ヨグマタ相川圭子、第79回カンヌ国際映画祭で瞑想を指導! さらにパリでは『クリムゾン・リバー』の人気小説家ジャン=クリストフ・グランジェと対談! トラウマと創作について語る
世界中から映画人が集うカンヌ国際映画祭。今年の第79回カンヌ国際映画祭のアメリカン・パビリオンのステージに瞑想指導者でヒマラヤ大聖者のヨグマタ相川圭子が登壇。その華やかな舞台で今年、映画とは異なる角度から「創造すること」に光を当てるひとときが生まれた。
ヒマラヤの伝統的な瞑想を世界各地で伝えているヨグマタ相川圭子。カンヌ国際映画祭のアメリカン・パビリオンで、映画人やクリエイターに向けて瞑想について語り、実際に参加者を瞑想へと導いた。


カンヌを経て向かったパリでは、フランスを代表する人気小説家ジャン=クリストフ・グランジェと対談。東京とパリを行き来しながら作品を書き続けるグランジェと、創造性、睡眠、心の奥に残る記憶、そして瞑想について言葉を交わした。
さらにパリで行った単独インタビューでは、ヨーロッパを訪れた理由やパリで感じたこと、そしてなぜ今、映画やエンターテインメントの世界で生きる人々に瞑想を伝えたいのか、その思いを聞いた。
【動画】ヨグマタ相川圭子、フランスの人気小説家ジャン=クリストフ・グランジェと対談が実現! 幼少期のトラウマと創作について語る
カンヌで映画人に伝えた「思考を超える時間」
映画監督、俳優、プロデューサーをはじめ、世界中の映画関係者が集まるカンヌ。アメリカン・パビリオンでヨグマタジが映画人に伝えたのは、常に思考し、創造し続ける人々だからこそ必要となる「心を静める時間」だった。
相川圭子は、映画に携わる人々を「大きな才能を持ち、頭を非常によく使う人たち」と表現する。作品を生み出すために集中し、絶えず次のアイデアを求める。だからこそ、ときには思考そのものを超え、より深い静けさへ戻ることが必要なのだという。
人の心は、過去や未来へと絶えず動き続ける。相川圭子はそれを、表面に波が立ち続ける海にたとえた。表面には波があっても、海の深いところには静かな世界が存在する。瞑想を通じてその静けさへとつながることで、心に新たなスペースが生まれ、直感や新しいアイデアにつながっていくと語った。
会場では心身のバランスを整える呼吸法も紹介。その後、参加者は目を閉じ、ヨグマタ相川圭子の言葉に導かれながら瞑想を体験した。
頭から身体全体へ光が広がっていくイメージとともに、緊張やストレスを手放し、ただ自らの呼吸に意識を向けていく。世界最大級の映画祭の熱気の中にありながら、そこには一時、外の喧騒から切り離されたような静かな時間が流れた。
映画を作ることも、演じることも、物語を書くことも、常に自分の内側から何かを生み出し続ける行為である。
だからこそ、外へ向かい続けるだけではなく、一度自分自身へ戻ること。その静けさの中にこそ、新たな創造性につながる可能性がある――。ヨグマタ相川圭子はカンヌで、映画人たちにそんなメッセージを伝えた。

パリで人気作家ジャン=クリストフ・グランジェと対談
カンヌを経て、ヨグマタ相川圭子が向かったのはパリ。そこで対談したのが、フランスを代表する小説家ジャン=クリストフ・グランジェだ。
ジャン=クリストフ・グランジェは、フランスを代表する小説家・脚本家。犯罪や人間心理の闇を描くミステリー、スリラー作品で知られ、『クリムゾン・リバー』をはじめ、多くの著作が世界各国で翻訳されている。親日家としても知られ、現在は1年のうち約半分を東京で過ごしている。
「とても幸運だと思っています。パリと東京、両方で時間を過ごしています。1年のうち半分ほどは東京にいます。日本が大好きなんです」
ヨグマタ相川圭子を知ったきっかけについて聞くと、共通の知人Tigarahを通じて今回の来訪を知ったという。もともと精神世界への関心が強く、「ヨグマタ相川圭子がパリに来ると聞いて、ぜひ会ってみたいと思った」とグランジェは話す。
日本の精神文化について話が及ぶと、訪れたことのある高野山について「僧侶や寺院があり、とても特別な空気があります。ほかのどこにもない場所です」と振り返った。

