)でリンジー・ローハンの相手役を務めたマニー・ジャシントの発言も含まれていた。作品を観たファンの間では「もっとロマンティック・コメディに出てほしい」という声が寄せられたものの、ジャシント本人は『Screen Rant』の取材で、ハリウッドのクリエイターたちは別の方向性を見ているようだと語る。実際、最近寄せられるオファーは「父親役」か、父親役のオーディションばかりだという。

マニー・ジャシント 写真:Getty Images
マニー・ジャシント 写真:Getty Images

データが示すアジア系キャラクターの減少

また、USCアネンバーグ・インクルージョン・イニシアチブが2025年8月に発表した多様性レポートによれば、2007年から2024年にかけてスクリーン上のアジア系キャラクターの割合は全体として上昇していたが、その伸びは2023年から2024年の間に失われたという。アジア系でセリフのあるキャラクターの割合は、2023年の18.4%から2024年には13.5%へと減少。一方で、白人キャラクターは2023年の55.7%から2024年には63.6%へと顕著に増加したと報告されている。

マーベル映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021年)より 写真:Marvel Studios
マーベル映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021年)より 写真:Marvel Studios

キャスティングを縛る「白人リスト」の存在

リウはまた、プロデューサーのレイチェル・タンが映画『Worth The Wait』のキャスティングで直面した問題について語った内容にも反応した。タンはシンガポール紙「The Straits Times」の取材で、「スタジオから“この白人俳優たちをキャストできるなら資金を出せる”というリストを提示された」と明かしている。

Illustration by Sara Andreasson
Illustration by Sara Andreasson

リウは Threads 上でこれに同意するように、「この話を裏付ける監督に数えきれないほど会ってきた」と述べた。「スタジオは“推薦リスト”を渡してくるが、その名前はほぼ全員が白人で、せいぜい1人だけ有色人種の名前が混ざっている程度だ。自分たちの責任回避のために形式的に入れているにすぎない。そして悲しいことに、その1枠にアジア系が選ばれることは決してない」と現状を厳しく批判した。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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