新藤兼人賞金賞に『見はらし世代』の団塚唯我監督「作り続けられるよう頑張っていきたい」
2025年(第30回)「新藤兼人賞」の授賞式が5日、東京・千代田区の如水会館で行われた。
日本映画の独立プロ58社によって組織される日本映画製作者協会が主催し、所属するプロデューサーが長編の実写映画が3作目までの新人監督を表彰する。2025年度の対象は215作品(ドキュメンタリー52作品を含む)で、その中から金賞は『見はらし世代』の団塚唯我監督、銀賞は『ひみつきちのつくりかた』の板橋知也監督が選ばれた。

『見はらし世代』は、団塚監督の初長編作品。VIPO(映像産業振興機構)による若手映画作家育成プロジェクト(NDJC)で、2021年に団塚監督の『遠くへいきたいわ』を制作したシクロの山上徹二郎プロデューサーが「長編をやろう」と提案し、息子の山上賢治氏がプロデューサーを務めた。
再開発が進む東京・渋谷を舞台に、関係が希薄になっていた父と息子を含めた家族の物語。今年5月のカンヌ映画祭・監督週間に日本人最年少で選出された。団塚監督は、「山上さん親子を見ながら脚本を書いていた部分もある。誰とやるかによって映画の形が変わっていくと強く感じながら作った製作期間でした。これからも、この人と作ったからこういう映画になりましたという映画作りを続けられるよう頑張っていきたい」と意欲を新たにした。
『ひみつきちのつくりかた』は、板橋監督が脚本・撮影・編集も兼ね、同級生の葬儀で再会した50歳の男性4人が、子供の頃の夢だった秘密基地づくりに熱中していくオリジナル作品。コロナ禍前から温めていた企画で、「いろいろな所にアピールしたが、『どこがターゲットなのか?』と聞かれ、そうだよなと思っていたが、コロナで暗いニュースが続く中、明るく楽しい映画を作りたいと改めて思った。公開まで時間はかかったが、面白かったと言ってくれる方が多く、作って良かったと思う」と喜びをかみしめた。

また、プロデューサー賞は『この夏の星を見る』の松井俊之氏が受賞。今年7月に公開され、現在もロングラン中で「スタッフ、キャストが一丸となって観客とコミュニケーションを取り続けて、いいグルーヴになっている。その代表としていただけた栄誉ある賞。ただ、まだ製作費はリクープできていないので、プロデューサーとしての責任は果たせていないので、引き続き頑張っていきたい」と真摯に語った。
取材/記事:The Hollywood Reporter Japan 特派員 鈴木元
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