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【訃報】『スター・トレック』『X-MEN』の名優パトリック・スチュワート死去、86歳──英国演劇界から世界的スターへ

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【訃報】『スター・トレック』『X-MEN』の名優パトリック・スチュワート死去、86歳──英国演劇界から世界的スターへ
パトリック・スチュワート 写真:Kevin Winter/Getty Images
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『スター・トレック』シリーズのジャン=リュック・ピカード艦長役や、『X-MEN』シリーズのプロフェッサーX役で知られる英国出身の俳優パトリック・スチュワートが、2026年10月28日(現地時間)、ロサンゼルスの自宅で亡くなった。86歳だった。長年の広報担当者ケリー・ブッシュ・ノヴァクが翌29日に発表した。

英国演劇界でキャリアを築いたスチュワートは、舞台で培った確かな演技力をSFやスーパーヒーロー作品にも持ち込み、世界中の観客から愛される俳優となった。

『スター・トレック』ピカード艦長役で世界的スターに

スチュワートは、アルツハイマー病とレビー小体型認知症を患い、短い闘病生活を送った後、ロサンゼルスの自宅で亡くなった。広報担当者のケリー・ブッシュ・ノヴァクは声明で、家族や友人に囲まれ、音楽や祈り、涙、笑いに包まれながら最期の時を過ごしたと伝えている。

1980年代後半、英国の舞台で長年にわたって活動していたスチュワートは、米国ではまだ広く知られていなかった。そんな彼に転機をもたらしたのが、テレビシリーズ『新スタートレック』だった。

同作のプロデューサー、ロバート・ジャストマンは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で開かれた講演会でスチュワートがシェイクスピア作品を朗読する姿を目にし、オーディションへの参加を提案した。当初、シリーズの生みの親であるジーン・ロッデンベリーは、髪の薄い英国人俳優が新シリーズの艦長役を務めることに難色を示していたという。

しかし、難航したキャスティングを経て、スチュワートはジャン=リュック・ピカード艦長役を射止めた。本人は番組が1シーズン以上続くとは考えていなかったものの、長期にわたって同役を演じることになった。

2010年のインタビューで、スチュワートは当時を振り返り、周囲の関係者から「最初の1年を乗り切れれば幸運だ」といった趣旨の忠告を受けていたと語っている。ウィリアム・シャトナーやレナード・ニモイが築いた人気シリーズを再び成功させるのは難しいと、多くの人が考えていたのだ。

米紙『ロサンゼルス・タイムズ』は、配役発表時のスチュワートを「無名の英国人シェイクスピア俳優」と紹介した。共演者でアンドロイドのデータ役を演じたブレント・スパイナーは、スチュワートの楽屋の上に「警告:無名の英国人シェイクスピア俳優」と書かれた看板を掲げ、親しみを込めてからかったという。

『新スタートレック』は1987年9月に米国で放送を開始した。当初は新たなキャストを受け入れられないファンもいたが、1990年に放送された2部構成のエピソード「浮遊機械都市ボーグ(前編・後編)」をきっかけに、シリーズは大きな注目を集めた。

シーズン3最終話として放送された前編(1990年6月18日)では、ピカード艦長が異星種族ボーグに拉致され、同化されてしまう。物語はシーズン4第1話の後編(同年9月24日)へと続き、結末が次のシーズンまで持ち越されるクリフハンガー(次回への引きを残す演出)は、視聴者に大きな衝撃を与えた。シーズンをまたぐこの展開は、テレビドラマにおけるクリフハンガーの代表的な例として知られている。

スチュワートはそのほかにも、SFテレビドラマの名エピソードとして評価される作品に出演。過去から現れたエンタープライズCによって歴史が改変される1990年の「亡霊戦艦エンタープライズ“C”」や、異星文明の探査機によって意識を失ったピカードが、惑星カターンの住民ケイミンとして約30年にわたる人生を経験する1992年の「超時空惑星カターン」などで、艦長役の奥深さを示した。

『X-MEN』シリーズでもプロフェッサーX役を好演

『新スタートレック』のキャストは、テレビ業界でも屈指の結束力を誇るチームとして知られるようになった。一方、撮影開始当初のスチュワートは、1日14時間にも及ぶ撮影の合間に交わされる冗談や和やかな雰囲気に、なかなかなじめなかったという。

しかし、米紙『トロント・スター』の2013年のインタビューでは、共演者たちから「良い仕事をしながら、同時に楽しい時間を過ごすこともできる」と学んだと振り返っている。それまで彼は、仕事の質と楽しさは両立しないものだと考えていたそうだ。

同シリーズは7シーズンにわたって放送され、1994年に終了。エミー賞のドラマ・シリーズ部門にもノミネートされた。その後、映画版として『ジェネレーションズ/STAR TREK』(1994)、『ファースト・コンタクト/STAR TREK』(1996)、『スタートレック/叛乱』(1998)、『ネメシス/S.T.X』(2002)の4作品が製作された。『ネメシス/S.T.X』では、当時まだ無名だったトム・ハーディが、ピカードの若きクローン役でスチュワートと対峙している。

一方で、スチュワートは『スター・トレック』のピカード艦長役によってイメージが定着し、いわゆるタイプキャスティングに悩まされることもあった。そのため、『X-MEN』(2000)のプロフェッサー・チャールズ・エグゼビア役のオファーを受けた際も、当初は出演をためらったという。

