塚本晋也監督「ほかげ」公開、「俳優たちの全身の表現が見どころ」

ほかげイベント
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塚本晋也監督の最新作「ほかげ」が25日、東京・渋谷のユーロスペースなどで封切られた。塚本監督は主演の趣里をはじめ森山未來、塚尾桜雅、河野宏紀とともに初日舞台挨拶を同所で行った。

2014年「野火」で、終戦間際の極限状態に置かれた兵士たちの狂気をあぶり出した塚本監督。

本作では、戦争で生き残ったさまざまな境遇の名もなき人々を描き「ちまたでは新しい戦前とも言われている不安な世の中だが、未来の子供たちがそういう場に行かなくて済むようにという願い、祈りを込めた。俳優たちの全身での表現が見どころです」と訴えた。

趣里は、居酒屋で体を売って生きている女という役どころ。現在放送中のNHK朝のテレビ小説「ブギウギ」では同じ時代を生きた笠置シヅ子をモデルにしたヒロインを演じており、「一見対照的な役に思えるが、戦争に苦しめられながらも生きていくという一本の筋は一緒だと思って演じている。今も『ほかげ』とともに過ごしている意識です」と説明した。

映画はヴェネチア国際映画祭でのワールドプレミアを皮切り、カナダ・トロント国際映画祭などに出品。

だが、趣里は「ブギウギ」の撮影のため、プロモーション活動自体がこの日が初めてとなり「ヴェネチア、行きたかった。濃密な時間だったので、本当に行きたかった」と悔しさをにじませた。

オーディションで戦災孤児役に抜てきされた塚尾は、撮影当時小学1年生で「映画を見て、何か伝わるものがあればいいなと思っています」とはきはきした挨拶。塚本監督も、「大事な役として作品に関わる責任を持っていたので、大人と同じように演出し応えてくれた。難しい役だが、素晴らしく体現してくれた」と絶賛した。

森山は、テキ屋の男役で「心に傷、闇を抱えているが、生きていくことへのどん欲さ、ある種の真っすぐなすこやかさを意識して、監督といろいろな話をしながら詰めていった」と納得の表情。

そして、趣里が「監督も含めスタッフ一人一人が凄く力をくださってエネルギーになった。憧れの塚本映画に出られたことがうれしく、監督のメッセージ、祈りが一人でも多くの人に届きますように」と言葉に思いを乗せて締めくくった。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴⽊ 元

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