【野球映画10選】実話を基にした感動作、北野武監督のあの作品も!

(左上から時計回りに)『プリティ・リーグ』、『マネーボール』、『エイトメン・アウト』、『シュガー』写真:Columbia Pictures/Courtesy Everett Collection; Melinda Sue Gordon/Columbia Pictures/Courtesy Everett Collection; Sony Pictures Classics/Courtesy Everett Collection; Courtesy Everett Collection
(左上から時計回りに)『プリティ・リーグ』、『マネーボール』、『エイトメン・アウト』、『シュガー』写真:Columbia Pictures/Courtesy Everett Collection; Melinda Sue Gordon/Columbia Pictures/Courtesy Everett Collection; Sony Pictures Classics/Courtesy Everett Collection; Courtesy Everett Collection
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野球映画は単なるスポーツ映画の一派ではなく、それ自体が一つの独立したジャンルである。フィクションとドキュメンタリーを合わせると、長編作品はおよそ200本にも及び、ドラマはもちろん、コメディ、さらには時代物まで幅広い。

このジャンルに敬意を表すとともに、今月末に開幕する新たなMLBシーズンを記念して、史上最高の野球映画10本をランキング形式で紹介。お気に入りの選手を選ぶのとは異なり、打率や打点といった数値で正誤を測ることはできない。正しいかどうか、順番が妥当かどうかは、自ら映画を観て——あるいは観直して——判断するしかない。

以下、「史上最高の野球映画10選」

※本ページの情報は、2025年3月時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。

10.『3-4X10月』(1990)

『3-4X10月』(1990)写真:Courtesy Everett Collection
『3-4X10月』(1990)写真:Courtesy Everett Collection

確かに、北野武監督の本作は厳密には野球映画ではない。しかし、物語は野球の試合で始まり、そして終わる。その間に描かれるのは、打席で三振した孤独なガソリンスタンド店員が、抗争を繰り広げるヤクザたちの凶暴な犯罪劇に巻き込まれていく姿である。

テレビ界のスターから映画監督へと転身した北野にとって、本作は監督2作目にあたり、『ソナチネ』や『HANA-BI』といった90年代の代表作へとつながる独自のスタイルを確立した作品でもある。ミニマルなコメディと、美しく構築された暴力表現の融合は、後の北野の名作群を特徴づけることとなった。

『3-4X10月』に登場する野球のシーンは、ユーモラスでありながら極めて映画的でもあり、日本において「アメリカの国民的娯楽」がいかに深く根付いているかを浮き彫りにしている。

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9.『打撃王』(1942)

『打撃王』(1942)写真:Courtesy Everett Collection
『打撃王』(1942)写真:Courtesy Everett Collection

スポーツ映画の古典として語られる中で、おそらく最も古い作品がサム・ウッド監督の感動作『打撃王』だ。本作は、偉大な野球選手ルー・ゲーリッグの死からわずか1年後に公開された。

ゲーリッグを演じたのはゲイリー・クーパー。ニューヨークのイースト・ハーレムでの生い立ちから始まり、ニューヨーク・ヤンキースの一塁手として数々の記録を打ち立てるまで、その輝かしい軌跡が映し出される。

しかし、「鉄の馬」と呼ばれた彼の栄光は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の診断によって突如として崩れ去る。わずか37歳でこの世を去ることになる彼の運命は、多くの観客の涙を誘った。映画のラストでは、彼がヤンキー・スタジアムで残した有名なスピーチが切なく響き渡る。また、実在の「マーダラーズ・ロウ(殺人打線)」のメンバーであるベーブ・ルース、ビル・ディッキー、マーク・コーニグが本人役で登場し、物語にさらなるリアリティを与えている。

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8.『シュガー』(2008)

『シュガー』(2008)写真:Sony Pictures Classics/Courtesy Everett Collection
『シュガー』(2008)写真:Sony Pictures Classics/Courtesy Everett Collection

野球における移民の貢献が映画で取り上げられることはほとんどない。だからこそ、アンナ・ボーデンとライアン・フレックのインディペンデント作品『シュガー』は、その不足を補う貴重な存在となっている。

