ホーム » NEWS » 『ストレンジャー・シングス』ヴェクナ激変の裏側

『ストレンジャー・シングス』シーズン5、ヴェクナが激変した理由 VFXチームが明かす制作の裏側

/
『ストレンジャー・シングス』シーズン5、ヴェクナが激変した理由 VFXチームが明かす制作の裏側
『ストレンジャー・シングス 未知の世界』キャスト 写真:Emma McIntyre/Getty Images
スポンサーリンク

Netflixの人気シリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が、シーズン5で完結を迎えた。最終章では、ヴェクナやマインド・フレイヤーをはじめとする怪物たちに加え、「裏側の世界」や新たな異世界「アビス」も描かれる。シリーズ最大規模となったVFXの舞台裏について、VFXスーパーバイザーのベッツィ・パターソンが米『ハリウッド・リポーター』に語った。

『ストレンジャー・シングス 未知の世界 5』予告編

『ストレンジャー・シングス』シーズン5、VFXも過去最大級に

クリエイターのマット・ダファー、ロス・ダファーは、シリーズ最終章となるシーズン5を「メガムービー」のような作品にしたいと考えていたという。通常の2時間映画よりもはるかに多くのショットが必要となる同シリーズでは、最終シーズンに向けて全体の予算も拡大。約10年にわたって描かれてきた物語を締めくくる、壮大なフィナーレが実現した。

VFXチームが重視したのは、CGだけに頼らないリアリティだ。ダファー兄弟は、どれほど非現実的な出来事であっても、登場人物たちが「現実の世界」で体験しているように感じられることを重視している。そのため、キャストが実際に触れたり、登ったりできるセットや小道具を可能な限り用意し、そこにVFXを加えていった。

その一例が、地球と異世界「アビス」をつなぐポータルとして登場する、異次元のワームホール内の壁だ。ホッパー(演:デヴィッド・ハーバー)とイレブン(演:ミリー・ボビー・ブラウン)がよじ登る場面のために、実物の膜状の壁を大きく製作したという。

また、ホーキンス国立研究所に登場する、液状化していく部屋の粘液も実物だった。ナンシー(演:ナタリア・ダイアー)やジョナサン(演:チャーリー・ヒートン)らが触れる部分には、実際に触れることのできる粘液状の素材を使用。実物の質感を撮影したうえで、VFXによってスケールや動きをさらに強調している。

ヴェクナが痩せて見える理由は?「オゼンピック」のジョークも

シーズン5でファンの注目を集めた変化のひとつが、ヴェクナ(演:ジェイミー・キャンベル・バウアー)の姿だ。

シーズン4と比べて細身になったことから、SNSでは「オゼンピックを使ったのでは?」といったジョークも飛び交った。しかし、パターソンによれば、その変化にはキャラクターの物語上の理由がある。

シーズン4でイレブンに瀕死の状態まで追い込まれたヴェクナは、自らの身体を再構築。その結果、以前よりも「人間」から遠ざかり、より怪物的な存在へと変貌したという。

シーズン4ではバウアーが全身に特殊メイク用のプロテーゼを装着していたが、シーズン5ではデジタルエフェクトの比重を高めた。身体を走るツタのようなものには血液が流れている様子まで描かれ、ヴェクナが以前より強大な存在になったことを視覚的に示している。

実際、バウアーもシーズン5ではプロテーゼの使用範囲を縮小し、モーションキャプチャースーツを取り入れたことを明かしている。特殊メイクの装着時間もシーズン4の約7時間半から約4時間に短縮された。

マインド・フレイヤーは「どこまで巨大化させるか」が課題に

ヴェクナの変貌とともに、最終決戦で圧倒的な存在感を放ったのがマインド・フレイヤーだ。

VFXチームは「可能な限り巨大に」という要求を受けたものの、巨大化しすぎれば、逆に人間のキャラクターとの関係性が成立しなくなるという問題があった。

「そこまで巨大だと、子どもたちの存在に気づくことすら不自然になる」とパターソン。そこで、Wētā FXがモーションテストやアニメーションテストを繰り返し、最終的なサイズを決定した。

異世界そのものの構築も大きな課題だった。過去4シーズンですでにビジュアルが確立していた「裏側の世界」に対し、シーズン5で初めて登場する「アビス(ディメンションX)」は、ゼロから世界観を作り上げる必要があった。

当初は実際の砂漠で撮影する案もあったが、制作上の問題からCGを中心に構築することに。その代わり、岩や地形を現実の場所に見せるため、できるだけ多くの写真や資料を収集し、実在する場所のような質感を追求した。

Netflixによる日本語表記では、シリーズの舞台となるUpside Downは「裏側の世界」とされている。

最も難しかったのは、若きウィルの再現

シリーズ最大規模の怪物や異世界を手掛けたVFXチームだが、パターソンが最も難しかったと振り返るのは、意外にも物語冒頭に登場する若きウィル・バイヤーズだった。

シーズン1でウィルを演じたノア・シュナップは、当時わずか11歳。ところが、ウィルはシーズン1の序盤で失踪するため、当時の映像素材がそれほど多く残っていなかった。

そこでWētā FXは、撮影時のアウトテイクだけでなく、当時のプレス写真やレッドカーペットでの映像など、シュナップの幼少期を記録したあらゆる資料を集めた。

さらに、若いウィルの代役を務めたルーク・ココテックの顔をCGでシュナップに置き換えることで、シーズン1当時のウィルを再現した。

パターソンにとって、このシーンには大きなプレッシャーがあったという。視聴者が実際に知っている、少年時代のノア・シュナップの姿を再現する必要があったからだ。

ホーキンスの破壊を1フレームずつ作り込む

約10年にわたるシリーズの集大成となった最終話では、物語を象徴する「裏側の世界」そのものが破壊されていく。

その背後では、ホーキンス高校やウィーラー家など、シリーズを象徴してきた場所も次々と崩壊していく。通常、1度しか映らないショットには細部まで過剰に作り込まないというが、今回は特別だった。

パターソンは、破壊されることが分かっているセットの細部まで作り込み、それらが壊れていく様子を1フレームずつ確認する作業を「とても楽しかった」と振り返る。

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』は、シーズン5で完結。2016年に始まった物語は、VFXによって作り上げられた壮大な異世界とともに、最後の戦いを描き切った。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

【関連記事】

スポンサーリンク

類似投稿