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【トロント国際映画祭2026】ジェイコブ・トレンブレイが語る『Wildwood』の舞台裏 アカデミー賞5度ノミネート作を手がけたLAIKAの最新作

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【トロント国際映画祭2026】ジェイコブ・トレンブレイが語る『Wildwood』の舞台裏 アカデミー賞5度ノミネート作を手がけたLAIKAの最新作
「Wildwood: Inside the Performance」展より 写真:The Hollywood Reporter Japan
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『コララインとボタンの魔女』(2009年)『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(2016年)など、これまで手掛けた長編5作品すべてがアカデミー賞にノミネートされてきたLAIKA。その最新作『ワイルドウッド(原題:Wildwood)』の制作舞台裏が、トロント国際映画祭(TIFF)2026のスペシャルセッション「Wildwood: Inside the Performance」で紹介された。

『ワイルドウッド(原題:Wildwood)』予告編

会場には、LAIKAでアニメーションを手がけるブラッド・シフ、ラシェル・ラムデン、トム・ケアリーに加え、『ルーム』や『ワンダー 君は太陽』などで知られる俳優ジェイコブ・トレンブレイが登壇。『ワイルドウッド』では主人公プルーのクラスメート、カーティスの声を担当したトレンブレイが、実際にLAIKAのスタジオを訪れた際の驚きや、完成したキャラクターを初めて観たときの印象を語った。

LAIKA最新作『ワイルドウッド』、ジェイコブ・トレンブレイが語る舞台裏

完成した『ワイルドウッド』を観たトレンブレイは、「本物の人間を見ているようでした」と振り返る。

カーティスの声を収録した当時、トレンブレイはちょうど声が変化している時期にあり、自然な声の揺らぎや声変わりによる変化もキャラクターの一部になったという。完成した作品を観た際には、自分の声だとすぐには気づかなかったほど、声がカーティスという人物に自然に溶け込んでいた。

収録は映画の撮影で滞在していたブルガリアで行われ、トレンブレイは自転車でスタジオへ向かったという。声の収録では、ブースの中で立ったまま演技をし、その動きも撮影された。アニメーターたちは、その映像をキャラクターの動きを考える際の参考にした。

そしてTIFFの約1カ月前、トレンブレイは初めてLAIKAのスタジオを訪問。そこでカーティスの実物の人形と対面し、「皮膚が本当にリアルで、柔らかくて、ゴムのようだった」と語った。

さらに驚かされたのが、巨大なセットだ。映画の中では小さく見えるキャラクターや自転車、衣装などが、実際には細部まで作り込まれた“本物”として存在している。トレンブレイは、10年前には作れなかったようなものが、現在の技術によって可能になっていることにも感銘を受けたという。

「Wildwood: Inside the Performance Exhibition」より 写真:The Hollywood Reporter Japan
トレンブレイ演じるカーティス「Wildwood: Inside the Performance 」展より 写真:The Hollywood Reporter Japan

『ワイルドウッド』の世界を“実物”で体感するエキシビション

「Wildwood: Inside the Performance」展
「Wildwood: Inside the Performance 」展より 写真:The Hollywood Reporter Japan

映画の舞台裏をさらに間近に感じられるのが、TIFFで開催された「Wildwood: Inside the Performance」展だ。

会場には『ワイルドウッド』に登場するキャラクターの人形をはじめ、アニメーターたちの制作風景を伝える写真などが展示された。スクリーンでは一瞬しか映らない衣装や髪、表情、身体の構造まで、実物を間近で見ることで、その作り込みの細かさが伝わってくる。

「Wildwood: Inside the Performance Exhibition」
「Wildwood: Inside the Performance」展より 写真:The Hollywood Reporter Japan

特に興味深いのは、こうした人形が、単に“動く人形”として作られているわけではないことだ。髪や衣装、小道具など、画面の中で動くものには、それぞれアニメーターの手が加えられている。

さらには、背景にある植物まで動かすことがあるという。劇中の茂みには釣り糸を使い、キャラクターの動きに合わせてわずかな揺らぎを加える。エキシビションで実物を見ると、画面に映る世界のほぼすべてが、人の手によって作られていることを実感できる。

「Wildwood: Inside the Performance Exhibition」
「Wildwood: Inside the Performance」展より 写真:The Hollywood Reporter Japan
「Wildwood: Inside the Performance Exhibition」
「Wildwood: Inside the Performance」展より 写真:The Hollywood Reporter Japan

壊れた人形は“人形病院”へ

そのほか、スペシャルセッションでは興味深い舞台裏がいくつも紹介された。ストップモーションの撮影は、少しずつ人形を動かし、そのたびに撮影する。CGアニメーションのように、後から動きを簡単に修正することはできない。一度撮影したものを直す場合には、修正したい箇所まで戻って撮り直す必要がある。そのため、アニメーターは本番の前に動きを入念に確認し、リハーサルを重ねる。

それでも撮影中に人形が壊れてしまうことはある。そんなとき、人形は“puppet hospital(人形病院)”へ送られ、修理を経て撮影現場へ戻ってくるという。

アニメーター自身が“演技”して動きを作る

LAIKAでは、アニメーター自身が実際にシーンを演じ、その映像を参考にする「LAB」と呼ばれる方法も取り入れている。

ただし、人間の動きをそのまま人形に移すわけではない。アニメーターが実際に演じることで、身体の動きやタイミング、ちょっとした仕草など、人間ならではの“ニュアンス”を探るのだ。

さらに、ひとりのキャラクターを複数のアニメーターが担当するため、キャラクターの歩き方や仕草、細かな癖などをまとめた「キャラクター・バイブル」も用意される。誰が担当しても、まるで同じ人間が演じ続けているように見せるためだ。

『ワイルドウッド』では、こうした技術によって、人形に“呼吸”まで与えている。人形内部に仕込まれた機構を使い、胸やお腹をわずかに膨らませたり縮ませたりすることで、静止している瞬間にもキャラクターが呼吸しているように見せる。髪が揺れ、衣装が動き、胸がわずかに上下する。そして声が重なる。一見すると気づかないほど小さな動きの積み重ねが、人形を“生きているキャラクター”へと変えていく。

『ワイルドウッド』公式メイキング映像

トレンブレイが「本物の人間を見ているよう」と感じたのも、こうした細部まで人の手で作り込まれた表現があったからこそ。エキシビションで実物の人形を目にすると、この作品がどれほど緻密な手仕事の上に成り立っているのかが、より鮮明に伝わってきた。

第51回トロント国際映画祭は、2026年9月20日まで開催。『ワイルドウッド』の全米公開は 2026年10月23日を予定している。

(取材・写真・文/齋藤彩加)

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