ドキュメンタリードラマに近い本作は、ドミニカ共和国出身の才能ある若きピッチャー(アルヘニス・ペレス・ソト)がアメリカ中西部のスプリングトレーニングに参加し、メジャーリーグ入りを目指す姿を描く。しかし、すべての選手が成功を手にするわけではない。いや、むしろ大半は夢破れる。物語はやがて方向を変え、フィールドの外でも人生には意味があることを示していく。

最近、メッツがドミニカ出身の外野手フアン・ソトと史上最高額の契約を結んだが、本作はこうした成功がいかに現実世界では稀なことかを改めて思い出させてくれる感動的な作品である。

7.『バング・ザ・ドラム』(1973)

『バング・ザ・ドラム』(1973)写真:Courtesy Everett Collection
『バング・ザ・ドラム』(1973)写真:Courtesy Everett Collection

マーティン・スコセッシの『ミーン・ストリート』で脚光を浴びたのと同じ年、ロバート・デ・ニーロはジョン・D・ハンコック監督の『バング・ザ・ドラム』で、重病を抱えたメジャーリーグのキャッチャー役を演じ、話題を呼んだ。この役で、当時30歳だった彼はニューヨーク映画批評家協会賞の助演男優賞を受賞し、全米の批評家から高い評価を得た。

米『ハリウッド・リポーター』のアラン・ハワード氏は「デ・ニーロは、この演技によって映画界で最も優れた、そして最も魅力的な性格俳優の一人であることを証明した」と評し、同俳優のキャリアはそこからさらに飛躍していくこととなる。

『バング・ザ・ドラム』は喪失を真正面から描いた誠実な作品であり、70年代という時代だからこそ生まれ得たスポーツ映画である。同世代のスターであるアル・パチーノは、本作はお気に入り映画だと明かしている。

6.『プリティ・リーグ』(1992)

『プリティ・リーグ』(1992)写真:Columbia Pictures/Courtesy Everett Collection
『プリティ・リーグ』(1992)写真:Columbia Pictures/Courtesy Everett Collection

野球というスポーツには、コメディと相性の良い何かがある。しかし、このジャンルで一本だけ選ぶとすれば、ペニー・マーシャル監督の『プリティ・リーグ』がふさわしい。(次点としては『メジャーリーグ』やオリジナル版の『がんばれ!ベアーズ』が挙げられる。)

本作は、1987年の同名テレビドキュメンタリーを基にした作品であり、第二次世界大戦中に男性選手が戦地へ赴く中、全米女子プロ野球リーグで奮闘する女性たちの姿を描いた。ユーモアにあふれ、感動的でありながら、歴史的にも意義深い作品である。

マーシャル監督は、『ビッグ』でトム・ハンクスを起用した後、本作でも彼を抜擢。酒浸りの元メジャーリーガーが監督となり、ジーナ・デイヴィス、ロージー・オドネル、ローリー・ペティ、そしてマドンナが演じる選手を率いて優勝を目指す物語を描いた。2022年にはAmazonでドラマシリーズとしてリブートされ、成功を収めている。

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5.『ナチュラル』(1984)

『ナチュラル』(1984)写真:Courtesy Everett Collection
『ナチュラル』(1984)写真:Courtesy Everett Collection

スポーツ映画としての王道のカムバック劇でありながら、巧みに作り込まれた時代物でもあるバリー・レヴィンソン監督による大作。物語は、ロイ(ロバート・レッドフォード)が野球界で一気にのし上がるも、熱狂的なファン(バーバラ・ハーシー)にホテルの部屋で撃たれ、キャリアを絶たれるところから始まる。

しかし16年後、ロイは再びメジャーの舞台へ戻り、奇跡的なプレーを連発。球団経営陣やマスコミに屈することなく、自らの信念を貫いていく。

グレン・クローズやキム・ベイシンガーといった豪華な助演陣が脇を固め、野球への愛をユニフォームのピンストライプにまで染み込ませた作品だ。ロイが放つ名セリフ「ああ、私は野球が大好きだ」が、本作の雰囲気を最もよく表しているだろう。

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4.『栄光の旅路』(1957)

『栄光の旅路』(1957)写真:Courtesy Everett Collection
『栄光の旅路』(1957)写真:Courtesy Everett Collection

子どもをプロアスリートにしようと必死になっている親にとって、ロバート・マリガン監督のこの衝撃作は必見。本作は、ボストン・レッドソックスの中堅手、ジミー・ピアソールの実話を基にしている。

