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2025年公開の洋画ホラー映画ランキングTOP15 ――『28年後…』、『WEAPONS/ウェポンズ』ほか

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2025年公開の洋画ホラー映画ランキングTOP15 ―― シリーズ最新作『28年後…』、『WEAPONS/ウェポンズ』ほか
(左上から時計回り)『異端者の家』、『ブラックフォン 2』、『WEAPONS/ウェポンズ』、『28年後...』写真:A24; Sabrina Lantos/Universal Pictures and Blumhouse; Courtesy of Warner Bros.; Columbia Pictures
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2025年に日本で公開された洋画ホラー映画を振り返ると、このジャンルがいま、明確な分岐点に立っていることが見えてくる。ただ恐怖で観客を驚かせるだけの娯楽ではなく、シリーズとして成熟しきった“定番”と、解釈を観客に委ねる“思考するホラー”が共存し、それぞれが強い存在感を放った1年であった。

長年愛されてきたシリーズは節目を迎え、あるものは完結し、あるものは大胆な進化を遂げた。一方で、恐怖の意味や構造そのものを問い直す作品群が支持を集め、ホラーは「観たあとに考えさせられる映画」としての地位を確かなものにしている。

▼シリーズ系も続々公開

『死霊館 最後の儀式』
『死霊館 最後の儀式』より 写真:Giles Keyte/Warner Bros.

2025年の洋画ホラーシーンを語るうえで、シリーズ作品の存在感は際立っていた。『死霊館 最期の儀式』は長年続いたユニバースを感傷と恐怖をもって締めくくり、『ブラックフォン 2』は前作を踏まえ、より陰鬱で残酷な世界観を拡張した。14年ぶりの新作『ファイナル・デッドブラッド』は原点回帰を果たし、『M3GAN/ミーガン 2.0』はSFアクションへと大胆に進化。さらに、『28年後…』はコロナ後の世界に感染による恐怖を突きつけ、シリーズが時代と共鳴し続けることを証明した。

▼考察系ホラーの流行

『庭女』
『庭女』より 写真:Universal Studios

もう1つの大きな潮流は、いわゆる“考察系ホラー”の定着だ。ジョーダン・ピールやアリ・アスター以降の流れは、『WEAPONS/ウェポンズ』でザック・クレッガーが示した多視点構造や、『ロングレッグス』におけるオズグッド・パーキンスの説明を排した演出へと受け継がれている。『庭女』や『罪人たち』も、余白を残す語り口で観客に解釈を委ね、わかりやすいエンタメ的な恐怖から距離を取った。いま、恐怖は消費物ではなく、思考を促す体験へと進化しているのだ。



2025年洋画ホラー映画ランキング15位〜1位

15.『テレビの中に入りたい』

『テレビの中に入りたい』
『テレビの中に入りたい』より 写真:Courtesy of Sundance Institute

日本公開日:2025年9月26日
配給:ハピネットファントム・スタジオ

孤独な魂が深夜番組に溶けていく、最も切実な心理ホラー

2021年に『We’re All Going to the World’s Fair(原題)』で鮮烈なデビューを飾ったジェーン・シェーンブルン監督による、極めてパーソナルなサイコロジカルホラー。深夜にひっそりと放送される謎のテレビ番組を通して出会った、孤独なティーンエイジャーたち。夢と現実の境界が溶け合う淡い映像は、どこかデヴィッド・リンチを想起させ、観る者の胸を静かにざわつかせる。本作が描く恐怖の正体は、怪異ではなく「ありのままの自分」と向き合うこと。心を閉ざしてきた若者たちが自己受容へと踏み出す過程で生まれる、切実で痛切な恐怖と安らぎが、夜の静けさの中でそっと観客に寄り添う。

14.『プレゼンス 存在』

『プレゼンス 存在』
『プレゼンス 存在』より 写真:Courtesy of Sundance Institute

日本公開日:2025年3月7日
配給:ロングライド

■全編「幽霊目線」。ソダーバーグが挑む前代未聞の映像体験

スティーヴン・ソダーバーグ監督と脚本家デヴィッド・コープのベテランタッグが挑む、全編“幽霊目線”のスーパーナチュラルホラー。撮影監督も兼任したソダーバーグは、部屋の中を滑るように動くカメラワークで、家に潜む「存在」を可視化する。新居に越してきた一家の中で、長女だけが感じ取るポルターガイストと違和感。頻繁に断ち切られるシーンの断片が、やがて1つの真実へと収束していく。すべてを理解した瞬間、観客は初めてその「存在」を客観視することになる。

