ヘンリー王子と英デイリー・メールの裁判が開幕――ロンドン高等法院で全面対決へ
ヘンリー王子と英国タブロイド紙(※)の対立が、ついにロンドン高等法院で幕を開けた。違法な取材行為と重大なプライバシー侵害を訴えるこの裁判には、エルトン・ジョンら著名人も原告として名を連ねている。
(※タブロイド紙:センセーショナルな事件やゴシップ報道を多く扱う大衆紙)
エルトン・ジョンら著名人も参加する異例の集団訴訟
月曜日、サセックス公爵ことヘンリー王子はロンドンの高等法院に姿を現した。ヘンリー王子が訴えているのは、英タブロイド紙デイリー・メールを発行するアソシエイテッド・ニュースペーパーズ(ANL)による「重大なプライバシー侵害」だ。
この訴訟にはヘンリー王子だけでなく、エルトン・ジョンと夫のデヴィッド・ファーニッシュ、俳優のエリザベス・ハーレイ、セイディ・フロストといった著名人も名を連ねている。
原告側が訴える違法取材の実態
原告側は、ボイスメールの傍受や固定電話の盗聴、医療記録の捏造、さらには自宅への盗聴器設置といった違法行為を主張。一方、発行元のANLはこれらの主張を「扇情的で荒唐無稽」と一蹴し、訴訟は誠実に働いてきた記者たちへの侮辱だと強く反論している。元編集長のポール・デイカー氏ら、業界の重鎮たちも証言台に立つ見通しだ。
法廷で口火を切ったのは、セレブ御用達として知られるメディア弁護士のデヴィッド・シャーボーン。デヴィッド氏はANLについて「自分たちに不利な証拠があることを理解していた」と述べ、関連文書数千点を組織的に破棄したと主張した。裁判は、数週間にわたる長丁場になると見られている。
ヘンリー王子が求める「説明責任」――英国メディアへの長年の怒り
この法廷闘争は、ヘンリー王子の英国メディアへの怒りを如実に表している。ヘンリー王子は長年、自身や妻のメーガン・マークル、そして亡き母ダイアナ元妃が受けてきたタブロイド報道について、謝罪と説明責任を求めてきた。
ヘンリー王子は2024年の記者会見で「目的は説明責任を果たさせること。それだけだ」と語っている。2023年に出版した回顧録『SPARE(スペア)』では、王室内での確執の背景にも、タブロイド報道に対して声を上げようとしない家族の姿勢があったと明かしていた。

2025年1月には、ルパート・マードック氏が所有する新聞『ザ・サン』の発行元NGNとの訴訟で和解が成立。同社は「全面的かつ明確な謝罪」を行った。ヘンリー王子は、1996年から2011年にかけて行われた電話盗聴や不正な情報収集によって、プライバシーを侵害されたと訴えていた。
王室の法的措置に直面しているのは、メディアだけではない。2025年5月、ヘンリー王子は英国滞在中の警護レベルをめぐる訴訟で敗訴している。王室を離れた後、税金による警護が縮小された判断に異議を唱えていたが、認められなかった。
この決定により、サセックス公爵夫妻には「特注型」とされる警備サービスが適用されることになった。英国訪問時には30日前までに通知が必要となり、その都度、脅威レベルが評価される仕組みである。ヘンリー王子は、英国は子どもたちにとって「伝統の中心」だと訴えてきたが、その思いが法的に認められることはなかった。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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