アンソニー・パーキンスがキャリア屈指の名演を見せ、カール・マルデン演じる父親にメジャーリーガーになることを強要され、次第に精神を病んでいく青年の苦悩を描く。実際のピアソールは双極性障害と診断されたが、マリガン監督はそこには焦点を当てず、親の叶わなかった夢を押し付けられた子どもが耐えなければならない過酷なプレッシャーをテーマに据えた。

ヒッチコックの映画『サイコ』の3年前、パーキンスは才能と努力を持ちながらも、心の傷によって野球のフィールドから追い詰められる男を見事に演じ切った。

3.『さよならゲーム』(1988)

『さよならゲーム』(1988)写真:Orion/Courtesy Everett Collection
『さよならゲーム』(1988)写真:Orion/Courtesy Everett Collection

ロン・シェルトンにとってスポーツ映画とは、ジョン・フォードにとっての西部劇のようなものだ。『ハード・プレイ』、『ティン・カップ』、『タイ・カップ』、そして『さよならゲーム』と、彼ほど多角的にこのジャンルを掘り下げた監督はいないだろう。

その中でも本作は、シェルトンの監督デビュー作であり、主演のケヴィン・コスナーにとっても大きな転機となった。彼が演じたのは、冴えないベテラン捕手クラッシュ。コスナーは正真正銘のハリウッドの憧れの的となり、翌年には『フィールド・オブ・ドリームス』に出演、『さよならゲーム』以上の大ヒットを飛ばした。

マイナーリーグの底辺に甘んじながらも、ティム・ロビンス演じる才能あふれるルーキー、ヌークと友情を育み、スーザン・サランドン演じる地元のグルーピーとの恋愛にも発展していく。『さよならゲーム』は、スポットライトの当たらない場所でビール片手に細々と生きる選手たちの仲間意識、そして彼らがいかに野球というゲームと時には無意識のうちに恋に落ちていくかという姿を見事に捉えている。

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2.『マネーボール』(2011)

『マネーボール』(2011)写真:Melinda Sue Gordon/Columbia Pictures/Courtesy Everett Collection
『マネーボール』(2011)写真:Melinda Sue Gordon/Columbia Pictures/Courtesy Everett Collection

野球に関する近年の映画の中では、最高の作品である『マネーボール』は、マイケル・ルイスによるノンフィクションのベストセラーを情報化時代のスポーツにおける複雑な人間ドラマとして昇華させた。

ベネット・ミラー監督は、27年のキャリアの中でわずか4本目の作品となる本作で、ブラッド・ピットをビリー役に起用。ビリーは元プロ選手で、オークランド・アスレチックスのゼロ予算でのゼネラルマネージャーを務めている。ビリーは、ジョナ・ヒル演じる若き経済学者を雇い、過小評価されている打者を見つけ、チームをプレーオフへ導こうとする。そして選手たちは、2002年にアスレチックスを記録的な連勝へと導くことになる。

本作は、特にお金が野球や他のメジャースポーツにおいていかに支配的になったかに触れ、勝利には常に金銭的・個人的な代償が伴うことを強調している。

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1.『エイトメン・アウト』(1988)

『エイトメン・アウト』(1988)写真:Courtesy Everett Collection
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野球映画は、特に80~90年代にブームを迎えた。ジョン・セイルズ監督の『エイトメン・アウト』が他の作品と一線を画す理由は、確固たる演出と、ジョン・キューザック、チャーリー・シーンらキャスト陣の演技にとどまらない。それは、本作が初期のスーパースター・チームの1つが無情な資本家たちによって壊されていく様子を時代を超えて描いている点にある。

本作は、1919年のシカゴ・ホワイトソックスの選手たちがキックバックと引き換えにワールドシリーズでわざと負けることを決めた実話に基づいている。セイルズ監督は、彼らをオーナーから低賃金で搾取され、マフィアに腐敗させられた労働者階級の男たちとして描いた。彼らは刑務所には入らなかったが、二度とプロ野球をプレーすることは許されなかった。

アメリカの国民的スポーツが数十億ドル規模の産業となり、MLBチームの予算が小さな国々を養うほどに膨れ上がった現在、『エイトメン・アウト』は予見的な警鐘を鳴らす物語となっている。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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