東京を舞台にした新作
日本との関係は、グランジェの生活だけでなく創作にも及んでいる。近く発表予定だという新作について尋ねると、物語は東京と深く結びついているという。
「実は、小説全体が東京を舞台にしています」長期間東京で暮らし、その街を体験してきた作家がどのような東京を物語の中に描くのか。日本の読者にとっても興味深い新作となりそうだ。

午前4時から始まる創作
さらに興味深いのが、その執筆スタイルだ。「私の時間の使い方はとても特殊なんです。ものすごく朝早く書きます。4時に起きるんです」
午前4時に起きて執筆し、その後もう一度眠る。そして目覚めると、再び書く。「眠っていると、新しいアイデアがやってくるんです」とグランジェは話す。
この言葉は、カンヌでヨグマタ相川圭子がクリエイターたちに伝えたメッセージとも重なる。ヨグマタ相川圭子は、映画人やアーティストについて、大きな才能を持つ一方で「時に頭を使いすぎている」と指摘していた。常に動き続ける思考を一度静め、自分自身のより深い部分へとつながること。そして、そこに生まれた余白から新たなアイデアや直感が現れてくる。それが、ヨグマタ相川圭子がクリエイティブな世界で生きる人々に瞑想を勧める理由の一つでもある。
眠りによって思考から離れ、そこから新しいアイデアを得るというグランジェの創作スタイルは、アプローチこそ異なるものの、ヨグマタ相川圭子が説く「一度思考から離れる」という考えと興味深く響き合う。
恐ろしいアイデアをフィクションへ
犯罪や事件、人間心理の暗部を描いてきたグランジェ。時には、自分自身が怖くなるほどのアイデアが浮かぶこともあるという。
「アイデアが浮かんだ時、少し怖いと思うことがあります。でも、それを書いて物語の中に入れてしまえば大丈夫になる。最初はとても恐ろしいアイデアであることもあります」
彼の小説では、冒頭で犯罪や事件が起き、登場人物たちがその真実を追っていくことが多い。頭の中に生まれた恐怖を、そのまま抱え続けるのではなく、フィクションという形を与える。創作すること自体が、自身の内側にあるものを外へと取り出す行為でもあるのかもしれない。
「瞑想で頭を休ませることができるかもしれない」
グランジェはこれまで瞑想を実践してきたわけではない。しかし、強い関心を持っていると話す。「瞑想をすることで、一度立ち止まり、休息して、それから自然な自分に戻ることができるのではないかと思っています」「脳には休息が必要です」とも語った。
ヨグマタ相川圭子もカンヌで、人の心を絶えず波が立つ海にたとえている。意識は過去や未来へと動き続けるが、海の深いところには、表面の波とは異なる静けさがある。瞑想によってその静けさへとつながり、忙しく働き続ける思考から距離を置くことで、心に新たなスペースを生み出していくという考えだ。
午前4時に起き、頭の中に浮かんだ世界を物語へ変え続ける作家にとって、思考を止めるという行為は、ある意味で創作とは正反対に見える。
しかし、カンヌでヨグマタ相川圭子が映画人たちに伝えた「心を静めること」と、グランジェが語る創作のサイクルには共通するものもある。いったん思考から離れ、静かな状態に戻ることで、次のアイデアが生まれるという感覚だ。
繰り返す悪夢と幼少期の記憶
二人の対話は、やがて創造性から、人間の心のさらに深い部分へと進んでいった。
睡眠について尋ねると、グランジェは「残念ながら、悪夢をたくさん見ます」と明かした。しかも、それは毎回違う夢ではなく、「いつも同じなんです。繰り返します」という。
その背景について、「すべては子どもの頃から来ているのだと思います」とグランジェ。父親は非常に厳しい人物だった。一方で、グランジェ自身が父親と直接大きな問題を抱えていたわけではなく、むしろ父親との関係に苦しむ母親を見ていた経験が自身のトラウマになったのではないかと振り返る。
「普段、そのことを意識して考えることはありません。でも、その記憶はまだ自分の中のどこかに隠れて残っているんです」
そして、瞑想によってそうした内面と向き合える可能性について、「そうかもしれません。瞑想を通して、それと向き合うことができるかもしれません」と話した。
「内側へ向かう」ことは、ヨグマタ相川圭子が瞑想を通して伝え続けていることでもある。カンヌでは、思考や身体を超え、自分自身のより深い部分に触れること、そして心に蓄積されたものから距離を置き、「今ここ」に戻ることの大切さを参加者に説いた。
グランジェが語った、普段は意識していなくても「どこかに隠れて残っている記憶」という感覚は、ヨグマタ相川圭子が人々に自分の内側へ目を向けることを促す理由とも重なっていく。
トラウマが創作の源になるまで
グランジェは東京で、あるヒーラーの施術を受けた経験についても語った。施術を受けた後、それまで意識の奥にあった多くのつらい記憶が蘇ったという。しかし、その後には「とても軽くなった」と感じた。
そこで話題は、悪夢や幼少期の経験と創作との関係へと移った。「私はよく、子どもの頃に抱えていた問題が、最終的にはポジティブなものになったと言っています」
そして続けた。「その問題が、私にインスピレーションを与えてくれたんです」消えることのない幼少期の記憶。それは長い年月を経て、小説を書くための創造力へと姿を変えた。
同時に、自分の子どもたちについて考える時には、別の思いがある。「自分の子どもたちにはトラウマを残さないよう、できる限りのことをしています」
過去をなかったことにはできない。しかし、その経験を作品へと変え、同じものを次の世代へ渡さないようにする。グランジェの言葉からは、創作が単なる表現ではなく、自分の経験を別のものへと変換していく行為でもあることが伝わってくる。

