アメリカ議会でTikTokに対する懸念が高まる 国家安全保障の観点から外資系企業の情報テクノロジーを規制する法案を提出
6日(月)、アメリカで新たな法案(通称: the RESTRICT Act)が提出された。商務省の監督の下、今後他国の情報・コミュニケーションに関わる商品やサービスの取引を規制または緩和する可能性がある。
さらにこの法案では、商務長官のジーナ・レモンド氏が直接大統領に対して、事業の売却を命令するように進言する権利を与える。例えば、運営元のByteDanceにTikTokを売却するように迫ることも可能になる。法案には“外資系企業の完全禁止”という記載はないものの、商務省が他国の脅威に対してリスクを回避するように明示されている。
先日は、民主党の反対を押し切り、共和党が“国内におけるモバイル機器でのTikTokの利用を禁止する”法案を強行通過させるに至った。さらに超党派は、約1億人にも上る米国のTikTokユーザーのデータが中国政府に利用されることを懸念し、それに対して実現的なソリューションを示す法案をすでに提出している。
国家安全保障担当補佐官のジェイク・サリヴァン氏は「“the RESTRICT Act”は、国家安全保障リスクを緩和する新たなメカニズムになるでしょう」と声明を発表。また、TikTokの広報担当者ブルック・オーバーウェッター氏は「TikTokへの懸念に最も迅速に対処するには、対米外国投資委員会(CFIUS)による協定案の承認が必要です。これからも、アメリカ国民のために包括的な国家安全保障プランを遂行していく」と声明を出した。
外国企業が所有するアプリは、今やアメリカ社会の情報ネットワークに複雑に絡み合っている。そこで、法案は米情報機関に対し“人々に外国のテクノロジーが与える脅威について啓発する”ために、機密解除した情報を伝達するように命じている。
2022年の調査によると、アメリカで大人のユーザーのうち3分の1は、TikTokからニュース情報を得ていると判明。一方で、昨年にはヨーロッパ圏のユーザーのデータに中国の従業員がアクセス可能であったことをTikTok側が認めた。さらに、中国の従業員はアメリカ人のデータにもアクセス権を持っていたとBuzzFeed Newsが報じた。
オリジナル記事はこちら。翻訳/和田 萌