アリアナ・グランデの体型をめぐるSNS論争 専門家が警鐘「心配」の裏に潜むボディイメージ問題
アリアナ・グランデの体型変化や外見をめぐる議論が、SNS上で再び広がっている。最新アルバム『petal』の発表を機に、彼女の容姿に関するコメントが相次ぐなか、ボディイメージを専門とする識者は「健康を心配する」という言葉の裏に潜む問題を指摘している。
「健康が心配」という声も上がる中、ボディイメージを専門とする識者は、本人への配慮を装ったコメントであっても、結果的に身体への過度な注目やプレッシャーにつながる可能性があると指摘する。
識者が問題視しているのは、アリアナ・グランデ個人の体型ではなく、著名人の身体を不特定多数が評価するSNS時代の文化そのものだ。

アリアナ・グランデの体型変化に注目集まる 新MV公開をきっかけにSNSで議論
議論のきっかけとなったのは、アリアナ・グランデが公開した新曲「petal」のミュージックビデオだった。
新アルバム『petal』の発表に合わせて公開された映像をめぐり、SNSでは楽曲や作品への反応だけでなく、「アリアナ・グランデは痩せたのか」「健康状態に問題があるのではないか」といった体型や容姿をめぐる投稿が相次ぎ、議論が再燃している。
中には「健康状態が心配」といったコメントもあったが、一方で本人の身体について推測したり、専門的な根拠なく健康状態を判断するような発言も見られた。
さらに、一部では過去に摂食障害を公表したアーティストとの比較も行われ、議論は単なる外見への感想を超えて広がっている。
「心配」は本当に助けになるのか 専門家が警鐘を鳴らす“コンサーントローリング”
こうしたSNS上の反応について、ボディイメージ教育者のジェマ・ヘイソーン氏は、「コンサーントローリング(concern trolling)と呼ばれる、相手を気遣うように見せながら結果的に傷つける言動を指摘している。
コンサーントローリングとは、表面上は「心配している」「健康を気遣っている」という形を取りながら、実際には相手の体型や外見を評価・批判する結果につながる発言を指す。
ヘイソーン氏は、「どのような体型の人に対しても、こうした行為は助けにはなりません。健康を気遣っているように見えても、実際には相手を評価しているだけの場合があります」と説明する。
もちろん、すべてのコメントが悪意から発せられているわけではない。しかし、専門家は「心配」という言葉のもとで他者の身体について議論すること自体が、本人への新たな負担になり得ると警告している。

セレブの体型批判が社会に与える影響 SNS時代のボディイメージ問題
有名人の外見について自由に意見を交わす文化は、SNSの普及によってさらに広がった。
しかし、大量のコメントが一人の人物に集中することで、その影響は本人だけにとどまらない。
ヘイソーン氏は、常に身体について評価される環境が、「自分の身体は他人から監視されている」という感覚を社会全体に広げる危険性があると指摘する。
特に、自身の体型や食事との関係に悩む人々にとって、著名人への身体的なコメントが繰り返し表示されることは、不安やプレッシャーを強める要因にもなり得る。
アリアナ・グランデだけではない ハリウッドで続くセレブへの外見批判

アリアナ・グランデをめぐる議論は、決して彼女一人に限ったものではない。
ハリウッドでは長年、女性セレブリティの容姿や体型が注目の対象となり、作品や才能とは別の部分で評価されるケースが繰り返されてきた。
近年では、体型の変化や加齢、外見の変化をめぐって、本人の意思とは関係なくSNS上で議論が巻き起こることも少なくない。
こうした状況について、多くの専門家が問題視しているのは、単に否定的なコメントだけではない。「心配している」「応援している」という形で発信される言葉であっても、結果的に本人の身体を評価する行為につながる可能性があるためだ。
SNSによって誰もが自由に意見を発信できる時代になった一方で、著名人の身体や外見について語ることがどこまで許されるのかという問いも浮かび上がっている。
アリアナ・グランデが投げかけた問題は、ハリウッドスターの体型をめぐる一時的な話題ではなく、社会全体が他者の身体とどのように向き合うべきかを考えるきっかけになっている。
アリアナ・グランデ、ツアー終了後に活動休止へ
体型や外見をめぐる議論が続くなか、アリアナ・グランデは「Eternal Sunshine Tour」終了後、公の活動から一歩距離を置く予定であることを発表した。
代理人は米『ハリウッド・リポーター』への声明で、ツアー終了後について「心身ともに良い状態でツアーを終えた後、十分な休息を取る予定」と説明。
長期間にわたり続いてきた公の場での活動や、絶え間ない注目から離れる時間を設けるという。
アリアナ・グランデ=2014年 写真:AP IMAGES
アリアナ・グランデ=2020年 写真:KEVIN MAZUR/GETTY IMAGE
問われているのはアリアナではなく、社会の価値観
専門家が強調するのは、問題の焦点を一人の人物の身体に置くことではない。
必要なのは、他者の外見を評価し続ける社会的な風潮そのものを見直すことだという。
「一人の人物を変えようとするのではなく、身体について語る私たち自身の価値観を変えることが重要」とヘイソーン氏は語る。
アリアナ・グランデの体型をめぐる今回の議論は、単なる一人のセレブリティへの批判ではない。
誰もが発言できるSNS時代に、私たちは他者の身体や外見についてどのような言葉を選ぶべきなのか。ハリウッドを代表するスターへの反応は、現代社会が抱える課題を浮き彫りにしている。

体型や容姿への悩み、SNSの言葉に傷ついた方へ
体型や外見に関する周囲からの言葉、SNS上のコメントによって傷ついたり、不安や苦しさを感じている方は、一人で抱え込まず、専門機関に相談することも大切です。
摂食や体型への不安、自己肯定感の低下、周囲の言葉によるストレスなど、心の悩みについては、医療機関や公的な相談窓口で支援を受けることができます。
厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル」では、全国の公的な相談機関につながる窓口を案内しています。
こころの健康相談統一ダイヤル
電話:0570-064-556
※受付時間は地域によって異なります。
また、SNS上の言葉や人間関係による不安、日常生活でのストレスについては、各自治体の精神保健福祉センターでも相談を受け付けています。
誰かの外見や体型をめぐる言葉は、発する側が意図していなくても、受け取る側に大きな負担を与えることがあります。自分自身や身近な人が悩みを抱えている場合は、必要な支援につながることを検討してください。
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