名作戯曲『夏の砂の上』映画化、主演オダギリジョーはプロデューサーも兼務
読売文学賞の戯曲・シナリオ賞を受賞した名作戯曲『夏の砂の上』が、オダギリジョー主演で映画化されることになった。オダギリは、同作の舞台を演出したことがある玉田真也監督による脚本を読み「これは良い作品になる」と直感し、共同でプロデューサーも務める。
息子を亡くした喪失感で妻にも見限られた主人公が、めいとの共同生活を通して新たな希望を見いだしていく物語。オダギリは、「俳優としてはもちろん、さまざまな面でお役に立てればと思った」と振り返る。
撮影は昨年9月にオール長崎ロケを敢行。「信頼できるキャスト、最高のスタッフが共鳴してくれ、真夏の長崎にこの上ない土俵が用意されました。あくまで玉田監督の補佐的な立場を守りつつ隠し味程度に自分の経験値を注ぎ込めたと思います。昨今の日本映画には珍しい『何か』を感じていただける作品になったと信じています」と自信のほどをうかがわせた。
玉田監督も、「演劇としての完成度があまりにも高いと思い、この作品を映画にすることは僕にとって念願であったとともに挑戦でした」という。それでも、長崎ロケを通し「街自体を主人公と捉えることができ、きっと映画でしかなしえない経験でと感じた。頭の中だけにあった限定された世界が、街と徐々に融合してより豊かに大きく膨らんでいく感覚でした」と確信を得たことを明かした。
めい役を髙石あかり、妻役を松たか子が演じるほか、森山直太朗、高橋文哉、満島ひかり、光石研らの出演も発表された。髙石は、「ありのままの自分で、精いっぱい役と向き合いました。長崎での撮影は自分にとって、かけがえのないものになりました」と回想。松も、「全員が汗だくになりながら、この映画の世界に向かって歩いていたように思います」と語った。
玉田監督は、「皆さんとても協力的にアイデアを出してくださり、何一つストレスを感じることなく撮影ができただけでなく、何度見ても芝居が面白く最前列で見るように、ただ楽しんでいる瞬間もたくさんありました」と明かす。そして、「皆さんの芝居で、この映画を想定の何倍も上に引っ張ってもらえたと思います」と手応えを感じている様子だった。
『夏の砂の上』は、7月4日に全国公開される。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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