マーベル・コミックを原作とする『X-MEN』は、後のスーパーヒーロー映画ブームを切り開いた作品の一つとなった。スチュワートは長年の友人でもあるイアン・マッケランと共演し、マッケランが演じる宿敵マグニートーと対立するプロフェッサーXを好演。その後も同役を演じ続け、『X-MEN2』(2003)、『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(2006)、『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014)、『LOGAN/ローガン』(2017)などに出演した。さらに、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009)、『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)にも登場。2026年12月公開予定の『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』にも出演することが発表されている。

ピカード艦長とプロフェッサーXという2つの代表的な役を長年にわたって演じたことは、俳優として貴重な経験となった。それぞれの人物を時間をかけて掘り下げ、さまざまな側面を表現する機会を得られたからだ。

2017年、米『ハリウッド・リポーター』のインタビューで、スチュワートは2人のキャラクターについて、道徳心や優しさ、繊細さ、思いやりの深さに強く敬意を抱いていたと語った。また、ピカードを長年演じたことで、自身の考え方や人間性にも大きな影響を受けたと明かしている。

2020年には、17年ぶりにピカード役へ復帰。動画配信サービスCBS All Access(現Paramount+)のドラマシリーズ『スター・トレック:ピカード』で再びおなじみの世界に戻り、2023年まで同役を演じた。

英国の舞台で培った演技力と俳優としての原点

スチュワートは1940年7月13日、イングランド北部ヨークシャーのミアフィールドで、アルフレッドとグラディスの間に生まれた。父親は肉体労働者で、第二次世界大戦では兵士としてダンケルク撤退作戦にも参加した。

父親は酒量が多く、母親に対して身体的な暴力を振るっていた。幼いスチュワートは、父親から暴力を受ける母親を守ろうとしたこともあった。後年になってから、父親の行動の背景には、診断されていなかった心的外傷後ストレス障害(PTSD)があった可能性を知ったという。

家庭に安らぎを見いだせなかったスチュワートにとって、演技は逃げ場だった。2009年に英紙『ガーディアン』へ寄稿した文章では、舞台は家庭で経験したことよりも安全な場所であり、別の人物になり、違う場所や時代に身を置くことで現実から逃れることができたと振り返っている。

15歳のときには地元新聞社『The Dewsbury Reporter』で働き始め、町で亡くなった人の遺族へのインタビューなどを担当した。しかし、ジャーナリズムに情熱を見いだせず、仕事以外の時間の多くを演劇グループでの活動に費やしていた。最終的に編集者から演劇とジャーナリズムのどちらかを選ぶよう告げられ、その結果、新聞社を辞めて俳優の道に進むことを決意したという。

家具店で販売員として働き、生計を立てながら俳優を目指したスチュワートは、18歳でブリストル・オールド・ヴィック演劇学校の奨学金を獲得。26歳でロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに加わり、以降、同劇団を中心に英国の舞台で経験を積んだ。

英国の映画やテレビにも出演し、ジョン・ブアマン監督の『エクスカリバー』(1981)ではレオデグランス役を演じた。続いて、デヴィッド・リンチ監督のSF映画『デューン/砂の惑星』(1984)では、ガーニイ・ハレック役を務めた。

エミー賞・ゴールデングローブ賞にもノミネート

映画やテレビでも幅広く活躍したスチュワートは、1998年のミニシリーズ『白鯨』でエイハブ船長を演じ、エミー賞とゴールデングローブ賞にノミネートされた。さらに、2003年の『冬のライオン』ではヘンリー2世を演じ、再び両賞の候補となった。

2006年には、HBOのコメディシリーズ『エキストラ:スターに近づけ!』に本人役でゲスト出演。女性の裸を見ることに執着するコミカルな人物を演じ、エミー賞にノミネートされた。2010年にはロイヤル・シェイクスピア・カンパニーによる舞台『ハムレット』でクローディアスを演じ、再び同賞の候補となっている。

2015年から2016年にかけては、米Starzのコメディシリーズ『ブラント・トーク』で、気難しい英国人トーク番組司会者ウォルター・ブラントを演じた。同作でゴールデングローブ賞にもノミネートされている。また、アニメーションシリーズ『アメリカン・ダッド』では、エイブリー・ブロックの声を長年にわたって演じた。

そのほか、2019年のエリザベス・バンクス監督作『チャーリーズ・エンジェル』ではボスレー役を演じ、2026年公開の『ひつじ探偵団』にも声優として参加した。

2001年には、エリザベス2世から大英帝国勲章オフィサー(OBE)を授与された。さらに2010年にはナイトの称号を受けている。本人は当時を振り返り、自分がそのような栄誉に浴するとは想像もしておらず、今でも現実とは思えないほどの出来事だと語っていた。

私生活では3度の結婚を経験。1966年に舞台振付師のシーラ・ファルコナーと結婚し、1990年に離婚するまでに2人の子ども、ダニエルとソフィアをもうけた。ダニエルは後に『ブラント・トーク』にも出演している。

2000年には『スター・トレック』のプロデューサー、ウェンディ・ノイスと結婚したが、2003年に離婚。2013年にはジャズミュージシャンのサニー・オゼルと結婚した。挙式では、長年の友人であるイアン・マッケランが司式を務めた。

2023年に出版した回顧録『Making It So』では、ピカードについて、自分と同じように普通の人間の枠を超えた経験を重ねてきた人物だと記している。一方で、ピカードは自らのアイデンティティーを形作った故郷とのつながりを保ち、最終的には故郷へ帰りたいと願う人物でもあると説明している。スチュワート自身もまた、故郷を求める気持ちを共有していると綴っていた。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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