ビリー・アイリッシュのグラミー賞発言、米上院公聴会に波及 ―― Netflix審議の場で政治論争に発展
米国上院で行われた独占禁止法公聴会が、思わぬ形で「文化戦争」の舞台となった。テキサス州選出の共和党議員テッド・クルーズが、Netflixとワーナー・ブラザース・ディスカバリーの合併審議の場で、グラミー賞におけるビリー・アイリッシュの政治的発言を持ち出し、ハリウッドと巨大メディアの思想的偏向を厳しく批判したのだ。
▼グラミー賞スピーチが引き金に ―― 独占禁止法公聴会が「文化戦争」へ

上院公聴会の場において、テッド・クルーズ議員はNetflixとワーナーの幹部らに対し、グラミー賞でのビリー・アイリッシュの発言を引用して「我々が今いる場所は、『奪われた土地』なのか」と迫った。
幹部が回答を避けると、クルーズ議員は「否定しない事実こそがすべてを物語っている」と批判。「“アメリカは根本的に不当な存在である”という考えに芸能界が興奮して飛びつく様子は、エンターテインメント界がいかに深く腐敗しているかを示している」と持論を展開した。
【動画】共和党クルーズ議員、公聴会でNetflix&ワーナー幹部を追及
▼ビリー・アイリッシュ発言とハリウッド「左傾化」をめぐる攻防
この発言の背景にあったのが、日本時間2月2日開催の第68回グラミー賞でのビリー・アイリッシュのスピーチだ。最優秀楽曲賞を受賞したアイリッシュは、「奪われた土地に不法な人間など存在しない」と述べ、ICE(米移民・関税執行局)の移民取締りを強く批判。アイリッシュの一言は、称賛と同時に激しい反発も招いた。
テッド・クルーズ議員はその後、ビリー・アイリッシュが式典後に大豪邸へ帰宅した点を皮肉り、「体制批判を語りながら超富裕層として暮らす矛盾」を強調。理想主義とセレブリティの特権を対比させる形で攻撃を強めた。

もっとも、標的はビリー・アイリッシュ一人ではない。バッド・バニーやシザなど、音楽業界では移民政策や現政権を批判する声が相次いでおり、政治的発言はもはや例外ではなくなっている。テッド・クルーズ議員は、こうした言説を許容するNetflixの体制そのものを問題視。民主党への献金で知られる創業者リード・ヘイスティングスや、オバマ元大統領夫妻との契約にも言及し、同社を「左傾化したメディア企業」と位置づけた。
巨大メディアの合併が、経済的独占だけでなく価値観の偏りを強めるのではないか。今回の公聴会は、エンタメ、政治、カルチャーが深く絡み合うアメリカ社会の分断を、あらためて浮き彫りにした。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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