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超少女が宇宙を駆ける、話題の『スーパーガール』はなぜ“ヒーロー映画”をやめたのか? 宇宙ロードムービーとして再定義される新たなカーラ像

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超少女が宇宙を駆ける、話題の『スーパーガール』はなぜ“ヒーロー映画”をやめたのか? 宇宙ロードムービーとして再定義される新たなカーラ像
映画『スーパーガール』2026年6月26日(金) 日米同時公開(配給:東和ピクチャーズ・東宝)© & TM DC © 2026 WBEI
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6月26日(金)に日米同時公開される映画『スーパーガール』の新しい予告編がリリースされました。3ヶ月ほど前に第一弾予告編がお披露目になっており、それを受けての第二弾予告編です。この2つの予告編からある程度、今度の『スーパーガール』の概要が見えてきました。ここでは予告編からわかってきたことを取り上げつつ、スーパーガールとはいかなるキャラなのか解説したいと思います。

映画『スーパーガール』ティザー予告(第一弾予告編)

スーパーガールはスーパーマンのいとこ

このキャラクターを一番簡潔に説明するとしたら、彼女はスーパーマンの従姉です。従ってスーパーマン同様、S字マークのコスチュームを着ており、その能力(飛行能力・怪力・目から熱線を出す等)もスーパーマンと同じです。

スーパーマンは崩壊した惑星クリプトンの出身であり、クリプトン人としての名前はカル=エル。スーパーガールもクリプトン出身で、本名はカーラ・ゾー=エル。本名のファミリーネームからわかるようにどちらもエル家ですね。スーパーマンの父ジョー=エルがスーパーガールの父ゾー=エルの兄でした。クリプトン星を照らしていた太陽は赤い太陽(レッド・サン)であり、地球の太陽が黄色い太陽(イエロー・サン)なので、この太陽光線の違いがクリプトン人に超人的なパワーを授けるという設定です。

コミック史においては1959年のアクション・コミック誌252号でデビューしました。この号の表紙も飾り、スーパーマンに対し「私はスーパーガール!あなたと同じ力を持っているのよ!(IT’S ME, SUPERGIRL! AND I HAVE ALL YOUR POWERS!)」と名乗っています。当時のDCコミックがスーパーガールをデビューさせた意図はいくつか考えられますが、スーパーマンのコミックのテコ入れとして新キャラを登場させたかった。また女性版のスーパーマン、あるいはスーパーマンにティーンの相棒のような存在を与えたかったためと考えられます。

実は“女性のスーパーマン”というアイデア自体は、これ以前にコミックの方で何度か登場しています。スーパーマンの恋人ロイスがスーパーマンみたいになるとか、1958年にスーパーマンの相棒ジミー・オルセンが魔法の力で“スーパー・ガール”を作るとか。一説によれば、この1958年版のエピソードが好評だったので、改めてスーパーガールを出そうということになり1959年に正式にデビューさせるわけです。

従ってスーパーガールのデビューを1958年とする文献もあるのですが、“スーパーマンの従姉”という設定を付加してのスーパーガールは1959年に登場です。なお1958年版はSUPER-GIRLと表記されSUPERとGIRLの間にハイフンを入れて、後のSUPERGIRLと差別化しています。

ではなぜスーパーウーマンではなくスーパーガールにしたのかですが、既にコミックの方ではワンダーウーマンという女性ヒーローがいたので彼女との差別化もあったのでしょう。

映画『スーパーガール』日本版ポスター
映画『スーパーガール』日本版ポスター © & TM DC © 2026 WBEI

スーパーガールのオリジン(誕生秘話)はスーパーマンより哀しい

コミックの場合、何度か設定が変わるのですが、スーパーガール(カーラ・ゾー=エル)についてはほぼ以下のオリジン(誕生秘話)が定番です。惑星クリプトン崩壊の際、その大地の一部が都市を乗せたまま宇宙を放浪します。

その都市の名はアルゴシティ。アルゴシティは特殊なドームに覆われていたため、ドームのついた地表ごと宇宙を漂い、この崩壊をなんとか逃れたのです。このアルゴシティに両親と共に住んでいたのが少女時代のカーラです。

しかし、アルゴシティは隕石雨を受けドームが崩壊。カーラの父ゾー=エルは娘を宇宙へと逃がします。ゾー=エルは甥っ子であるジョー=エル(つまりスーパーマン)が地球にいることを知り、カーラを地球へと送るわけです。