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13.『視える』

『視える』
『視える』より 写真:SXSW

日本公開日:2025年11月7日
配給:アンプラグド

■静寂のなかで真実を暴き出すアイルランド産ミステリーホラー

近年、新世代ホラー作家を次々と輩出しているアイルランド。その流れを決定づける1本が、新鋭ダミアン・マッカーシーによる『視える』だ。自宅で不可解な死を遂げた姉。その真相に迫るのは、超能力をもつ盲目の妹だった——。舞台はほぼ1軒の家、登場人物も最小限。奇妙な木製人形が放つ不気味な存在感と、抑制された演出が全編を支配する。派手さはないが、静かな画面の奥から忍び寄る不穏さが、じわじわと観る者の胸を締め付ける。静謐で残酷な、忘れがたいミステリーホラー。

12.『ノスフェラトゥ』

『ノスフェラトゥ』
『ノスフェラトゥ』より 写真:Courtesy of Focus Features

日本公開日:2025年5月16日
配給:パルコ ユニバーサル映画

■美しき死の芸術…血も凍るほど荘厳なゴシックロマンス

『ウィッチ』で世界を震わせたロバート・エガースによる、恐ろしくも美しいゴシックロマンスホラー。ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』、ムルナウやヘルツォークによる『ノスフェラトゥ』の系譜に連なる、渾身の再解釈だ。ビル・スカルスガルドは、クラウス・キンスキーやゲイリー・オールドマンに並ぶ怪演で、死そのものとしてのノスフェラトゥを体現。エレン役のリリー=ローズ・デップは、生と死の境界を漂うかのような儚さを刻みつける。絵画のように緻密な構図、血の気が引くほど彩度を抑えた映像美、そして荘厳な空気感に酔いしれる1本となっている。

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11.『デビルズ・バス』

『デビルズ・バス』より
『デビルズ・バス』より 写真:Ulrich Seidl Filmproduktion / Heimatfilm

日本公開日:2025年5月23日
配給:クロックワークス

■出口なき地獄…18世紀の農村に漂う、息の詰まるような絶望

18世紀オーストリアの寒村を舞台に、ひとりの女性の精神が静かに、しかし確実に侵食されていく――。『グッドナイト・マミー』『ロッジ 白い惨劇』で観客を震え上がらせたヴェロニカ・フランツ&ゼヴリン・フィアラ監督が、実際の裁判記録をもとに紡ぎ出す戦慄のフォークホラー。牧歌的に見える村に根づいた不可解な慣習は、終始言いようのない不安を呼び起こし、主人公アグネスの視点を通して描かれる閉鎖的な日常は、息苦しいほどの緊張感に満ちている。そして幕開けと結末に待つ衝撃は、近年のホラー映画でも屈指の恐ろしさ。静かに心を蝕む恐怖が、観る者の内側に深く刻み込まれる。

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10.『ストレンジ・ダーリン』

『ストレンジ・ダーリン』
『ストレンジ・ダーリン』より 写真:Courtesy of Magenta Light Studios

日本公開日:2025年7月11日
配給:KADOKAWA

■ネタバレ厳禁!時系列を操る超絶ホラースリラー

時系列を大胆にシャッフルしたチャプター構成と、ツイストの効いた展開で話題をさらったJT・モルナー監督の出世作。謎の男から逃げ惑う女というシンプルな物語は、全貌が明らかになった瞬間、背筋が凍る恐怖と爽快感へと一変する。主要キャラクターはほぼ2人で、ウィラ・フィッツジェラルドとカイル・ガルナーの緊張感あふれる熱演が、物語を極限まで研ぎ澄ませる。

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9.『ブラックフォン 2』

『ブラックフォン 2』
『ブラックフォン 2』より 写真:Robin Cymbaly/Universal Pictures/Blumhouse

日本公開日:2025年11月21日
配給:東宝東和

■殺人鬼グラバー再臨!決死のサバイバルの行方は

前作から4年。連続殺人鬼グラバーの恐怖から生還したフィニーのもとに、再び悪夢が忍び寄る。極寒のキャンプ場を舞台に、ゴア描写と恐怖表現は前作以上に加速。イーサン・ホークをはじめとするキャストも続投し、観客を再び恐怖の底へ突き落とす。しかし本作が踏み込むのは、単なる続編の枠を超えた“心の決着”だ。トラウマの象徴として立ち上がるグラバーと向き合うことは、自身の内面と対峙することを意味する。家族愛と過去からの決別を描く物語は、シリーズの真の完結編ともいえる。