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ヨグマタジが再びヨーロッパへ向かった理由
パリでの単独インタビューで、ヨグマタ相川圭子は今回ヨーロッパを訪れた理由について語った。ドイツには、ヨグマタジと、ヒマラヤの聖者パイロット・ババジを慕う多くの人々がいる。以前からヨーロッパを訪れてほしいという声があったものの、なかなか機会がなく、今回ようやく実現したという。
パリにも以前一人で訪れた経験があり、一度街を離れた後、「どうしてももう一度行きたい」と飛行機で戻ったほど印象深い場所だった。
今回の滞在では、多くの人々との出会いにも恵まれた。「皆さんがすばらしい人たちなので、さらに私のできることをシェアしていきたいと思います」

パリの若い世代と瞑想
今回、パリでは瞑想のワークショップや講演も行った。ヨグマタ相川圭子が印象的だったと話すのは、若い世代の反応だ。
「若い方が瞑想に関心を持たれていて、意識が高いのかなと思いました。皆さんすごくクリエイティブで、生き生きとしていらっしゃいます」
パリという街についても、それぞれが個性を持ち、アートや表現を磨いている場所だと感じたという。そうしたクリエイティブな人々にこそ、瞑想によって自分の内側にあるものをさらに引き出してほしいとヨグマタジは話す。
ヨーロッパには長い歴史と文化がある。その上で、ヒマラヤに伝わる古来の知恵に触れることが、個人だけでなく社会にも新しいものをもたらすのではないかと考えている。
「そういうものを身につけていただくと、世界がさらに平和になっていく。ヨーロッパの方々にも、さらにリーダーシップを取っていただけたらと思います」

なぜ映画人に瞑想を伝えるのか
では、なぜカンヌ国際映画祭という場所で、映画界の人々に瞑想を伝えようと考えたのだろうか。ヨグマタ相川圭子は、俳優や映画人という仕事について、「さまざまな役柄や経験を通して、大きな人間になっていく仕事」だと捉えている。
一方で、高いレベルで自己表現を続けるからこそ、頑張りすぎてしまうこともあるという。
「もう少しリセットができて、もっと深いところにある才能を目覚めさせていただきたいと思います」
演じること、物語を書くこと、映画を作ること。そのすべてには、自分自身の内側にあるものを外の世界へと差し出す作業が伴う。
だからこそ、一度立ち止まり、思考から離れ、自分自身へ戻る時間が必要なのではないか――ヨグマタジはそう考えている。
「自己表現ができる方々なので、さらに魅力的になっていただきたい。映画界の方々を援助しながら、ヒマラヤの瞑想のすばらしさを伝えていけたらと思います」
カンヌで映画人たちに瞑想を伝え、パリでは物語を生み出し続けるグランジェと、人間の記憶や創造性について語り合ったヨグマタ相川圭子。
華やかな映画祭の舞台でも、静かな執筆の時間でも、創造する人間の内側では絶えず思考が動き続けている。その動きをほんの一度止め、静けさへ戻ること。カンヌからパリへと続いた今回の旅は、創造することと、自分自身の内側へ戻ること。その二つが必ずしも相反するものではないことを映し出していた。


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