菊地凛子、上海国際映画祭での最優秀女優賞受賞を報告「宝物の映画になりました」

6月の第25回上海国際映画祭で最優秀作品賞、最優秀女優賞、最優秀脚本賞の3冠に輝いた「658㎞、陽子の旅」の完成披露試写会が10日、東京・テアトル新宿で行われ、主演の菊地凛子をはじめ竹原ピストル、黒沢あすか、オダギリジョーら主要キャストと熊切和嘉監督が舞台挨拶に登壇した。

上海の授賞式では、「席がど真ん中で右にも左にも出られない状況。受賞している方はだいたい端の席だったので、どう考えてもないかなと思っていたら名前を呼ばれたので本当にビックリした」という菊地。「上海の方に温かく迎えられ、なおかつ賞までいただいて光栄。スピーチをしていると、熊切監督もど真ん中の席でカメラを構えていたけれど、その手が震えていたので二人で感極まりました」と笑顔で話した。

熊切監督は脚本賞で一度ステージに上がり、受賞後に舞台裏で通訳の女性から「監督賞を獲ったらスピーチはどうしますか」と言われたという。「一生懸命考えていたら全然別の人だったので落ち込んでいたら、作品賞で呼ばれたので頭が真っ白になりました」と苦笑交じりに振り返った。

本作は、「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM」の脚本部門で室井孝介氏の審査員特別賞受賞作をベースに、「浪子想」の共同ペンネームで熊切監督と妻の智子さんが加わり改稿。人との交流を避けてきたフリーターが、疎遠だった父親の死を知らされヒッチハイクで故郷の青森を目指しながら人生を見つめ直すロードムービーだ。

菊地は、2001年「空の穴」で抜擢された熊切監督との22年ぶりの再タッグで、日本映画は単独初主演。「私がずっと出ている映画なので、自分自身、観客の目を離さないような芝居をしなければならないと不安がありながらの東北の旅でしたが、心のひだに伝わる部分があると思います。私にとって宝物の映画になりました」と感慨深げに話した。

熊切監督も、「コロナで何年か映画が撮れない時期があって、清らかな気持ちで1カット1カット丁寧に撮りました」と強調。そして、「大変思い入れのある映画。ぜひ味わってほしい」とアピールした。

「658㎞、陽子の旅」は、7月28日から全国で公開される。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴⽊ 元

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