英国アカデミー協会、トゥレット症候群監督による「Nワード放送事故」の対応に追われる
英国アカデミー賞授賞式で起こったまさかの騒動
英国アカデミー協会(BAFTA)は会員宛の書簡において、2026年授賞式の「包括的な検証」を開始すると発表した。
ことの発端は、現地時間日曜日に開催された英国アカデミー賞授賞式での騒動だ。プレゼンターとして登壇していたマイケル・B・ジョーダンとデルロイ・リンドーが、トゥレット症候群活動家のジョン・デイヴィッドソン氏に「Nワード」(N*gger/黒人に対する差別的・侮辱的な呼称)を浴びせられるという一幕があった。
ジョン・デイヴィッドソン氏とトゥレットの闘い
ただ、デイヴィッドソンに悪意があったわけではない。というのも、デイヴィッドソン自身もトゥレット症候群を患っているからだ。実際に、トゥレット症候群の症状として本人の意思と無関係に罵詈雑言を叫んでしまうという発作症状があることは知られている。
デイヴィッドソンはそのような症状によって誤解を受けがちなトゥレット症候群について社会に周知する目的で昨年『I Swear(原題)』という映画を制作してもいる。彼が今回英国アカデミー賞授賞式に招かれたのもそうした活動が評価されてのことだった。
騒動に揺れる英国アカデミー協会
現地時間の月曜日、英国アカデミー協会は謝罪声明を発表した。その中ではジョーダンとリンドーに対する「全面的な謝罪」と共に、自主的に退席したデイヴィッドソンの判断に対する感謝が綴られていた。
しかし、騒動はまだ収まらない模様だ。米『ハリウッド・リポーター』の報道によれば、ワーナー・ブラザースは2時間遅れで式典を中継していたBBCに対し、騒動のシーンをカットするよう求めていたにも関わらず、然るべき対応が取られなかったようだ。
こうした対応への不満から、英国アカデミー賞審査員のジョンテ・リチャードソン氏が辞任するという事態まで生じた。
事件の検証へ
火曜日の会員宛書簡において英国アカデミー協会は、すべての参加者に対するケアを重視していたと共に、デイヴィッドソンが参加できる環境を整えるために細心の配慮を払ったつもりだったと明らかにしている。
実際に、授賞式当日には司会のアラン・カミングがデイヴィッドソンの症状について会場に周知するなどの対策がとられていたようだ。
しかしながら、英国アカデミー協会は「私たちのインクルージョンに対する意識をこの重大な一件の言い訳にしてはならない」と総括した。その上で、同協会は事件の検証を進めるとともに、説明責任を果たす意思を強調している。
※本記事は要約・抄訳です。オリジナル記事(英語)はこちら。
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