カル=エル/スーパーマンは実の両親との直接的な記憶やクリプトン星での思い出がないまま赤ん坊の時に地球に送られます。それに対しカーラ・ゾー=エル/スーパーガールは両親やアルゴシティで暮らした日々があり、それらとの別れがあるわけです。従って故郷を失う哀しみを彼女は知っているわけですね。

なおカーラ/スーパーガールの方がカル/スーパーマンより本来年上ですが、地球に到着するまでいろいろあり彼女が地球についた時にはカル/スーパーマンは成人して男性になっていました。なのでカーラ/スーパーガールの方がカル/スーパーマンより若く見えますが、彼女は彼の“従姉”なのです。

過去に何度か映像化されたスーパーガール

スーパーマンが何度か映像化されているようにスーパーガールも映像化されています。1984年に映画『スーパーガール』が公開。これは当時作られていたクリストファー・リーヴ出演の『スーパーマン』映画のスピンオフとして作られました。主人公を演じていたのはヘレン・スレイター。日本語吹替版は石川秀美さんが担当。

NHKでもシーズン1が放送されたドラマ『ヤング・スーパーマン』(2001年-2011年)のシーズン7にも登場。ローラ・ヴァンダーヴォートが演じています。そして2015年から2021年にかけて放送されたドラマ『SUPERGIRL/スーパーガール』ではメリッサ・ブノワが主人公役。2023年に公開された映画『ザ・フラッシュ』ではサッシャ・カジェがスーパーガール役です。なおこの映画ではマルチバースで様々な世界のスーパーマンたちが登場するシーンがありますが、そこでクリストファー・リーヴのスーパーマンとヘレン・スレイターのスーパーガールが(CGですが)共演する場面があります。

どの“スーパーガール”も素敵ですが、筆者のイメージする“スーパーガール”像に一番近かったのはメリッサ・ブノワ版でした。このキャラに期待する明るさ・善・はつらつとした感じを体現していたように思います。

【動画】メリッサ・ブノワ版『SUPERGIRL/スーパーガール』の予告編はこちら

『スーパーガール』の新作はヒーロー映画ではなく宇宙版ロードムービー?

今回の映画『スーパーガール』は、2025年の夏、大反響を呼んだ『スーパーマン』のDCスタジオが放つ、DCユニバース(DCU)映画の第2弾です。主人公を演じるのはミリー・オールコック。ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のスピンオフ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』でレイニラ・ターガリエン王女の少女時代を演じていました。ミリーが演じるスーパーガールは昨年の『スーパーマン』にカメオ出演しています。

予告編を見て思ったのは、この映画は、スペース・アドベンチャー映画になっていることです。もともとこの映画は、主人公の銀河でのジャーニーを描く『Supergirl:Woman of Tomorrow』というコミックのエピソードを原作にしているようです(当初、映画のタイトルも『Supergirl:Woman of Tomorrow』と発表されていました)。このコミックではスーパーガールが、ルシーという少女と銀河を旅します。ルシーは“イエローヒルズのクレム”という悪党に親を殺され、その復讐のためクレムを追います。

一方、スーパーガールの愛犬であるクリプトがクレムの毒矢を受け負傷。その解毒剤を手に入れるためスーパーガールはクレムを追うことになります。予告を観る限り、このコミックの要素が映画にも活かされていますね。

映画『スーパーガール』第二弾予告編はこちら:

そして彼女が自身の故郷を失ったことについて触れるあたりで 「(故郷が崩壊するのが)一瞬ならよかった、そのほうがマシだった」と言います。先にも書いたようにスーパーガールは多感な少女時代に故郷や家族を失う悲劇を目の当たりにしているわけです。だからこの映画の彼女はどこか冷めている、そして刹那的に生きている感じがします。

今回の映画版はメリッサ・ブノワ版の『SUPERGIRL/スーパーガール』とは全く異なるアプローチです。メリッサ版は、カーラはその正体を隠しナショナル・シティという街でジャーナリストとして働いています。しかし、一度事件が起こればスーパーガールとして人々を救います。従弟のスーパーマンを見習って彼女もヒーローを目指すわけです。そうメリッサ版は王道のヒーロー物です。そのフォーマットの中でカーラがどう成長していくかを丁寧に描きます。