8.『WEAPONS/ウェポンズ』

ジュリア・ガーナー、映画『WEAPONS/ウェポンズ』より
『WEAPONS/ウェポンズ』より 写真:Warner Bros. Pictures

日本公開日:2025年11月28日
配給:ワーナー・ブラザース映画

■消えた子供たちの謎、絡み合う視点…大ヒット快作

『バーバリアン』で観客を震撼させたザック・クレッガーが放つ最新作『WEAPONS/ウェポンズ』。世界的ヒットを記録した本作は、ある日突然、一斉に姿を消した子どもたちの謎から幕を開ける。物語は羅生門式に展開し、複数の視点が少しずつパズルのピースを埋めていく。そして完成する予想不可能な1枚の絵に、息を呑むだろう。ミステリーとしての構築力、容赦ないゴア描写、そして思わず笑ってしまうブラックなユーモア。そのすべてが融合した、唯一無二のホラー体験だ。

7.『ファイナル・デッドブラッド』

『ファイナル・デッドブラッド』
『ファイナル・デッドブラッド』より 写真:Eric Milner/Warner Bros. Pictures

日本公開日:2025年10月10日
配給:ワーナー・ブラザース映画

■14年ぶり!最恐の“死のピタゴラスイッチ”が再始動

“死の連鎖”は、再び動き出す——。大人気シリーズ第6弾となる『ファイナル・デッドブラッド』は、14年ぶりの新作にして、原点回帰を感じさせる1本。悪夢に苛まれる主人公が、避けられぬ死の運命から家族を救おうと奔走する。おなじみの“死のピタゴラスイッチ”は今回も健在で、残酷さとエンタメ性はシリーズ屈指。一方で、故トニー・トッドの名演が、「死」という誰も逃れられない宿命のはかなさを静かに突きつける。スリルと哀愁が同居する、ファン必見の最新章だ。

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6.『28年後…』

『28年後…』より
『28年後…』より 写真:Courtesy of SONY Pictures

日本公開日:2025年6月20日
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

■伝説の再来…新たな恐怖は「自立」の物語へ

ダニー・ボイル監督×脚本アレックス・ガーランドの黄金タッグが生んだ伝説的サバイバルホラー『28日後…』シリーズが、新たな3部作として復活。その幕開けとなる『28年後…』は、人々を凶暴化させる“レイジウイルス”の恐怖を、ひとりの少年の視点から描き直す。主人公スパイクが直面するのは、未知の感染者だけではない。親からの自立、恐怖の中で自らの安全を勝ち取るという過酷な成長の物語だ。オリジナルを想起させるスタイリッシュな映像と、極限状況で浮かび上がる人間ドラマが、コロナ禍を経験した現代の観客に、さらなる重みをもって迫る。2026年1月には、続編『28年後… 白骨の神殿』の公開も決定している。

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5.『罪人たち』

『罪人たち』より
『罪人たち』より 写真:COURTESY OF WARNER BROS.

日本公開日:2025年6月20日
配給:ワーナー・ブラザース映画

■歴史の闇を歌い踊る…音楽と惨劇が融合した異色作

『ブラックパンサー』のライアン・クーグラー監督とマイケル・B・ジョーダンが再びタッグを組んだ、異色のミュージカルホラー。1930年代のミシシッピ州の田舎町で起こる、とある夜の恐怖と解放が、圧巻の音楽とアクションで描き出される。人々の幸福を一瞬で惨劇へと変える“ある存在”は、映画史上繰り返し描かれてきたモチーフだ。しかし本作は、アメリカ社会に根深く残る人種間の分断や音楽文化の歴史と結びつけることで、恐怖に新たな意味を与えている。単なるモンスター映画では終わらない、深い余韻を残す珠玉の1本。

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4. 『ロングレッグス』

『ロングレッグス』より
『ロングレッグス』より 写真:Neon/Courtesy Everett Collection

日本公開日:2025年3月14日
配給:松竹

■ニコラス・ケイジ、怪演の頂点!逃げ場のない心理戦の果て

オズグッド・パーキンスという名を、一躍ホラー界の最前線へと押し上げた衝撃作『ロングレッグス』。新人FBI捜査官と、謎の存在“ロングレッグス”による、静かで不穏な心理戦が描かれる。感情を極限まで封じ込めた主演マイカ・モンローの演技、そしてほとんど原型を留めない姿で怪演を見せるニコラス・ケイジは、キャリア屈指の恐怖を体現している。物語は淡々と冷たい空気のまま進み、断片的に挿入されるサブリミナル映像が神経を刺激する。やがてたどり着く最後には、逃げ場のない絶望だけがじわりと染み込んでくる。

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3.『サブスタンス』

デミ・ムーア、『サブスタンス』より 写真:MUBI/Courtesy Everett Collection
デミ・ムーア、『サブスタンス』より 写真:MUBI/Courtesy Everett Collection

日本公開日:2025年5月16日
配給:ギャガ

■デミ・ムーアがすべてを賭けて挑んだ、衝撃のボディホラー

デミ・ムーアがキャリアのすべてを賭けた体当たりの演技で、第97回アカデミー賞主演女優賞ノミネートを果たした衝撃作。年齢を理由に仕事を失った元人気女優エリザベスは、謎の薬によって若く“完璧な肉体”を手に入れる。しかしその代償は、想像を絶するものだった。女性が日常的に直面する年齢差別や性差別、「年を取れば用済み」という社会の圧力、そして人類が抱き続けてきた永遠の若さと美への渇望。本作はそれらを、名声のために身体を差し出す悪魔との取引として可視化する。飽くなき欲望の果てに待つのは救済か、呪いか——。フランスの気鋭コラリー・ファルジャ監督が放つ、新時代を切り拓くボディホラーが誕生した。

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2.『異端者の家』

『異端者の家』より
『異端者の家』より 写真:Courtesy of A24

日本公開日:2025年4月25日
配給:ハピネットファントム・スタジオ

■信仰と不信の間で揺れる、密室の心理迷路

『クワイエット・プレイス』の脚本家コンビ、スコット・ベック&ブライアン・ウッズが放つ、知性を揺さぶるサイコロジカルホラー。布教のために謎めいた男の家を訪れた2人のシスターは、やがて信仰そのものを試される悪夢へと引きずり込まれていく。穏やかな笑顔の裏で、独自の宗教論を巧みな話術で畳みかけ、狂気を煮えたぎらせていく男を演じるのはヒュー・グラント。博識と狂気の境界を行き来する怪演で、圧倒的な存在感を発揮している。

グラント演じる男は、作中でシスターたちに「信心」と「不信心」という二者択一を突きつける。鑑賞者は、迷路のような家を舞台に、彼女たちの信仰が試されていく過程を見守ることになる。そして物語の終盤、本作は登場人物だけでなく私たち自身にも「何を信じるのか」という問いを投げかける。結末は救いにも破滅にも読み取れる余白を残し、舞台となる家と同じく、驚くほど緻密に設計されている。

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1.『RED ROOMS レッドルームズ』

『RED ROOMS レッドルームズ』より
『RED ROOMS レッドルームズ』より 写真:Courtesy of Fantasia International Film Festival

日本公開日:2025年9月26日
配給:エクストリーム

■正体不明の戦慄が襲う、2025年最恐の「傍聴」体験

カナダの俊英パスカル・プラントが手がけた、究極のサイコロジカルホラー。物語は、猟奇殺人犯の裁判を執拗に傍聴し続ける女、ケリー=アンヌの姿を淡々と追う。善と悪の境界線を平然と踏み越えていく彼女の危うさと、幽霊のようにつかみどころのない存在感。ジュリエット・ガリエピは、観る者を惹きつけてやまないカリスマ性で、その謎めいた主人公を体現する。

本作は、一切説明しない。ジャンプスケアも直接的なゴア描写も排し、語られない余白だけを積み重ねる。鑑賞者は答えを与えられるのではなく、傍聴席に座らされ、ただ彼女を見つめる存在になる。後半の怒涛の展開は理解しようとするほど不安が深まり、正しい答えは容赦なく遠のく——その不確かさこそが、本作が生み出す恐怖の核心なのだ。冷え切った静けさの奥で、ほかのどの作品よりも長く戦慄が居座る1本となっている。

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