しかし、今回のミリー版『スーパーガール』にはそうした要素は皆無です。メリッサ版がヒーロー物ならミリー版は宇宙を旅するロードムービーです。なぜこうしたアプローチをしたのでしょうか。まず、ヒーローとしてのカーラの活躍はメリッサ版で既に5年に渡って描かれています。同じ路線でいく必要はない。さらに本作をヒーロー映画にしてしまったら、それは前作『スーパーマン』の女性版・二番煎じにしかならないわけです。

ちなみに映画『ザ・フラッシュ』におけるサッシャ・カジェ版のスーパーガールの描き方はユニークではありましたが、あの映画も「スーパーマンの代わりとしてのスーパーガール」という意味合いが強かった。もともとスーパーガールがスーパーマンの従姉として世に出た経緯があるから、どうしても「スーパーマンありきのスーパーガール」になってしまうわけです。

今回は「典型的な女性ヒーローとしてのスーパーガール」「スーパーマンのサブ・キャラとしてのスーパーガール」という要素を極力排して、カーラという女性に焦点を与えたドラマになりそうです。

本作の監督はクレイグ・ギレスピー。そう『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』『クルエラ』とユニークな“女性映画”を手掛けたクリエーターがどんなカーラを見せてくれるか楽しみです。なお本作のベースになっている『Supergirl: Woman of Tomorrow』は映画公開に合わせフェーズシックス出版から「スーパーガール:ウーマン・オブ・トゥモロー 完全版」というタイトルで、上下巻の翻訳版が出版されます。アートもストーリーもすばらしいので機会があればぜひ手にとってお読みください。

『Supergirl:Woman of Tomorrow』
『Supergirl:Woman of Tomorrow』原書カバー

詳しくは https://phase6.stores.jp/items/69e1b80d191eb70efeeaa800

ジェイソン・モモア演じるこのキャラに注目!

本作は前作『スーパーマン』を観ていなくても、またアメコミを知らなくても十分楽しめる、そして共感できる宇宙物になりそうです。またスーパーガールの相棒であるクリプト(宇宙犬)との絆も大いなる見どころでしょう。宇宙空間(無重力空間)でペットの犬と戯れるシーンは本当に楽しそうです。

【動画】クリプトをフィーチャーした予告編はこちら

4月24日(金)から劇場限定で発売されるムビチケ特典はベイビー・クリプトステッカーなのでクリプト好きはぜひゲットしてください。クリプトが本作の癒し担当なら、本作の刺激担当になってくれそうなのがロボ。LOBOとつづり、ROBO(ロボット)ではありません。バイクにまたがりワイルドそのもののキャラクターです。彼はDCコミックが誇る“その男、凶暴につき”的なアンチ・ヒーロー。惑星チャルニア出身の賞金稼ぎです。ロボという名前にはチャルニア語で“相手の内臓をむさぼり食い、それを心底楽しむ者”という恐ろしい意味があります。

善悪を超えて、狙った獲物は逃がさない危ない奴。本作ではジェイソン・モモアがこのロボを演じます。ジェイソン・モモアはDCUが始まる前のDC映画においてアクアマンを好演。こういう形で一人の俳優が違うDCキャラを演じるというのは珍しいですが、それだけロボのイメージにモモアがぴったりだということでしょう。コミックではかなりヤバい人物ですが、この予告を観る限りスーパーガールの味方につくのかな?ロボが出ることによって『スーパーガール』のアクション面も期待できそうです。

【動画】ロボをフィーチャーした予告編はこちら

いかがだったでしょうか。今年は『プロジェクト・ヘイル・メアリー』、そして5月22日公開の『スター・ウォーズ/マンダロリアン&グローグー』と、宇宙を舞台にしたエモいバディ物がブームになりそうですが、この『スーパーガール』もそうした流れにのったエンタメになりそうです。

なお『スーパーガール』、日本では4月24日から全国の上映劇場 (※一部劇場を除く)でムビチケ販売。劇場限定特典として、本作にも登場するベイビー・クリプトステッカーがついてくるそうです。数に限りがあるのでクリプトをゲットしたい方は劇場へGO!

映画『スーパーガール』ムビチケ
映画『スーパーガール』ムビチケ © & TM DC © 2026 WBEI
映画『スーパーガール』ムビチケ
映画『スーパーガール』ムビチケ © & TM DC © 2026 WBEI
  • 映画『スーパーガール』2026年6月26日(金)日米同時公開 
  • 配給:東和ピクチャーズ·東宝 
  • © & TM DC © 2026 WBEI

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